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祖父とブッタークーヘン


母方の祖父は料理が好きだったらしい。

たまに母が子供の頃の思い出を話してくれることがあるが、祖父の元気なころの記憶がほぼ無い私は、その思い出を少しずつ集めて祖父の姿を形作っている。



ちょくちょく台所に立つ祖父は、ちょくちょく珍しいものにも挑戦していたらしい。苺を入れた炊き込みご飯やライスプディングが食卓に出てきたとき、母は今まで知っていた米の概念と違いすぎて閉口したとか(お赤飯は甘いけど、それはそれなのだろう。母、甘納豆あまり好きじゃないしな)。

祖父は食べることよりも作って振舞うことが好きだったようだが、上の二つの話だけでは現状「ちょっと迷惑な人」である。汚名返上のため、他の料理の思い出を聞いてみると、幼き母が非常に気に入って「また作って、また作って」と何かにつけてねだった、という料理を教えてくれた。よかった。


それはブッタークーヘンという。初めて耳にしたそれは、ブタ……?と一度では正しく聞き取れているのか不安になる語感のお菓子だった。

バウムクーヘンに語感が似ているからドイツの焼き菓子なのかな、くらいの見当しかつかず、少し検索してみる。しかし、すぐに検索窓から離れ、本棚から一冊の本を取り出した。


パティシエールの鈴木文さんが、ヨーロッパ・中南米・北米・オセアニア・アフリカ・中東・アジア各国のおやつを100個も紹介している本だ。表紙にもある通り、おやつは全て優しい色彩のイラストで描かれている。レシピブックとしてだけでなく、単純に読み物としても楽しい一冊である。


まだしっかりとは読み込んでいないので確信は持てないが、なんだかありそうな気がする……と探してみると、おお、いらっしゃいました、ブッタークーヘンさん(69頁)。

それによると、ブッタークーヘン(Butterkuchen)とはバターたっぷりの発行菓子だという。綴りを見ると納得だが、「ブッター」はバターの意味だった。ドライイーストを使うのがお菓子としてはなんだか珍しい気がするし、だからこそ祖父は母が頼むほど作ってくれなかったんだろうなと思った。手間がプラスされてしまうものね。


せっかくレシピも見つかったし、作って作って! と母に一応言ってみたが、予想通り苦笑いしながら断られてしまった。面倒だもんな、とは思いつつもどこか諦めきれない私。「楽しみながら作れる工程にも注目」と説明文には書いてあるし、これはダメもとで挑戦してみるしかないだろうか……。



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