鶴田 有紀

鹿児島在住のフリーライター(2020年5月~)。本好き📚日本の文化や伝統、ものづくり(…

鶴田 有紀

鹿児島在住のフリーライター(2020年5月~)。本好き📚日本の文化や伝統、ものづくり(主に職人さんの手仕事)に惹かれます。noteでは、書評やエッセイを不定期に更新しています。

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【執筆実績 】2024/6/24更新

はじめまして。フリーライターの、鶴田有紀(つるだ ゆき)と申します。ご覧いただきありがとうございます。このnoteには、これまでの活動実績や自己紹介などをまとめています。 興味をもっていただけた場合は、X(旧Twitter)のDMまたはytsuruda451@gmail.comから、お気軽にご連絡ください。 *プロフィール *できること*執筆ジャンル*原稿料内容によって異なりますので、ご相談のうえ、お見積もりをさせていただければ幸いです。 *執筆実績こちらは、過去に執

    • 椿柄の銘仙と一冊の雑誌が繋ぐ、かつて少女であった彼女の記憶。ほしおさなえ 著『琴子は着物の夢を見る』

      時折、幼い頃に母の実家で見た着物のことを思い出す。あの日、いつも通り玄関の引き戸を引くと、普段とは異なる光景が広がっていた。目に飛び込んできたのは、和室に並べられた鮮やかな着物の数々。近づいてよく見ると、それぞれの着物に、花や蝶、鳥など美しい模様が施されている。 「すごい……」、と思った。今であればあの時の気持ちを、もう少し繊細に表現できただろう。しかし、当時の私にとって「すごい」が、美しいものに対する精一杯の褒め言葉だった。 その記憶が、ほしおさなえ氏の『琴子は着物の夢

      • 来た道を戻り、日々少しの後悔を拾い集める

        今思うと、何事も要領よくこなせる側の人間ではない、ということに早い段階で気づけたのは幸いだったのかもしれない。しかし、その対処の仕方を間違えたなと、30代になって後悔し始めている。私が物事を要領よくこなせない原因のひとつに、抱えきれる量が他者より極端に少ないことがある。……のだけど、今まではそれをカバーするために、"現時点で必要ない”と感じたものを置いていくことで何とか乗り越えてきた。要領よくこなせないのは、余裕がないから。無理やりにでも、余白を作らなくてはと思っていたから。

        • 生きていれば誰もが遭遇する、心の揺れとの向き合い方を描いた『町なか番外地』小野寺史宜 著

          何かうまくいかないことや想定外のことがおきると、情けないが「この場から離れたい」と思ってしまう。目の前の問題から逃げたいわけではない。いったん問題から離れ、気持ちを落ち着かせたいのだ。想定外の出来事に揺さぶられた心が穏やかさを取り戻し、少しでも冷静に判断できるようなってから、原因と向き合いたい。そう思ってしまうほど、心の揺れは向き合うために気力と体力が必要だと感じる。 そんな厄介な存在と向き合う人に、寄り添い背中を押してくれる一冊が、小野寺史宜 氏の『町なか番外地』(ポプラ

        • 固定された記事

        【執筆実績 】2024/6/24更新

        • 椿柄の銘仙と一冊の雑誌が繋ぐ、かつて少女であった彼女の記憶。ほしおさなえ 著『琴子は着物の夢を見る』

        • 来た道を戻り、日々少しの後悔を拾い集める

        • 生きていれば誰もが遭遇する、心の揺れとの向き合い方を描いた『町なか番外地』小野寺史宜 著

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          感謝と仕事と舞台袖と。4年目もありがとうございました。

          もともと文章関係の仕事をしていたわけでも知り合いがいたわけでもなく、正真正銘0からスタートしたライター業。壁にぶち当たったり派手に転んだりしながらも、なんとか踏ん張っている間に4年が過ぎ、気づけば明日から5年目に突入します。 いただいた仕事は真面目に全力で取り組んできたけれど、正直ここまで続けてこれたのは、人に恵まれていたことが大きかったと感じています。いつも本当にありがとうございます。 今回も5年目に突入する前に、記録としてnoteに残しておくことにしました。有益なこと

