見出し画像

出会いと別れの積み重ねが人を成長させる。旅は人生の縮図だ!「行かずに死ねるか/石田ゆうすけ」

こんにちは

今日は読書録。
石田ゆうすけさんの自転車旅行記「行かずに死ねるか」です。

本書は1995年から2002年までの世界9万5000キロの自転車旅を記しています。作者の石田さんは20台半ばに「スリルと冒険に満ちた人生」を目指して順風満帆だった生活を捨てて旅に出ています。
バブル崩壊直後ですし、いいお仕事されてたみたいなので世界を旅するから仕事をやめると伝えた時は呆れられたそうです。今みたいに、海外の情報も少ないですし危ないイメージも強いでしょうから、こういう反応はむしろ当たり前でしょうね。

旅は出会いと別れの繰り返し

本書の特徴として旅先でであった人との話に重点を置いて構成されています。世界旅や自転車旅の苦労とかサバイバルみたいな話は必要最小限と言うくらいです。

この石田さんの出会いの描写がすごくいいんです。巻末の解説に椎名誠さんが書いていましたが、必要以上にドラマチックに意味付けすることなく、なお生き生きと描写している。本当にこの言葉通りにたくさんの人との邂逅が描かれて、そのときに石田さんが感じたこと・考えたことを細やかに表されています。
ですので冒険記を期待するとちょっと肩透かしかもしれません。ともすればエッセイに近いと言えると思います。

世界9万5000キロと7年半の歳月ってすごい重くて、石田さん自身の内面の変化や成長がこの本の中で書かれているんです。そこには旅先で出会った人との交わりが欠かせない。
初めは波乱万丈を求めて出た旅でしたが、だんだんと石田さんが自分の命の責任を認識してくるんです。絶対に生きて帰らなきゃって決意をされています。

自分の考えを変えてくれるのは他人だと思います。他人との交わりの中で未知を知って、自分が成長していく。その繰り返しが人生なのかなと。
旅は出会いと別れの繰り返しです。だから旅は人生の縮図なんじゃないでしょうか。

日々旅をする

僕も自転車旅をしたことがあって、調理器具やテントなどのでかい荷物を積んだ自転車で日本の各所を走ったものです。
この本を読んで僕も旅に行きたくなりました。旅をして知らない人と交わって自分を変えていきたいなってすごく思います。

でも、それはしない。仕事を続けたいし、ちょっとした長期休暇に旅をやるならまだしも石田さんのような数年がかりの旅は流石にする気がありません。
だからこそ、日々の生活の中で知らないところに行って、知らない人に会って、異なる価値観にもっと触れていきたい。

最後に本書で一番気に入った部分を抜粋します。

自分が未体験ならばそこは紛れもなく”フロンティア”である。
実際そこに行って己の目で見ない限り、それは自分にとって永遠に”未知”なのだ。
いまのぼくにとって世界はひどく謎めいていて途方もなく大きい。
それらを片っ端から見てやるのだ。
世界中に散らばっている最高の宝をひとつひとつ探しにいくのだ。
-行かずに死ねるか/石田ゆうすけ

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?