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ウェイテッドボールスローの急性的影響について

今回の文献では、ウェイテッドボールスローの急性的影響について調べています。近年有名になっていて、NPBでも取り入れている選手もいるようですし、SNSでもよく投稿されるのを見るので、ちょっとやってみようとなる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この文献の著者さんたちは、過去に6週間のウェイテッドボールプログラムの効果について調べていますが、今回のような急性的な影響に関しては今まで研究はされてなかったようなので、新しい切り口でいい情報だと思います。


研究デザイン

16名の高校野球選手に対し、1週間ずつ間をあけて以下のコンディションをランダムにアサインした。
アンダーロード (5, 4, 2oz)
オーバーロード (5, 6, 9oz)
エクストリームオーバーロード (5, 16, 32oz)
各重さのボールで3球ずつ、3つのポジション (kneeling, rocker, and run-and-gun)で投げた。

つまり、5ozのボールをkneelingで3球、rockerで3球、run-and-gunで3球。4ozのボールを。。。のように、各コンディションで合計27回投げたそうです。

そして、肩の外旋と内旋を投げる前後で計測。つまりウェイテッドボールを投げた直後の肩の外旋と内旋可動域への影響を観察したそうです。


結果

アンダーロード:内旋・外旋で統計学的に有意な変化は見られず。
オーバーロード:外旋で平均3.3度の増加が見てとれた。内旋の統計学的に有意な変化は見られず。
エクストリームオーバーロード:外旋で平均8.4度の増加が見てとれた。内旋の統計学的に有意な変化は見られず。58%(8−9名)は最低外旋10度の増加が見てとれた。


考察とクリニカルリレヴァンス

ウェイテッドボールの重さが増加するにつれ、肩の外旋可動域の急性的な増加も見てとれた。
オーバーロードのウェイテッドボールを投げることで、なぜこのような急性的な変化が起こるかは分かってはいないが、この結果はウェイテッドボールを投げることで起こる球速と怪我の頻度の増加を説明しているかもしれない。重いウェイテッドボールを使用する際は注意を払い、関節可動域をモニターするべきでしょう、と。

また、著者たちの考察として、オーバーロードのウェイテッドボールを投げることで起こる急性的肩外旋の増加の原因は、内旋筋群に存在するゴルジ腱器官のストレッチ反射が抑制されるからではないか。そうすることで、内旋筋群の筋トーンが減少し、外旋可動域が増加を許し、球速が増える。それと同時に肩や肘へのストレスや怪我のリスクも増加するのではないか。また、非投球側の肩でも少し外旋の増加が見てとれたことから、急性的肩外旋の増加の原因にCNSも関与している可能性もあるのではないか。と考察している。


個人的な見解

やはり各個人のリスク vs リワードに行き着くのかなと思います。また、SNSでみるウェイテッドボールの動画を見よう見真似で始めてみるのはリスクが高いように思います。ドライブラインや経験のある方から直接コーチング受けることが必要ではないでしょうか?しかし、そのようなコーチの方は日本に何人いるのでしょうか?また、そのようなサービスを提供している施設はあるのでしょうか?

また、高校・大学生であればウェイテッドボールのような見た目がファンシーなトレーニングよりも、まずもっと基礎的なストレングス&コンディショニングを行うべきでしょう。

ウェイテッドボールをする別に理由として、アームメカニクスのクリーンアップといったことも言われています。このブログではre-mapping effectと呼んでいるようです。


まとめ

アメリカではドライブラインを筆頭に今ではいろんな施設がウェイテッドボールプログラムを提供しているようです。その際のリスクも念頭に置く必要があるでしょう。


最後まで呼んでいただきありがとうございました!よろしければ以下のページもぜひご覧ください。


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