          感謝と仕事と舞台袖と。4年目もありがとうございました。

          よく食べよく寝て、できるだけ穏やかに過ごせていますようにと。

          表示された懐かしいアイコンに、思わず声が零れた。 生活に馴染み、今や多くの人が活用しているSNS。X(旧Twitter)やInstagram、Facebookなど種類も多く、最近では、ThreadsやBlueskyなども登場している。SNSが仕事場のひとつである自分が言うのもあれだが、正直ついていけていないというのが本音だ。一応、仕事用としてXやnoteを利用しているが、言い張るわりには大部分を「し、仕事用ですよね?」と尋ねたくなる投稿が占めていることも自覚している(それで

          よく食べよく寝て、できるだけ穏やかに過ごせていますようにと。

          コンプレックスを抱えて生きる女性の心を、温かなひと皿がときほぐす。古矢永塔子 著『初恋食堂』

          漫画や小説において外見にコンプレックスをもつ主人公は、比較的見かける設定ではないだろうか。そして、ストーリーもまったく同じではないが、定番の流れが存在するように感じる。 古矢永塔子氏の『初恋食堂』(小学館文庫)も、読み始めた時はそのような流れで進むのではないかと思った。しかし、その予想は物語の序盤に覆される。もちろん、良い意味でだ。予想外の展開に、思わず「そっちなの!?」と声も出てしまった。 本書は、第1回「日本おいしい小説大賞」受賞作『七度笑えば、恋の味』を改題、文庫化

          コンプレックスを抱えて生きる女性の心を、温かなひと皿がときほぐす。古矢永塔子 著『初恋食堂』

          楽しさもあれば不安もある。おひとりさまの暮らしを、6人の女性作家が描いたアンソロジー。『おひとりさま日和』

          今や、生き方のひとつとして現代に馴染みつつある「おひとりさま」。一括りにおひとりさまといっても、その生き方を選んだ、選ばざるをえなかった理由や経緯は人によって異なる。『おひとりさま日和』(双葉文庫)に登場する、6人の女性もそうだ。 本書は、ひとり住まいにおこる出来事を題材に、6人の女性作家が書きおろした短編小説集である。おひとりさまの楽しさだけでなく、不安要素にも触れており、たんに、おひとりさまの良さを描いた一冊ではない。とはいえ、本書にはひとり住まいの魅力もたっぷりと描か

          楽しさもあれば不安もある。おひとりさまの暮らしを、6人の女性作家が描いたアンソロジー。『おひとりさま日和』

          染織を通して「生」と向き合う。ほしおさなえ著『まぼろしを織る』

          「生きる理由」と呼べる何かをもっているだろうか。特にない、と答える人もいるかもしれない。一方で、夢や目標などをそう呼ぶ人もいるだろう。生きる理由は人生に不可欠というわけではないが、あると日々が輝き辛い出来事も乗り越えられる存在だ。 だが、必ずしも良い影響を与えるとは限らない。たとえば、生きる理由を自分ではなく他者が決めたことにより、生きづらくなることもある。ほしおさなえさんの、『まぼろしを織る』(ポプラ社)を読んで改めてそう感じた。 本書は、主人公の槐(えんじゅ)が染織を

          染織を通して「生」と向き合う。ほしおさなえ著『まぼろしを織る』

          吉田篤弘さんが紡ぐ、優しい物語の世界。そっと手渡したい5冊。

          今年の3月に『鯨オーケストラ』と出合い、優しい物語と言葉の選び方に惹かれ、吉田篤弘さんの作品を好んで読むようになった。 X(旧Twitter)に投稿している読書記録も、吉田さんの作品が大半を占めている。もしかすると、鶴田の投稿に対して「またかーい!」と思った方もいるかもしれない(好きになったらトコトンな性格のもので……)。 でも、投稿するうちに「気になったから読んでるよ」や「気になるから、最初に読むならコレ!という本を教えてほしい」などといった、嬉しい言葉をもらうことも増

