絵なんてコピーでよくない?と思ってた私が、ちょっと絵画の話をしてもいいですか?
ちょっと前に参加した公募展で絵が売れました。
人生初の体験でした。
絵が好きです。
でも自信がなかったです。
絵を描くんだねじゃあ絵を見せてと言われると、言い訳ばかり浮かんでました。
・・・・・
絵はずっと好きだったけど、片付けが面倒だなぁという気持ちがあったりして、画材は実家に置いたままでした。
あと、かさばりますよね。筆とかどう保存すれば先っちょ傷めなくて済むのかも分かんなかったし。曲がったら悲しい。しょっちゅう引っ越しもするのであまり荷物も増やしたくないし。
それで大人になってからiPadやiPhoneのアプリで絵を描いていました。
こんなのとか。
・・・・・・ん、イラスト、かな?
それが今年の5月に泡銭2万円が手入り、ちょっと創りたいものがあった私は、新宿の世界堂に行き、遂に絵の具を買うことにした。
初めて絵描きさんのYouTubeを観て、水彩かアクリルか…絵の具を吟味した。
そもそも、学校で絵の具の扱い方をちゃんと習った気がしない。
透明水彩はチューブから絵の具をプチュっとパレットに出したら洗わずにそのまま保管しておけるとか…それをまた水に溶いて使えるとか…
な、なんだと!?
それで私は、透明水彩を買った。
罪悪感がないのもいい。
無計画に絵の具を出していても、洗い流さなくていい罪悪感なさ。計画性のない私にぴったり。
水の流れで混ざってく感じとか、色が重なってく感じとか…色が泳ぐ感じとか。狙っても狙いきれないし。決め打ちが苦手な優柔不断な私にぴったり。
そして、パレットはいいのにした。
アルミで、裏は黒。
めちゃくちゃカッコいい。
ずらりとちょこんと並ぶぽちょん。
そのすぐ後に、アクリル絵の具も買った。
まあ、ハマった、んですよね。
昔からやけに倹約家根性があり「お金かからず楽しめるのならば、それが一番いいよね」て思ってて。
それは別に「お金がかかることはするな」てことではなかったはずなのに、なんとなくそう変換されていた。「お金かけたんなら楽しまなきゃ」にもなっていた気がする。
そんな私は、結局回り道。
寄り道をしている。
一番行きたいところはアメリカなのに、ハンバーガー屋さんで気持ち誤魔化してるみたい。
好きな人は振り向いてくれなさそうだから、自分のこと好きだと言ってくれた人と付き合って恋愛ごっこしてた高一の夏みたい。
でも一番欲しいものは、やっぱり欲しいよね。
前に100均で12色の絵の具買ったけど、今回銀のチューブに入った36色セットの透明水彩買って、1時間かけて好きな色を選び抜いてアクリル絵の具買ったのは、そういうこと。
創りたいもの作るために水彩絵の具を買ったわりに、結局その創りたいものが石粉粘土の作品だったから、後追いで買ったアクリル絵の具で色をつけた。
創りたかったのはコレね。惑星です。
こないだの展示会では透明水彩を使えたから、透明水彩も喜んでいる気がする。水彩よ、遊んでくれてありがとう。
で、ここからが本題なのだけど。
あ、あんまり長くはならないですよ、ご安心ください。
私、絵のことをたぶんなめていたんですよね。
ごめんなさい。でも多分そうです。
なんかものすごい恐ろしくて浅はかなこと言ってますよね。
音楽作れって言われたら無理だから作詞作曲すごい、とかは思ってたけど。突き詰めて向き合ってやったことがないからこそ、突き詰めれば自分にもできるのでは?って気持ちがあったんだと思う。
それで、少し絵が得意だった経験から、なんかコレ私にもできそうだ〜とか思ってたんです。また謝りたくなったけど謝りません、謝るのは違うと思うからね。
偉人達の絵の偉大さを、偉大とは思わずに眺めていました。
あぁバランスがいいね。
でも真正面からだね、なんかちょっと退屈だね。
とか偉そうに。お前は誰や。穴があったら入りなさい。なければ掘りなさい。
でも実際に描いてみて絵の具使ってみて、泣きたくなるくらい楽しい割に、泣きたくなるくらいに思い通りにいかない。
YouTubeでハウツー調べるたび目から鱗を噴射させて、試してみる。
顔の色に緑なんてないはずなのに。
青なんてないはずなのに。
なんで青が…水色が…青と緑の間の色が入っていると、こうも美しいんだ!!!!
って意味の分からなさに感激した。
それで、こないだ手に取った本で、また感激を味わった。
クリムトの描く女性。
ふくよかで裕福そうででも儚くて。
きれい。とにかくきれい。
女性の中にたくさんの知らない色が見えた。
あと、描く女性描く女性と関係を持ってたらしい。
夢中で描いて描いて…休憩で抱いて、描いて描いて…
そんなエピソードも本当に納得。
だって、女性がきれいなんだもの。
油絵のことは、分からない。
やったことない。
でも、すごく時間がかかるって聞いた。
時間をかけて重ね塗るその油絵に、今心をぐいぐいと持っていかれてる。
厚みに魂が込められてるような気がする。
叶うならば、その絵の具のでこぼこを右手の中指でゆっくり撫でてから・・・それから、手のひらを広げて、円を描きながら関節や手のシワにあたる絵の具の角を楽しみたい。
クリムトが描いたその絵を触ってみたい。
きれいな女性の頬を撫でてみたい。
きっと柔らかそうだ…。
あと、ほのかにあったかそうだ。
・・・
とまあ、そんな気持ちになっています。
タイトルにも書いたように私は、絵なんてコピーでいいやん、と思っていました。
ポスターでいいやん、と思ってました。
原画展ってなんや、ほほぅ宮崎駿さんが触ったんか、とかいうミーハーな目で見ていました。
だけど、歳を取ったからか、美術史を少し知ったからか、自分も絵を描いてみたからか、無駄でもやりたいことをやってみようと思えているからか、今になってようやく私は「たくさんの絵を見たい」と思うのです。厚みを、感じたい。
知りたいが湧く出逢いは、刺激になる。
知っても知っても説明できないこととの出逢いは、感激になる。
ああ、まだまだ知らないことばかりだから。
クリムトの名前、フェリシモのかわいい服で知ったくらいなんだからまだまだ知らないことばかり。
これから知っていきたい。
・・・・・・
アラサー既婚33歳の私は、美術学校に行くか、教室に行くか…今迷い中なのです。
水彩絵の具みたいに混ざってゆらゆら泳いでってくれんものかのぅ。
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