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女王陛下の00B(ダブルオーバック)
「被験体AおよびB、スタンバイ。ターゲット配置完了」
「よし、発蜂を許可する」
号令の直後──ぱごふっ!
やや間の抜けた音とともに、鹵獲した敵国主力戦車が穴だらけになった。
「いかがですか、将軍」
「……博士、君は国の英雄となるだろう。もう一度見せてもらえるかね」
白衣/軍服の男たちの興奮した視線を集めるモニターが、厚さ800mmの隔壁の向こう、数秒前の光景をスロー再生する。
上半身裸の少
オートマティック・アウローラ
(お父様。愛しいお父様)
《ジェネレータ点火。ニューロンリンク開始。完了。ウイング、Fモード。フライトエッジ調整》
(スミカは翔びます。お父様が遺したこの羽衣で)
《PPジャベリン、セイフティ解除。トリガーをオペレータのコントロール下へ》
(スミカは守ります。お父様が興したこの都市を、お父様が育てた『世界樹』を)
《目標、318階ノースフロア。カタパルト俯角79度。ETA、射出後6.66秒》
花の都とヴァン・ヴィノ
「何をしているのです」
男はそう訊いてくる。肚を括ってる、と答えたいができない――喉がロクに動かない、周りの景色や背と尻を預けた木と同じようにカラカラ。
フードを脱ぎ覗き込んでくる男の顔、その向こうで空が白み始めてる。ああ、肚というのはまだしもカッコつけた表現で、諦めをつけてたってのがより正確。俺は死ぬ。流れ流れて根無し草のまま、胃も頭も空にして、じき昼の熱気だけに満たされるこの荒野で。木が墓