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modern poetry

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#名前のない痛み

冷え性 Sensitivity to cold

冷え性 Sensitivity to cold

人間に温もりがあることは生きるうえでの唯一の掬いだと思う。性愛に興味は無いけれど他人に触れて体温があることを確認するとなんだか生きてる心地がしない?人が肌を触れ合う行為には思考が介在しない何か意味のあるものが隠されているような気がする。

温もりを感じることは傷つけられることに似てる。あなたの手の冷たさがわたしを傷つける。

残酷なのよ。だって、たとえ感情が機能しなくなったとしてもあなたの手が冷え

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信じれば掬われる。

信じれば掬われる。

嗚呼、意識が朦朧として、起き上がることができない。

ドロドロした朱殷色の生温い液体が、地面のタイルを欲望の渦に誘い込む。青いレースのワンピースを着た彼女が真っ黒に、染め上がっていく。

『ワタシは喧噪の中に唯佇んでゐる。
ワタシには分らぬ言語を発し、ワタシには分らぬ感情を表現してゐるのが聞こゆる。』

ーーーそのとき誰かが、彼女の手首に付いているリボンを解いて奪っていった。

ほつれた紐を引いて

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女の子になりたかった。

女の子になりたかった。

男の子だとか、女の子だとか、ゲイだとか、レズビアンだとか、

みんな
他人に名前を付けられたがっている

みんな
自分1人じゃ、自分に名前を付けられなくて
自分1人じゃ、生きていけなくて

だれとだれがおなじだなんて
だれとだれがちがうだなんて

そんなに大事なことなの

わたしの傍にはいつも、必ず女の子がいる
傍に女の子がいると、わたしは安心できる

でも、もう1人のわたしがこう言うの

んん、

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