見出し画像

20000219 レーザー

 レーザー$${^{*1}}$$といえば二むかし、三むかし前はジェームス・ボンド$${^{*2}}$$の007映画$${^{*3}}$$や秘密兵器$${^{*4}}$$の世界の話であった。その頃には既にレーザーというものは発明されており現実の装置であったが、我々庶民にとっては映画やSFの中の殺人光線$${^{*5}}$$という認識しかなかった。
 想像上のレーザー光線発生装置は何やら金属製の尖った円錐状の大砲で先の方にはコイルというのか輪が数個付いているようなのが多かった。

 一般に「レーザー」というとレーザー光線を発生させる一番肝心の部分が二酸化炭素$${^{*6}}$$やアルゴン$${^{*7}}$$といった気体であったり、人工のルビー$${^{*8}}$$やざくろ石$${^{*9}}$$などを使ったものを指すことが多い。
 1960年、アメリカのMaiman$${^{*10}}$$によって最初に光ったレーザー光線装置は人工のルビーを用いたものだった。

 現在、パソコンの中には必ずレーザー光線を発する装置が組み込まれている。CD$${^{*11}}$$やDVD$${^{*12}}$$の信号読み取り部分には「半導体レーザー$${^{*13}}$$」という大きさが6mm程度の小さなレーザー光線発生部品が使われている。
 半導体レーザというのはレーザー光線を発生させる元の部分が砒化ガリウムGaAs$${^{*14}}$$という半導体物質が使われているレーザー光線発生装置のことである。最近はGaAs以外の半導体レーザー$${^{*15}}$$も発明されている。
 しかしレーザーが発明された当時はそんな小さな装置からレーザー光線が出るようになるとは夢にも思わなかっただろう。

 と思ったら、半導体レーザのアイディアはレーザーが発明されて暫くして出てきたらしい。そして1962年には半導体レーザーがレーザー光線を世界で初めて発光していた。

 レーザーlaserという言葉は「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation (誘導放出$${^{*16}}$$による光の増幅)」の頭文字をつなげて出来たものである。
 ところがそのような略語であることに眼をつぶって、laserの最後の「-er」を動詞を名詞化する接尾辞$${^{*17}}$$とみなして「lase(レーザー光線を発する、レーザー光線をあてる)」という動詞が出来上がった。

 成り立ちが全く逆の珍しい言葉だろう。

*1 レーザーの概要
*2 JAMES BOND FAN
*3 007 - The World Is Not Enough
*4 メカ百科:科特隊スペッシャル
*5 takeda_medical_info
*6 CO2 レーザーとは?
*7 アルゴンレーザー
*8 ルビーレーザー
*9 ナノ秒YAGレーザー
*10 レーザー原理・歴史ページpage3
*11 CD-R Maniacs
*12 SHARP DVD
*13 Rohm 半導体レーザ
*14 arsenic
*15 青色発光デバイス開発ストーリー
*16 光増幅とは
*17 単語を覚えよう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?