「オンライン読み聞かせ」との上手なつきあい方 #記事の解説


今回は、本来、私がこのnoteで書こうとしていることとは少し趣旨が異なります。

本日8月29日(土)読売新聞朝刊16面に、以前取材を受けたときのコメントが「絵本読み聞かせオンライン活況」という見出しで掲載されましたので解説いたします。実際には、記者さんにお伝えしたことの100分の1くらいにまとめられています。


2017年から18年にかけて...ちょうど私が、政府のまち・ひと・しごと創生本部から長井市に派遣されて2年目と3年目の時です。脳科学者川島隆太先生にお願いして、東北大学加齢医学研究所と長井市とで親子の読み聞かせの45組の調査をしました。詳細は別の機会にご紹介しますが、このとき明らかになったのは以下のことでした。

親子の読み聞かせを行うことにより、

言語発達といった知的面の向上だけでなく、親のストレスが減り、子どもの不安傾向や抑うつなどの問題行動が減ること、

がわかったのです。

そして、読み聞かせにより、子どもの、いわゆる緊急避難基地が形成されることがわかったのです。


調査の概要はこちら↓をお読みください
最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる (青春新書インテリジェンス) (著)松﨑泰 ・ 榊浩平(監修)川島隆太

このことからも、「リアルな親子の読み聞かせ」というのは、親子間に信頼関係を構築する取り組みであり、「親も変わり子も変わる」取り組みであることがわかります。

数ある親子の取り組みの中でも最もお手軽で効用が多彩であるものの一つでしょう。


こうしたことから、

「読み聞かせ」という表現こそ使われていますが、「オンライン読み聞かせ」と「親子の読み聞かせ」は別物と言えます。


オンライン読み聞かせを従来の親子の読み聞かせで得られる効用に近いものを望むのであれば、
視聴後に感想を話題にしたり、読んだことがない絵本探しをするときに親子でまずは視聴してみるといったように、親子のコミュニケーションのきっかけづくりに用いると非常に便利なツールとして使うことができるでしょう。

ここで、気を付けるべきことは、

オンラインのものは便利ですが一つのツールに過ぎないということです。
一方、リアルな親子の読み聞かせも一つのツールなのですが、当然ながら、オンライン読み聞かせとは違い、取り組み自体が「親と子のコミュニケーション」なのです。

言語発達にしても、心の健全な発達にしても、その根本は親子のコミュニケーションであることが明らかになっていることを考えれば、

他の電子機器と同様、便利さの裏には、知らず知らずのうちにコミュニケーション不足に陥るなどのリスクがあることを世の中の親御さんには忘れないでほしいのです。

もちろん、オンライン読み聞かせ自体は全く悪いものでもありません。扱い方さえ間違わなければ、むしろ親子のコミュニケーションづくりに幅ができて、大変良いものとなってきますので、上手に使ってみましょう。


最後に、

既存のオンライン読み聞かせの延長線上ではありませんが、オンラインの特性を活かして、「親子の読み聞かせ」を行い、親子のコミュニケーションを深めるヒントを提案します。

TED Talk アラン・クリックモア|読み聞かせが結ぶ服役中の親と子の絆


このTEDの動画は、イギリスにおける、服役中の親を対象とした、ユニークな読み聞かせの取り組みについてのトークです。離れた我が子に対してカメラに向かって服役囚自身が読み聞かせしている様子を収録して、音響効果などの編集を加え子どものもとに送り届けるというプロジェクトです。

アラン・クリックモア氏によれば、ユニークな活動というだけではなく、驚くことに、参加した服役囚の98%が我が子との関係改善につながったのだそうです。

こういった、何らかの事情で親と子が離れ離れになったり、仕事などで会えない場合に、親の読み聞かせ動画を作り、子どもがそれを見るといったような取り組みを家庭の中で工夫していくと、親子の信頼関係を深めるきっかけの一つになりそうです。

このように、既存のオンライン読み聞かせが、親子のコミュニケーションツールの方向に進化していくことを期待します。そうすれば、孤独を感じる親御さんやお子さんを助けてくれる、非常に有益なツールになるかもしれません。

いかがでしたか。

オンライン読み聞かせは、親子のコミュニケーションをうまく取り入れて工夫してみてください。

私がホストとして運営するLINEオープンチャットの「親育ち」でも、このオンライン読み聞かせについても話題になっていますので、皆さんのぞいてみてくださいね。


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