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20060924 子守

 古いアメリカの映画などを見ていると、幼児や小学生ぐらいの子を持つの夫婦が自分たちの子供を日雇いの子守に任せて夕方から食事や宴会に出掛ける場面が出てくる。日雇いの子守は大抵近所の中学生や高校生で、小遣い銭稼ぎになっているという。確か中学の英語の教科書に「誰それは子守をやっている」という設定があった気がする。

 この風習はアメリカだけのものだろうか。イギリスやその他ヨーロッパの国々でも夜に子供を預けて夫婦だけで出掛けるという習慣はあるのだろうか。少なくともアジアではそういう風習はない。聞いたことがない。昼間の一、二時間ぐらいなら中学生ぐらいに小さな子供を任すことはあるかも知れないが、夜中にそれをやるのは考えられない。子守が終われば、子守自身は自分の家に帰らなければならない。夜中によそ様の子供を出歩かすことなどできないし、送って行くにしても自分たちが遊んで遅くなってから他人の家の玄関を叩くのは気が引ける。それとも子守はそのままその家に泊まっていくのだろうか。

 アメリカのように慣習になっていれば、お互い様だから子守を頼むことは何らためらうことではないのだろう。中学の英語の教科書にこの子守が登場するので、それを英語で「babysitter」と言うのを中学で知った。この言葉は日本語の「子守$${^{*1}}$$」よりも意味が狭く、両親の外出中に留守番をしながら子守$${^{*2}}$$をするという限定された意味になっている。

 いつ頃からある言葉なのだろうか。初出は1937年$${^{*3}}$$らしい。結構新しい言葉だ。おそらくアメリカでできた言葉で、babysitterは主にアメリカの風習なのだろう。動詞は「baby-sit$${^{*4}}$$」だが、これは「babysitter」からできた言葉のようだ。つまり名詞形が先にあって、それから動詞が逆成されたのである。

 他に逆成の英単語の動詞の例として「lase$${^{*5}}$$」がある。これは「レーザー光を発する」という意味で、「laser(レーザー光)」からできた言葉だ。もともとlaserは「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation$${^{*6}}$$」の頭文字だからもともと名詞形、動詞形というのはなかったが、「-er」を動作主名詞の接尾辞と見なして「lase」という動詞を造っている。

*1 NPO法人日本子守唄協会
*2 Keri Russell in The Babysitter's Seduction 1995
*3 Online Etymology Dictionary
*4 baby-sit. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*5 lase. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*6 20000219 レーザー

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