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20061215 筆跡鑑定

 遺言書などの真贋を判定する鑑定人がいる$${^{*1}}$$らしい。印鑑や筆跡などの照合や判定を行い、裁判などで使う証拠書類の作成$${^{*2}}$$を請け負うようだ。

 印鑑の鑑定例のページ$${^{*3}}$$がある。顕微鏡で印影を覗いて本物かどうかを見分けるのである。カラーコピーの例がある。カラーコピーは顕微鏡で見なくても肉眼ですぐ区別がつく。なぜ、ここで例としてあげているのかは不明だ。押印がどのような順番でなされたかの判定例がある。押印は名前に重ねて為される$${^{*4}}$$ので、こういった事例はよくあるのだろう。捨印$${^{*5}}$$の様に予め押してある印影の上に文字を書く場合と文字を書いてから押印するのとでは明らかに違ってくるらしい。予め押してある印影の上に文字を書くと朱肉の上をペン先が通過する際にインクが混ざってしまう。文字が先に書いてあると、文字の部分に朱肉が載らず印影が分離されるらしい。これは顕微鏡もしくは拡大鏡でないと判らないだろう。こうやって後で手を加えた偽造書類かどうかを鑑定するようだ。

 筆跡の鑑定例$${^{*6}}$$もあった。ボールペンの種類やペンの運びが異なると言うことまで判るらしい。鑑定人はこれ専用の装置の特許まで取得している。ただ、この筆跡鑑定用の装置の特許取得には、技術の独占という意味がないことは火を見るよりも明らかである。この装置の概要は特許庁の電子図書館$${^{*7}}$$の「特許・実用新案公報DB$${^{*8}}$$」で検索できる。特許に書かれている様な構成の装置を製造して売ろうとする人やそれを買おうとする人は皆無だろう。誰も作って売ろうとしないから特許で技術を占有する必要が全くない。むしろ特許公報によって装置の構成を公開して鑑定の手法を明かしてしまっている。なぜこのような鑑定手法の一部を同業者に明かすなどと言う危険を敢えて冒したのだろうか。

 箔(はく)を付けるためであろう。特許という国が認めた権利と言うことで一般の人は「進歩性のある技術」と認識する。しかし特許とは、その対象となった発明の内容に関して与えられるのであって、その発明を使って出てきた結果を保証するものではない。発明内容と鑑定結果とは直接関係がない。特許を取得して期待することは、「その発明を使って出された結果も国が保証している」と依頼人が勝手に考えてくれることかもしれない。

 筆跡鑑定で、ふと思ったことがある。クレジットカードで署名をする時、その都度、署名が変化する。大きくは変わらないが、細かいところはしょっちゅう変わる。これは筆跡鑑定になった場合、同一と見なされるのだろうか。

*1 弁護士さんから筆跡鑑定,印鑑,指紋鑑定の依頼は法科学鑑定方法で筆蹟鑑定を実施。
*2 20050801 デジタルカメラ(5)
*3 印鑑鑑定 判定特徴例
*4 20010801 判の押し方
*5 20050524 捨て印
*6 早津輝雄鑑定>の特許10項目を公開
*7 特許電子図書館 - 特許・実用新案検索
*8 特許・実用新案公報DB

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