          吉田篤弘さんが紡ぐ、優しい物語の世界。そっと手渡したい5冊。

          欲しくなると、秋が来たと実感する

          以前、別のnoteにも書いたのだけれど、秋が近づくと化粧品が欲しくなる。今年もその時期がきたようで、用事があり寄ったコンビニの化粧品コーナーで自然と足が止まった。 普段であれば素通りする、控えめにつくられた一角には、通常サイズより幾分か小さい化粧品が並んでいる。ボルドーやマスタードイエローなど、深みのある濃い色ばかり揃っているところがなんとも秋らしい。 その中から1つ、小さなマニキュアを摘みあげる。ボルドーかと思っていたが、よく見ると少し違う……。どこかで見たことのある色

          欲しくなると、秋が来たと実感する

          「書くこと」を通して人や思いをつなぐ物語。三浦しをん著『墨のゆらめき』

          歳を重ねるにつれ、「もっと知りたい」と思える相手に出会えた時ほど、近づくことを躊躇してしまう人は多い。人によって理由は異なるが、その根底にあるものは、傷つくことへの恐怖心ではないだろうか。さまざまな人と出会うなかで、自分の過去や気持ちを理由に相手が離れていったり、表向きは受け入れてくれたように振る舞っていたが、本音は違うことに気づいたり。このような傷ついた経験が、人を臆病にするのかもしれない。 しかし、怖がりながらも少しずつ距離を縮めていき、お互いを受け入れ合うことができた

          「書くこと」を通して人や思いをつなぐ物語。三浦しをん著『墨のゆらめき』

          3年目も、ありがとうございました

          3年目もありがとうございました 5月1日から、ライター4年目に突入する。1年前にnoteに書いた目標も、達成できそうなのでホッとしています(よ、よかった……。本当によかった)。 お世話になっているクライアント様、ライターやフォロワーの皆様、3年目も本当にありがとうございました。こうして、無事に4年目を迎えることができるのは、関わってくださる方々のおかげだと思っています。これからも、良いものをつくるための追求心や、周囲への感謝の気持ちを忘れずに頑張ってまいりますので、よろしく

          3年目も、ありがとうございました

          偶然も重なったので

          大変だ。 この頃、「読みたい本が多すぎる問題」に直面している。出合わない時はパッタリなくせに、2月の『文をあたる』をかわきりに、『鯨オーケストラ』『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』『中庭のオレンジ』『うたかたモザイク』と、まあ、出合うであう。 さらに昨日は、大好きな作家さんの作品も掲載されている、短編小説集『ほろよい読書』の第2弾『ほろよい読書 おかわり』が出ると知り、小躍りしそうなほど喜んだ。でもその前に、『水中の哲学者たち』と『黒猫を飼い始めた』も読んでおきたい。

          偶然も重なったので

          寝る前に物語をひとつ

          先日noteにも書いた『鯨オーケストラ』に続き、吉田さんの『中庭のオレンジ』を購入。今回は21つのショートストーリーが綴られているため、毎日就寝前にひとつずつ読むことにした。すると、読み進めていくうちに嬉しい発見がいくつかあった。 個人的に本は、一度その世界にどっぷりと浸かってしまうと読み切りたくなる。そのせいで、「あと1ページ……やっぱり、もう1ページ」となり、何度寝不足になったことか。 一方でショートストーリーは、数ページで完結するため、続きが気になりモヤモヤすること

          寝る前に物語をひとつ

          それぞれの過去が重なり合い、やがてひとつの物語になる。吉田篤弘 著『鯨オーケストラ』

          書店でさまざまな本を眺めていると、その黒く品の良い装丁が目に留まった。そして、ページをめくり少しだけ物語の世界に触れた時、「この方が選ぶ言葉がとても好きだ」と感じたのだ。それが、筆者と吉田篤弘氏の物語との出会いであった。 そんな筆者にとって、記念すべき一冊目となった『鯨オーケストラ』(角川春樹事務所)は、声優や朗読など声の仕事を生業にする青年、曽我哲生(そが てつお)の視点で描かれている。ある日、担当する深夜のラジオ番組で、17歳の時にモデルをした絵が行方知れずになっている

          それぞれの過去が重なり合い、やがてひとつの物語になる。吉田篤弘 著『鯨オーケストラ』