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初めての転職とそこで学んだこと

転職したいけどなかなかできない、転職しても大丈夫か、そんな相談をよく受けます。今回は転職について漠然とした不安を抱えている方に向けて、具体的な転職のイメージを持ってもらえるよう、補足を交えながら私の転職経験について語りたいと思います。

転職は、その人の価値観、転職市場の動向など、様々な要因で善し悪しが変わりますし、正直やってみないと分からない運的な要素も大きいです。そのため、一般論化して語るのは難しいですが、私自身も4度の転職を通して様々学んでいますので何かの参考になれば。

私の会社員経歴

現在、私は独立していますが、会社員時代には4度転職、5社を経験しました。また、1社目では外資ベンダーへの出向も経験しているため計6社を経験しています。

会社員経歴
・日系IT(2,000人規模)
・日系IT(200人規模)
・外資コンサル(2,000人規模)
・外資コンサル(2,000人規模)
・日系サービス(1,000人規模)

今回は最初の転職である、日系IT(2,000人規模) → 日系IT(200人規模)への転職について書いていきます。

転職の経緯

新卒で入社した会社はメガ銀のグループのシステム会社でした。

もともとはプログラミング好きが高じて院転したぐらいで、エンジニアを目指して入社したのですが、配属された部署での業務は、技術調査や基準の策定など、エンジニアリングとは異なった業務内容で、想像したキャリアを積めていない状況でした。

会社としては何かしらの期待が有って、特殊な部署に配属してくれたのだとは思いますが、システム開発案件に関わりたいというのが当時の私の思いでした。

そもそもこの企業はエンジニアリングではなくマネジメントが主な業務とする会社であったことを入社後に知りました。そういった会社であることもあって、技術力よりもマネジメント力を評価する風土であったため、技術を突き進められないというのも自身の想いとの違いを感じていました。

そんな中、とある外資ベンダーに半年間の出向を経験します。そこでは、高いモチベーションで、自分たちの製品と技術力でクライアント課題を解決する人たちを多く見ることになりました。自分のやりたいことはこういうことだと改めて気づきます。

出向を終えて自社に戻るとすぐに、部署異動、もしくは、開発案件に関わらせてもらえるよう強く要望しましたが、半年、1年経っても状況は変わらず。

これ以上、会社内で状況を変えるのは難しいと思い、転職を決意。技術力でクライアントの課題を解決する、そのためのスキルアップ・キャリアアップを目指して。

転職活動

いくつかの転職エージェントに相談に行き、良い提案をしてくれたエージェント1社を選び、そこから3ヶ月程度エントリーシートの提出と面談の転職活動を行いました。

以前出向した外資ベンダーのような企業が希望だったのですが、その当時はまだ社会人経験が3年弱でしたので、転職市場では未経験者として扱われ、即戦力の実力が求められる外資系企業などはエントリーシートすら通らず。

結局、投資顧問業というニッチな業界向けのパッケージソフトを開発しているIT系企業の内定を獲得します。その企業は、業界がニッチであるために経験者が転職市場におらず、潜在能力重視の採用を行っていたため、経験不足であった私でも内定を出してくれました。

企業規模(従業員数)が勤めていた会社の1/10程度であったため、安全路線で人生を歩んできた私はかなり悩みましたが、状況を変えたいという想いが勝ち、転職に踏み切ります。

退職手続き

転職が決まれば退職手続きに入るのですが、勤めていたのが伝統的な企業であったためここは少し苦労しました。有給休暇を消化できない、3ヶ月前に退職願いを出さないと退職できないと言われるなど。

しかしながら、転職エージェントにも相談したり、自分でも法律を勉強して、明らかに法外な要求については跳ね除けたりしながら、引き継ぎはしっかり行い、内定から2ヶ月程度で退職となりました。

ここで少し補足すると、法律上は希望してから2週間で退職できます。ただ、会社の事務手続き処理上、1月以上前に希望しないと会社側でイレギュラー処理が必要になることが多いので、早めに退職を伝えるのが良いです。あまりに直前の連絡だと無駄に揉める可能性があります。

退職日が決まっていれば有給休暇も全て消化できます。“退職 時季変更権”でググると分かります。休暇取得を希望して記録を残すのが重要です。

ただ、法律を持ち出すのは最終手段にした方が良いです。私は別件で経験しましたが、法律で争うことになると結構面倒です。何か言われた時のために法律上は自分を守れるように対応しながら、基本は話し合いで解決していくのが、結果的に自分自身も会社側も楽です。

