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20010801 判の押し方

 あるしきたりが本当に正しいかどうかは、それが合理的かどうかを考えることによって判る場合がある。「こういうものなのだ」と教えられて、訳も分からずそれに従っているようなことでも、よくよく考えてみれば合理的な法則に従って決められていることが殆どである。どう考えても根拠が曖昧となっているものは、誰かが都合のいいように作った場合が多い。

 印鑑を押す時に自筆の署名の後ろの方に印影が重なるように押すものだ、と幼少の時に教えられ大抵はそれに従って押している。人間に限らず、法人印や代表者印でもよく見ると殆ど法人名に印影を重ねて押してある。逆にそういうことをしていない法人に対しては「大丈夫かなぁ」と思ってしまう。これは自然人$${^{*1}}$$に対しても同じである。

 署名と印影を重ねるようにするのだが、○に印と書いてあるところは大抵、署名欄の後ろの方に印刷してある。「○に印」を無視して印鑑を押す場合もあるが、出来るだけ漢字の間隔を広く取って丁度「○に印」に自分の名前が上手くかかるように書く。それでも上手くいかない場合は後藤吉孝$${^{*2}}$$の「孝」の字の最後の画を右に引っ張って「○に印」にかかるようにする。縦書きの場合はもう「○に印」を無視するしかない。

 それにしてもこの風習は何のためだろうか。文書偽造防止のためかと、一瞬思ったが別に重ねて印鑑を押しても偽造は簡単に出来そうである。ただ、この方法であれば署名は墨やインクで押印は朱肉なので署名、押印の順番が保存される。

 印鑑に似たものに花押$${^{*3}}$$がある。これは署名には重ねない。これはどちらも墨で書くからだろう。

*1 自然人(しぜんじん)の意味や定義 Weblio辞書
*2 私
*3 日本の伝統 ☆花押デザイン☆

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