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#343 評価が人を育てる。評価はマネジメントの核心である

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

昨日の記事で「管理職」と「マネージャー」の違いについて私の考えを述べましたが、それに対して「評価もマネジメントに含まれるか?」という趣旨のご質問をいただきました。

これに対する私の考えは"Absolutely yes!"(日本語で言えば、「ほんまそれな!」)で、「評価」はマネジメントの最重要な仕事だと考えています。

なぜなら、マネージャーの仕事は「組織目標を達成するというゴールにチームを連れていくためになんとかすること」であり、組織目標を達成する=チームで成果を出していくには、メンバーを育てることは不可欠。そして「評価」はメンバーの成長を促すための重要な手段であるからです。

昨日の論点で言えば、「管理職が行う評価」という文脈では、「評価はメンバーを管理するための手段」というとんでもない誤解をもたらすことにもなりかねませんが、「評価は、人の成長を促すものであり、評価なくして成長なし」と言っても過言ではありません。

「私は評価を気にしない」という方もいらっしゃると思いますが、私は「他人が言うことは気にしない」という話の中に「組織の中での信頼を得ていきたいのであれば、仕事の成果を測る評価も含めて、全く気にしない」というのはちょっと違うかな、という考えを持っています。

全てのビジネスは他者への価値貢献であり、仕事の成果は他人が評価するのが基本ですから、マネージャーもメンバーも「評価」にはこだわるべし、という意見です。

今日は、マネジメントとして「評価」をどう捉え、実行するのが大切か。また、メンバー視点での「評価」との向き合い方についての考えを述べます。


マネージャーは、評価するならまず「期待値」を示す

「リーダーとマネージャーの違いは何ですか?」と質問されたら、何と答えますか?
答えは一つではないと思いますが、一つの切り口として「メンバーの評価を行うか否か」ということが挙げられます。
リーダーは仕事の直接的な指導をする人を指しますが、メンバーの収入に影響を与える「評価」を必ずしも行わないのに対して、マネージャーには「評価」という仕事があります。

私もメンバーの立場からマネージャーになってつくづく実感しているところですが、評価は「評価される側」よりも「評価する側」が大変です。

何らかの組織に属していれば、年に最低1回は評価の機会があるのが一般的かと思います。「評価」と聞くと、業績評価のタイミングに取り組む仕事だと捉えられがちですが、そうではありません。むしろ、日常的に取り組むべきものであり、そうでないと「評価」をメンバーの成長に繋げていくことは難しいです。それはマネジメントとしての「評価」には、次のプロセスが存在するからです。

1. チームの目標を定義する
2. チームの目標を達成するために、チームで「何をするか」を決める
3. チームで取り組むことを達成するために、各メンバーへの期待値を伝える
4. (日々の仕事の中で)メンバーへの期待値と実績のギャップがあれば伝える
5. 期待値と実績のギャップを埋めるアプローチを一緒に考える、考えさせる
6. 業績評価のタイミングで、当初期待値と実績を比較して評価する

つまり、「評価」と聞くと6だけをイメージしがちですが、1〜6を含めて「評価」になるということです。ただ、マネージャーにとって1〜5のプロセスはなかなか大変なこともあり、端折ってしまうケースも少なくないです。しかしメンバーが「評価の結果に納得がいかない」と感じるシーンのほとんどは、その前段の1〜5が不足しているケースです。マネージャーとしては「期待値とズレてるんだよな」ということを感じていながら伝えずに、業績評価シーズンになってサプライズ的に本人にギャップが伝えられるから、メンバー本人の認識とマネージャーからの見え方に大きな乖離が生まれてしまうのです。

マネジメントにとって、メンバーを評価するのであれば「私はあなたにこういう動きを期待する」ということを明確に伝えることが出発点です。
そして、期待値と実際の動きの乖離は、メンバー自身でなかなか気づきにくいものですから、本人にきちんと伝えて認識してもらう必要があります。

期待値と実績のギャップは、メンバー本人にとっては耳が痛いものもありますから、マネージャーにとっても「本人に伝える辛さ」があります。だからつい曖昧にしてしまいがちですが、このギャップに気付かせるフィードバックを行わないと、メンバーは一向に期待値に近付きません。

「評価」が成長を促す手段だ、という主張は、期待値とのギャップを頻繁なフィードバックにより微修正していくことで、より高い期待に応えられるようになっていくからです。

メンバーは、「自分への期待値」を把握しにいく

基本的に「評価」はマネジメントの仕事なのですが、メンバーも組織の中で周囲の信頼を勝ち取り、成長していきたいと考えるのであれば、受け身でいるのではなく、自ら「自分への期待値」を取りに行くのをオススメします。

まずは、組織の評価制度を理解して、マネージャーから明確に「自分への期待事項」が示されない場合は、マネージャーに確認するところからですね。

「自分では頑張っているつもりでも、なかなか評価されない」ケースは、そもそも頑張っている方向性(=組織から自分への期待値)を見誤っている可能性があります。そんな状態で努力をしても、組織からの期待値とズレたままの状態では評価に繋がらず、より面白い仕事にアサインされる可能性は上がりませんから、「自分のために」、自分への期待値を正しく理解し、現状の貢献度を自己認知するところが出発点です。

自分への期待値がそもそも正しいものかどうかは一旦置いておいて、組織の存在意義を定義し、「何を優先するか」「何をやるか」を決めるのはマネジメントの仕事ですから、基本的にはその期待値に対して応えていくことが必要です。

組織が向かう場所ややること、自分への期待値に納得がいかなければ、もちろん説明をマネージャーに求めることが大切。でも、マネージャーとメンバーの役割の違いの話で、最終的に「自分への期待事項」を決める立場にあるのは、マネージャーです。組織として取り組むことと本人の意思をよくすり合わせし、組織と個人それぞれにとってWin-Winな状態を目指すことは大いにやるべきですが、それでも残念ながら「自分への期待事項」に納得できない時には、その上でどうするか?を考える。

評価基準(=自分への期待事項)を決め、メンバーの成果を評価し、その説明責任はマネジメントにある以上、評価結果の理由をメンバーからマネージャーに求めることは大事です。しかし、メンバーが評価結果について「交渉する」、というのは違うと考えます。評価するのは、あくまでマネージャーの仕事だからです。

そこは役割の違いを理解した上で、「自分への期待事項」に共感できなかったり、「評価結果」に納得がいかない場合は、それでも期待値を満たせるように割り切って努力するか、環境を変えるか、という選択肢になるのかなと。

評価には、「基準」と「頻繁なフィードバック」が鍵

繰り返しますが、「評価」は、メンバーの成長を促すための重要な手段です。

評価する側もされる側も、納得感のある評価により成長に繋げていくためには、明確な基準(=自分への期待値)と、期待値と実績の乖離に関して、普段からマネージャーとメンバーで期待値に近づけるための会話の機会を頻繁に持つことが大事。

「評価」は、自分という存在そのものに対するフィードバックのように聞こえるので避けたい気持ちもよく分かりますが、あくまで「チームで成果を出すための、メンバーに期待する"行動"と、実際の"行動"のギャップに対するフィードバック」というように客観的なものとして捉えましょう。

「評価」は、決して「管理職」による「人を管理する手段」ではありません。「メンバーの成長を促してチーム成果を出すマネジメントの手段」であると認識して、手間がかかることだけど、大切だから日頃から取り組んでいくことです。

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