転職前の想定と、転職後の現実

そうやって転職した結果、転職前の想定と、転職した結果の現実がどうであったか説明したいと思います。結論から言えば、想定と大きく異なることはなかったですが、想定外に様々と気付かされることが多かったです。

給与面の想定と現実

給与アップを狙った転職ではなかったため期待はしていませんでしたが、結果的には月給は上がりました。といっても転職先が多忙で残業代が多く出たことが主な要因ではありますが、収入が増えたことは当時それなりに嬉しかったです。

ちなみに、給与アップによるモチベーションへの影響は最初の3ヶ月くらいでした。給与や賞与は働くモチベーションに大きく影響するものだと思っていたので自分の中では意外でした。だんだんと慣れてしまうんですね。

その後の転職経験も踏まえて言えば、積極的な採用活動をしている企業であれば、前職の給与を加味して高い給与を提示してくれることが多いので、転職すると大抵の場合は給与アップします。

働き方の想定と現実

当時の私は、20代のうちは苦労してでも自身のキャパシティを上げたいと考えていました(今となってはあまり良い考えとは思いませんが)。

転職先は比較的小さな企業であったため一人でカバーする業務が多く、フォロー体制もほぼなく、必然的に忙しく残業も多かったです。年平均でも月の残業時間は100時間を超えていました。

ですので、転職前の想定からすると希望どおりの働き方になりました(良いか悪いかは別として)。実際このときの経験を通してタフになったと思います。

転職して気づいたこととしては、転職前の大企業の場合は社内政治(人間関係)による精神的な疲労が大きかったですが、転職した小さい企業では、とにかく業務量が多い・多岐にわたるため、肉体的な疲労が大きかったです。

スキルアップ

自分の技術力や製品でクライアントの役に立つ仕事をしたい、そのためにスキルアップ・キャリアアップしたいという思いで転職したわけですが、一部は想定通り、一部は想定とのギャップがありました。

”クライアントに役に立つ仕事をしたい”という点では、直接クライアントと対話し、自社パッケージをカスタマイズしながら課題解決するという経験ができ、やりがいを感じましたし、傾聴力や課題を分析してシステム仕様に落としこむ能力も向上できました。

大量の課題を一人で沢山こなす必要があったため、小学校のドリルのような感覚で基礎能力を高められたと思います。

ただ、小さい企業では教育などは整備されておらず、ほぼ我流で対応していたので、のちにやり方を矯正する必要はあったのですが。

一方、”技術力”という点では、この会社のパッケージ製品は古い技術を使っていたため全く興味が湧きませんでしたしスキルも向上しませんでした。入社前にも多少システムのことについては聞いていたのですが、入社してみないとわからないもんだなと。

また、システム会社とはいえ、未経験者が集まった会社であったためか、開発プロセスが一般的なものとは大きくかけ離れており、なおかつ、社員もそれに気づいていない状態だったため、この会社にずっといたら、この会社でしかシステム開発ができない人材になってしまうという危機感すら感じました。

想定外に気づいたこと

その他、転職することで想定外に色々と気付かされました。

・能力と給料は相関しない
・会社ごとにルールが違う

転職先では給与・能力とポジションが明らかに相関していない人がいました。能力がないのにマネージャー職に就いていたり、クライアントからクレームが多いのに高級取であったりと理不尽さを感じました。

その会社では仕事のできない人でもその会社初期から関わっている人が良いポジション・給与が高いという状態でした。社会での立ち回りや運でも給与なんて変わってしまうということを知りました。

また、開発プロセスの件もその一つですが、会社によってルールが違うということも大きな気づきでした。転職前の会社では当然と教えられたことが、転職先ではそうではない。

例えば、仕事の進め方も、転職前の会社では常に伺いを立てながら仕事を進めてましたが、転職後の会社では自分で判断して仕事を進めるのが当然でした。細かな事で伺いなんて立ててたら、さっさと手を動かせと言われる始末。

結局、会社が教えていることなんてのは、一般的ではなかったり、会社の都合が良いように教育している面もあるんだと言うことに気づけたのは大きかったと思います。これに気づけてからは、上司になにか言われても自分の頭で考えるようになりました。

結果的に良かった点、悪かった点

苦労も非常に多かったですが、得ることも多く、今となって考えても結果的には転職して良かったと思っています。

転職して良かった点
・視野の広がり
・自己分析
・マインドの変化
・スキル向上

まずは良かった点から。

まずは視野が広がったという点です。具体的には、会社には独自のルールが多いんだなということを知れました。1社しか経験していないと、その会社のルールが一般的と思ってしまっていたのですが、会社ごとに全然違うんだなと。規模の違う企業に転職したからこそ、その点がよく見えたのは良かったと思います。

