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映画評「ジャスティスリーグ ザック・スナイダーカット」

というわけで、金曜は有給を頂き、観賞しました、「ジャスティスリーグ ザック・スナイダーカット」(以下、「スナイダーカット」)

上映時間、なんと242分。4時間2分。

こうなってくると、他の映画やドラマもしくは旅行等のエンタメを超えて、食事・仕事・家族、全てのライフイベントと競合してくる長さである。

ぶっ通しで観た。と言いたいところですが、休みとはいえど、そんなまとまった時間はとれず、ちょこちょこと休憩をはさみながら、1時間半×3くらいで観賞。


※劇場で公開された、120分バージョンの「ジャスティスリーグ」(以下、「劇場版」)についてのネタばれありです。


感想といきたいところですが、長い。とにかく、長い。

劇場で公開された120分バージョン「ジャスティスリーグ」(以下、劇場版)とどうしても比べながら観たのですが、2時間経っても全然話が進んでいなかったので、良い意味でやべーなと思いました。

劇場版と比べると、この「スナイダーカット」は随分と評判が良いらしいのですが、それもそのはずというか、2017年公開、つまり4年も前の、さして面白くなかった映画が2倍の尺になって戻ってきた!そんなことを喜んでる時点で、ただのファンでしかない。
観たい人だけ観てるんだから、そりゃ評判は良くなるのです。

120分の映画が242分に倍増したので、てことは、ストーリーの濃さも2倍になっているかと思いきや!
そんなことは特にない。
当然、劇場版では大胆にカットされた、キャラの背景等描きこみは増えていますが、倍増するほどのものではない。1.2~1.5倍くらいかしら。

じゃなんでそんなになげーんだってところですが、ザック・スナイダー監督印!スローモーションです。

登場するヒーローは、

バットマン(スーパーリッチなコスプレ中年)
ワンダーウーマン(どっちかというと、普段着のほうが変な恰好のアマゾネス)
アクアマン(海に酒瓶を捨てるほどの、やさぐれアトランティス王くずれ)
サイボーグ(愛されたいひきこもり思春期ロボット)
フラッシュ(喋りっぱなしな、足早い - というかもはや時止め童貞)
そして、スーパーマン(融通の利かない鉄の男)

彼らが登場するたびにスローモーション。
ちょっと動けばスローモーション。
ちょっと普通の速度に戻って、こぶしを振りかぶってスローモーション。
早い動きを表現するときでも、もちのろんでスローモーション。

体感ですが、普通の速度で画面が動いてるときのほうが少ない気がする。

でもね・・・これがめちゃくちゃにかっこいいのです。
スローモーションになるたびに、物語としては必然的に前に進まないのですが、そんなことはおいておいてもかっこいい。

劇場版ではカットされたキャラ描写も相まって、以前よりはるかに「映えた」キャラになっており、魅力的です。

「俺は神話を創りたかったんだ!」と、ザック監督はインタビューで語っていた。

そのアプローチが正しいのか間違ってるかはおいておいて、たしかにこれは神話的である。

どうしても比べてしまうが、「アベンジャーズ」シリーズのヒーローは、「英雄」の意味のヒーローであり、(ソーやガーディアンズ・オブ・ギャラクシー連中はいるが)どっちかというと、「チームびっくり人間」である。
ヒーローの役割を果たそうとする人間としての苦悩。
アイアンスーツが無くなっても俺はアイアンマンなのか。
ハンマーがなくなっても、ソーか。
スパイダースーツが~、盾が~、等々。
武器があろうがなかろうが、どんな状況でも「アイ・アム・アイアンマン」であり、それが熱い。

比較すれば、「ジャスティスリーグ」の面々は、「英雄」というヒーローよりも、「超人」。なんなら、ほぼほぼ人間ですらない。
市民ってよりも、民(たみ)って意識。命を守るというより、生命を護る感じ。
ヒーローの役割というよりも、ヒーローの存在についての物語である。
結果論だとは思いますが、「ジャスティスリーグ」面々って、そんなに「一人一人の人間の命」って重要視してないのよね・・・守れたら守りたいけど、優先順位の一番上ではない感じ。
だって、「超人」だし、神に近い存在なんだもん。神様は細けーことは気にしないのです。

