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【今でしょ!note#158】木こりのジレンマに陥っていないか

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

先日、会社で所属する組織の今年度キックオフに参加した際に、「木こりのジレンマ」の話が紹介されていました。

「木こりのジレンマ」は、スティーブン・R・コヴィー氏の著書「7つの習慣」にも紹介されている次のような有名な話で、効率の悪い仕事の例え話ですね。

 ある村に新しい斧を手に入れた木こりがいた。1日目、その斧で森の木を10本切り倒した。日を追うごとに彼はより長時間、より懸命に仕事に精を出すようになっていったが、それに反して、切り倒す木の数は日増しに少なくなっていった。

 それを見た仲間が「なぜ斧の刃を研がないのか?ボロボロになっているから切り倒せないんだ」と彼にアドバイスをした。

 すると働き者の木こりはこう答えた。「そんなことをしている暇があったら、もっと多くの木を切らなければいけない」と。

「木こりのジレンマ」より

目の前の仕事に忙殺されて、それをこなすのに精一杯になり、仕事の本質的な改善や効率化や、自身の成長のために時間を使えないことを表しています。

この話だけ見ると笑い話のように思えますが、私たちも無意識のうちに同じようなシチュエーションに陥ってしまっていることも多いのではないでしょうか?

「時間がない」「忙しい」が口癖で、常に予定に追われている人もいらっしゃるかと思いますが、私自身も自戒を込めて、改めて気をつけておきたいことを記しておきます。



常に片手を空けておく

これはかなり大切なマインドセットですが、なかなか難しいことですね。
でも、難しいで片付けてしまってはならない、かなり重要なスタンスなので、しっかり向き合いたいと思います。

特に管理職になってから意識しているのは、常に自分の身体の半分は空けておくというスタンスです。自分のキャパシティに余裕がないと、本来自分が管理職の立場だからこそ取り組むべき仕事に永遠に取りかかれないからです。

100%出来ているわけではないというか、出来ていない点のほうが多いと指摘を受けそうですが、それでも以前の自分に比べれば、物事に余裕を持って取り組むことができているように感じます。

片手を空けておくために自分なりに意識していることを2つご紹介します。

チームメンバーのアサインの考え方

以前、山口周さんも話されていた1つの考え方をご紹介します。

仮に、自分のチームに3人のメンバーがいるとします。1人は、いわゆる有識者で実務をバリバリこなせるエース級のメンバー。1人は、若手の最も経験値が少ないメンバー、もう1人は、その間くらいの年代・能力の人と仮定します。

そこで、かなり難易度の高い仕事が出来たとして、誰をどのようにアサインするか考えてみましょう。

多くの人は、エース級のメンバーにこそ、この一番難しい仕事をアサインするのがよいと考えると思うのですが、実はそうではありません。

この一番難しい仕事には、マネージャー自身と、最も経験値の浅いメンバーで取り組むのが、優秀なマネージャーの選択肢ということでした。

私は、数年前にこの考え方を知り、自分でも実践してみた結果、確かにこのアサインのほうが効果的だと感じるシーンが多くありました。

まず挙げられるのは、「チーム力の底上げ」です。
難しい仕事をエースが担当することで、確かにその仕事の成功確率は上がります。しかし、難しい仕事ほど、達成したときの成長具合も大きく、経験値が浅いメンバーのほうが伸び代も大きいため、チーム全体の底上げの観点からは経験値が浅いメンバーを重点的に育成したほうが効果的です。

そして何より、自分自身と組んで仕事を経験してもらうことで、単なる出来た資料だけではなく、成果に至るまでのあらゆるプロセス、例えば関係者との話し方や振る舞いなども含めて、一番近いところで学んでもらえるんですね。

これは、先輩側に立つとプレッシャーではありますが、自分自身も過去にデキる上司や先輩に帯同して行動することが多く、近くにいたから学べたことばかりでした。

だから、意識的に経験値が浅いメンバーと一緒に仕事をして、チーム力の平均値を上げることを心がけています。
いざという時のために、エース級を温存しておけるのも、この育成戦略のいいところです。

仕事の方針は柔らかいうちから入り込んで決める

何かの仕事に取り組むときに、メンバーが一旦ドラフトを作り、作ったものに対してあれこれラインの上長がコメントをして手直しをしていくプロセスは、ホワイトワーカーの仕事ではよくあると思います。

しかし、このやり方ではロスが大きくなることも多いです。具体的なゴールのイメージが見えていないメンバーからすると、ああでもない、こうでもないと考えているうちに時間はドンドン過ぎていきます。
時間をかけたにも関わらず、出発点のところで上長が求めるものと違っていて、ほぼ最初からやり直し、みたいなことが身に覚えがある方も多いのではないでしょうか。

私は、このメンバーがただ悩んでいるだけの時間と、最終イメージがすり合わないままディテールを作り始めてしまうことによるロスが嫌いです。
こういうと、最初に答えを示してしまっては、メンバー自身が考える癖が付かないという反論もありそうですが、私はそうは思いません。

そもそも、一人で抱えて悩んでいる時間はかなり生産性が低く、それくらいなら対話を通じて言葉に出すことでイメージを膨らませたり、紙やホワイトボードに作って欲しい絵を書いてしまって、それを元に一緒に最終成果物の概観を合わせてから作り始める方がはるかに生産性が高いです。
個人で考えることも大切ですが、それはディテールを詰める時に考えればいいわけであって、そもそもイメージができないものはいくら考えても答えに辿り着く可能性は限りなく低い。

無駄なストロークだけが増えていって、そのためにマネージャーの時間が都度奪われてしまっては、片方を空けるどころか、すぐに両手でも抱えきれなくなってしまいますね。
だから、最初に仕事をお願いする時点で、仕事の目的を伝えるだけでなく、できるだけ具体的な期待事項を伝えることを心がけています。

空けた片手で何をするか

時短や生産性向上は、その先にある「空けた時間で何をするか」がとても重要です。私は先に述べた通り、本来管理職でないとできない仕事に集中すべきだと考えています。

それは何かと問われれば、私にとっては「組織力の向上」に尽きます。

「組織力の向上」を図る観点はいくつかあるので、また改めて詳細を説明しますが、一つだけ観点をご紹介すると「いかにモチベーション高くメンバーが仕事に取り組めるか」。
当然、モチベーション高く取り組んでもらった方がパフォーマンスが上がります。モチベーション高く取り組むためには、会社やチームといった役割分担を超えて、同じゴールを目指すプロジェクトメンバーがお互いに信頼感を持って、コミュニケーションが円滑に進むチームをいかに構築できるかにかかっています。

そのための機会をアレンジしたり、これまでやったことがないことにチャレンジしたり、と「仕事を通じてこういうことまでできるんだ!」という世界をどれだけメンバーに実感してもらえるか、が勝負所です。
冒頭に話したキックオフは、今年度も映画館を貸し切って開催されました。イベントを企画した役員からは、その意図として「これまでのやり方に捉われずにやって欲しい」と伝えたかったとの話がありました。

こうやって背中を見せてブレイクスルーを見せてくれる上司の姿が、いかにメンバーの背中を押してくれるか、ということを改めて身をもって感じました。私もそんな存在になれるよう、常に斧の刃を研ぐことを忘れないでいたいと思います。

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
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