コンプレックスを抱えて生きる女性の心を、温かなひと皿が解きほぐす。『初恋食堂』古矢永塔子 著
漫画や小説において外見にコンプレックスをもつ主人公は、比較的見かけることの多い設定ではないだろうか。そして、ストーリーもまったく同じではないが、定番の流れが存在するように感じる。読み始める前、古矢永塔子さんの『初恋食堂』(小学館文庫)も、そのような流れで進むのではないかと予想していた。しかし、その予想は物語の序盤に大きく覆される。予想外の展開に、思わず「そっちなの⁈」と声が出てしまった。
本書は、第1回「日本おいしい小説大賞」受賞作である、『七度笑えば、恋の味』を改題、文庫