能力と給与が相関しないと言うことに気づけたのも良かったです。スキルアップさえすれば給与が後からついてくると当時は信じてましたので、社会で良いポジションを取ること(時には運)の方が給与という意味では必要なんだと。

次に、自己分析ができたというのが良かったです。自分の技術力や製品でクライアントの役に立つ仕事をしたいという希望で転職したわけですが、実際に仕事をしてみると、それが心底からの欲求であったのか、ただの思い込みであったのかがはっきりしました。

クラウアントの役に立ちたい、これは実際に仕事してみてやっぱりやりたかったことであることが分かりましたし、技術力という点においては、単に技術に触れるだけではなく、新しい技術でないと興味が出ないんだと。

また、投資顧問業という業務にも全く興味がわかなかったことで、自分はビジネスよりも技術に興味があるんだということに気づけました。

次に悪かった点について。

転職して悪かった点
・周りからの見え方
・精神的には辛かった
・退職金の権利を破棄

周りからの見え方は結構冷たかったです。親を含めて大企業に勤めることが良いことだと考えている人たちから見たら、この転職は誤った判断ですから、そういった考え方が多い集団の中ではあまり良くは見られませんでした。

あと、転職後3ヶ月くらいは精神的にかなり辛かったです。と言うのも、安全路線で人生を歩んできた私は(当時は気づいてなかったですが)プライドもありましたし、転職するとそれまでの知識・スキルが通用せず、年下の同僚などにキツく指摘される場面も多く、当時は毎日仕事を辞めたいと思ってました。

また、転職するということは退職金の権利を放棄することということにあとで気づきました。今のご時世では今後はわからないですが、当時は大企業であれば定年まで勤め上げれば退職金が2,000万円くらい貰えるという話があったので、その権利を放棄したのは人生設計上は結構大きいです。

給与が増えて喜んだと言う話を書きましたが、人生の総収入で考えるとこの転職はマイナスとなった可能性が高かったため、より良い条件の仕事を探さないとまずいということを強く考えました。

仕事以外に関する気付き

仕事に関すること以外にも、転職をして気づいたことも書きたいと思います。

・転職エージェントには気をつけたほうが良い
・法律を知ることの重要性

転職エージェントについては気をつけた方が良いなと感じました。彼らのビジネスモデルを知れば明らかですが、転職させることで儲けるビジネスモデルですので、良い条件でなくても内定が取れれば転職を勧めてきます。かなり強いプレッシャーで。

むしろ、1年してまた転職してくれれば彼らはまた儲けられるので、ベストな転職ではない方が良いとも言えるわけです。そういった事情を頭に入れた上で彼らとは接した方が良いです。

この転職では、転職エージェントは1社に絞りましたが、少なくとも2社と同時で進めるのが良いと思います。1社と付き合った方が面接スケジュールや内定スケジュール(大抵の場合、内定に対する返答期限があるため、複数社の選考を進めている場合は内定のタイミングを合わせる必要がある)を調整してくれるので楽ではあるんですが、転職先の企業が条件に合うかどうか判断しづらくなります(情報が偏る可能性があります)。

ただ、彼らは転職をさせたいので、引き止めに対する対処方法などは積極的に教えてくれます。そういう点では相談しても良いと思います。

また、法律を知っておくことの重要性も知りました。会社に属していると、基本的には会社が守ってくれるためあまり意識しませんが、転職時は守ってくれるものがありません。2度目の転職の際には社労士にも相談しに行きました。

上にも書きましたが、法律にまで話が及ぶと非常に面倒なのであまり法律を持ち出すことはお勧めしませんが、最終的に自身を守る拠り所になるため、知識は持っておいた方が良いです。知識がなければ会社の都合を押し付けられてしまします。

まとめ

私の最初の転職について、補足を交えながら経験を紹介しました。私の場合は、色々と気づけたことがその後の人生のためにも(今考えると)良かったと感じています。

転職のイメージを持つための助けになれば幸いです。

ちなみに、転職半年後から私はすぐに転職活動は開始してました。視野も広がり、自己分析が進んだこともありましたが、そもそも、経験不足が理由で理想的な会社を選べたわけでもなかったですし、当時は転職市場もあまり良くなかったため、改めて転職する必要があると感じていたからです。

その点はまた記事にしたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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