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珈琲とミルクの交わり

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#短篇小説

青春プチロマン小説「女が日本一周する時」第6話 作/奈良あひる

男がおいていったメモには、熱海市内にあるバーのショップカードで、裏のメモの欄には連絡先が手書きで書いてあった。そして、浅田と書かれていた。

何のメッセージかしら。
加恵は、学生時代、脚本家に憧れている頃があった。本の世界ではどこへでもいけて、何にでもなれて、どんなストーリーでも書くことができるからだ。そして、その内容は世になんて出なくてもいい。自分がその世界に酔えればいいという考えがきっかけだ

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青春プチロマン小説「女が日本一周するとき」第2話 作/奈良あひる

男「もし少し時間大丈夫でしたら、写真撮らせてもらえませんか?」

その男はどうやら、写真家の玉子のようで。

加恵「ええ、私でよければ」

加恵はほぼ無表情のまま答えた。
なぜ私なのかわからないし、何に使うのかもわからないし
それでも、断る理由もない。
旅に出ながらあれこれ断っていては何もかわらないような気がしていた。
いままでのわたしなら断っていた気がする。

サンビーチを歩き、寂れた町を歩き、

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青春プチロマン小説「女が日本一周するとき」第1話 作/奈良あひる

青春プチロマン小説「女が日本一周するとき」第1話 作/奈良あひる

会社で嫌なことがあった。
鬱になって退職。
日本一周の旅に出た。いや、嘘をついた。日本のそこら辺を1周である。

青春18きっぷは使ったり使わなかったり。いつの間にJRでなくなっている線も多多かったみたい。

私は、伊藤加恵(かえ)。
日本一周の旅から帰ってきた。

私は旅に出る前は処女でした。今はあの頃は私処女でしたなんていえるようになっていた。それは成長したということなのでしょうか。

神奈川

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青春プチロマン小説「振り向いてキス」作/奈良あひる

渋谷の町が好き。人がいっぱいいる。人がいっぱいいれば、私ひとり何したって関係ない。誰にも関係ない自分になれる。

Twitterで少し話をした人と会ってみることにした。会ってみることにしたということはそういうことだ。

彼はTwitterに、会った女性との情事をアップしていた。
服をキスをするところ、胸を揉むところ、脱がせるところ、そして挿入。
顔をはみえないようになっているものの、みんなその時間

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奈良屋のデュエット官能随筆“ある朝のベッドの写真”

奈良屋のデュエット官能随筆“ある朝のベッドの写真”

作/奈良あひる
                        

女「え?入れちゃうの?」
男「え?なんで?」
女「なんかちょっと罪悪感が…」
男「ここまできて?」

私は騎乗位の体勢で男にまたがり、膝の力をぬいて腰を下せば入ってしまう状態にいた。

男は私の腰に手をあて、腰を下すことを促している。

女「まぁ、いっか…」
男「まぁ、いいよ…」

それは私の中へスムーズに入っていった。男の腰のリ

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