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目川探偵事務所The GORK 2部「十龍・チェルノボグ」編

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#ホラー

The GORK  16: 「『いちご白書』をもう一度」

The GORK  16: 「『いちご白書』をもう一度」

16: 「『いちご白書』をもう一度」

 マリーに教えられた展望フロアーに向かう非常階段を探している間に、俺はこの階で小さな映画館を発見した。
 平成十龍城が今の姿になるまでは、ビル自体のインテリジェントぶりが売りだったのだから、この映画館の前身は、公共用に設置されたオシャレな視聴覚施設だったのだろう。
 何気なく「受付」にあたるブースの壁に貼ってある上映プログラムを見て、俺は思わず腰を抜かしそう

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The GORK  18: 「ガンダーラ」

The GORK  18: 「ガンダーラ」

18:「ガンダーラ」

 猪豚の次は河童、、そして額にワッカのある煙猿。
 これじゃ、まるで西遊記だ。
 ・・じゃぁこの僕は三蔵法師なのか。
 三蔵法師はテレビの世界じゃ、ずーっとノーブルな顔立ちをした女優が演じるものと決まっている。
 そしてハゲヅラが似合う女優は数少ない。
 僕は男子で、一度、女子に化けて、もう一度、男子になるわけだから、三蔵役の女優が男装をしてる状態との関係は、、えーい、もう

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The GORK  20: 「禿山の一夜 魔女たちの集合。そのおしゃべりとうわさ話」

The GORK  20: 「禿山の一夜 魔女たちの集合。そのおしゃべりとうわさ話」

20: 「禿山の一夜 魔女たちの集合。そのおしゃべりとうわさ話」

 その巨大倉庫は夢殿三区の外れの寂れた工場地帯にあった。
 つまり酔象川の川原に近い。
 倉庫前の広場には数台の車が止めてある。
 いずれも場所柄に似合わない高級車だ。
 倉庫の入り口には数人の物騒そうな男達がたむろしていて、僕たちが近づいていくと、中で一番頭の良さそうな男が出迎え役をかって出てきた。
 ピアノの白の鍵盤見たいな歯

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The GORK  22: 「禿山の一夜 サタンの邪教賛美」

The GORK  22: 「禿山の一夜 サタンの邪教賛美」

22: 「禿山の一夜 サタンの邪教賛美」

 俺は、文字通り「早鐘のような鼓動」を味わっていた。
 もしかしたら窃盗犯の何割かは、金品目当てではなく、この興奮を味わいたくて、盗みを働いているのではないかと俺は思った。
 部屋から出て行く十蔵の後ろ姿を見届け、緊急避難通路にある緊急電話からパスワードを打ち込み、十蔵の部屋のドアノブに手をかけた。
 ドアが開いた瞬間の喜びから、いつ十蔵が帰ってくるのか

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The GORK  23: 「禿山の一夜 魔女たちの盛大な夜会」

The GORK  23: 「禿山の一夜 魔女たちの盛大な夜会」

23: 「禿山の一夜 魔女たちの盛大な夜会」

 俺はついに、オルゴン蓄積器こと、オルゴン・アキュムレーターを見つけた。
 それは悪の秘密結社の秘密基地等ではなく、何の変哲もないマンションのテーブルの上に置かれてあった。
 日帰りキャンプに持っていくような、クーラーボックス程度の容量の代物だった。
 今は、持ち運ぶ必要がないためか、透明カバーが剥き出しになっていて、内容物が丸見えになっている。
 

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