「アベンジャーズ・シリーズ」と「ジャスティスリーグ・シリーズ」は比較されながら、どっちが面白いか論争が必然的に生まれていましたが、ここにきてようやく、その論争はまったく無意味なものになったと思います。

つまり、どっちも楽しんだもん勝ちだぜ!ふぅー!

ヒーローチーム、全員見せ場がど派手で最高。人間にはできない動きとスピードで、躍動しまくる。
「超人」たちの大味なバトルをときに傍観しつつ、チームキャプテンとして、自分にできることを模索し続ける、ただの人間・バットマンが素敵。

本作の敵役・ステッペンウルフ。
劇場版と比べて、はるかに強化されてる・・・かと思いきや、むしろ弱体化してるのが、非常に切ない。

劇場版では尺の都合上、「絶望的に強い宇宙イチの残虐巨人」みたいになっていた。わりによえーなと思ったもんである。
しかし、「スナイダーカット」では、本当は、「宇宙中すべての生命を隷属させる」(なんのこっちゃ)野望を持つ、「ダークサイド」という大黒幕の、右腕でも左腕でもなく、たぶん左手薬指くらいの存在でしかないことが判明。
フリーザにとってのラディッツ -いや、もうちょっと強いのでー、ナッパくらいの奴でしかなかった。

悟空(スーパーマン)が帰還した瞬間、ぼこぼこにされるのも、非常にナッパっぽい。

そう考えると、むしろ頑張ったほうであり、フリーザ様に認められたいいいい!という思いが、胸に迫るほどである。
ということは、「ダークサイド」てのはどんだけ強いねん!ステッペンナッパでもこんだけ強敵なのに!という感覚のほうが勝るので、そこまで弱体化は気にならない。

劇場版では、スーパーマンが出てきた瞬間、「ククククリプトン人だぁ!怖い!」と狼狽するのが無様だったが、そこは今回はカットしてもらっていた。ナイス。

つまり、ここが本作最大の問題点なのですが。

そもそも、この「ジャスティスリーグ」シリーズは、現在頓挫しているのです。
「全員集合!」としての企画はあきらめて、ヒーロー単体での物語で再構築を始めている。
スーパーマンもバットマンも、同じ役者での続編はほぼ絶望的な状況。

それもこれも、劇場版が興行・レビューともに不調であることが要因なのですが、今回奇跡的に242分の「スナイダーカット」が公開となり、尻切れトンボ状態だった本シリーズにも、ようやくひと段落というか、供養の時が訪れるかと思いきや・・・。

さすが、ザック・スナイダー監督。

そもそも自分が3~4時間近い作品を製作しちゃって、スタジオともめ、その他ごたごたにより、どうにも立ち行かない状況になったジャスティスリーグシリーズに引導を渡せるチャンスだったはずだが、

これが俺のジャスティスリーグだ!

という思い大爆発。風呂敷はたたまれるどころか、広げっぱなしで終わる。

結局何だったんだ。

「ダークサイド」とか、「アンチ生命方程式」?とか、「スーパーマンがほかのヒーローを殺しまくった暗黒の未来」とか。
そんな中、ラストには更に新キャラも登場するし。

ナッパ戦で終わるドラゴンボール状態になるなんて、ザック・スナイダー監督、やはりただもんじゃない。

最高な意味で最低である。お願いだから、どっかの大富豪さん、続編を作ってください。

というわけで、長々としましたが、結論。

興味ある人は、絶対に観る。ない人は、観る必要なし!人生は短いので、興味ない映画に4時間も費やしてる場合ではない。

僕は、当分は通勤途中の動画は、これを無限ループします。


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参考

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