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【倫理の指導案】カント(西洋近代思想)×妖怪はいるのか考える(ゲゲゲの鬼太郎)

本授業のターゲット生徒
自身の考えに固執して、他者の考えをなかなか受け入れようとしない生徒

リクエストいただいて作りました。
確かに私もその人に言われて思いました。
妖怪って、いねーだろ。

でも頑なに、いると言い張る人もいるんです。
私もいないと言い張るんですけど。
でも、ふと考えてみて気づいたのです。


いると思うと、知らない世界が見えてくるんです。


|授業の概要|

分野:カント(西洋近代思想)
テーマ:妖怪はいるのか考える(ゲゲゲの鬼太郎)
目標:自身の考えを180度変えて考えることができる。

|筆者の紹介|

この記事を書いている人:
ゆとりんり(現役倫理教員)
新卒で倍率100倍の民間企業に就職後、教員に転職
教員採用試験の採用枠1枠に1発合格(働きながらの完全独学)
県に授業の研修用資料の提供や、学校の試験問題見本の作成を行う。
ブログで「ちょっと変わった授業アイデア」まとめてます。

今回使用している妖怪のイラストはこちらの方からの提供です。
可愛いスタンプですのでぜひ使ってみてください。


|このページの見かた|

ゆとりんり流、スライドの授業での使い方はこちらで紹介しています。黒板に映せるように背景を黒くしています。


\導入/

妖怪色を全面に押し出した授業となっておりますので、1枚目から早速妖怪を意識させましょう。

みなさん早速ですが、こんな経験ないでしょうか?「あれ、後ろに何かいない?」特に帰りの暗いみちとか。

スライド1枚目


水木しげるさんは「後ろに何かいる現象」は妖怪のせいと言っています。妖怪名と解決策をスライドで紹介しましょう。

実は、後ろにいるのは「べとべとさん」という妖怪らしいですよ。解決策としては、道をあけた上で「べとべとさん先へお越し」と言えばいいらしいです。

スライド3枚目



\展開(カント登場)/

ここで1つ疑問が生じるのです。それが、妖怪を見たことある人はいるのか。人間の認識限界についてです。この2点についてスライドで疑問提起を行い、それぞれから考えを引き出しましょう(スライド4枚目の内容)

でもみなさんの中で、妖怪を見たって人いますか?
(いない)ですよね…。見たことある人がいたらぜひ聞いてみたい。
なぜ見えないのか考えてみます。人間が「認識」できる限界はどこだと考えますか?


疑問提起と生徒の意見交換ののち満を辞してカントの登場です。「認識」について、いち意見をまとめましょう。

カントは人間が「認識」するまでの過程を説明しています。まずは見るなどの感性で捉え、それは何か分析判断し、理論理性がまとめて認識へと持っていく。とにかく、感性でとらえない限りは始まらないということですね。

スライド5枚目


次のスライドではカント理論を応用して「妖怪はいるといえるのか」を考えさせましょう。おそらく存在は否定できないけど、捉えることができないという結論になるのだと思います。

そんな中でもこんな人もいるでしょう。理論的にもいます!と論理的にいることを主張してくる人が。そんな人にもカント理論は有効です。

まだいると主張してくる人もいるでしょう。カントは認識可能な世界とそれ以外を分けています。いわゆる理論理性と実践理性です。


\展開(コペルニクス的転回)/

しかしこの理論も覆すことが可能です。考え方の違いです。妖怪はいると主張する人の前提はカントとは違います。

カントは認識過程の1段階目を「見る(感性)」としています。しかし何は「対象が存在すること」を1段階目と捉える人もいるでしょう。さて、どっちが先か問題。みなさんはどっち派ですか?理由とともに考えましょう。

生徒の意見をまとめたのち、カント理論に移ります。

カント以前とカントは考え方が大きく変わります。対象第一が以前、感性第一がカントです。この180度見方を変えることをコペルニクス的転回と言います。

スライド10枚目


\展開(目的の王国)/

話題もコペルニクス的転回します。現代の妖怪に注目します。『水木しげるの日本幸福哀歌』にある妖怪が出てきます。ヒントも示しつつ、妖怪の名称当てゲーム開催です。※最初はノーヒントのスライドも入れています(必要なら消してもOKです)。

現代を風刺した妖怪です。この妖怪の名前を当ててください。必要ならスライドを見に前に来ても大丈夫ですよ。

スライド13枚目


答え合わせをしましょう。水木さんが深すぎて盛り上がるとはいかないかもしれないですが…。

ちなみにこちらの妖怪「国家」という名前です。人間個人で見たときにはそれそれ意志があるはずなのに、集まったらなぜそうなるのか。

では、妖怪になる前の個人として、どんな価値観を持って、どんな世界を目指していくべきか。人間が重視すべきはどれだと思いますか?

スライド16枚目


カントに戻します。

カントは認識を超えた世界は実践理性で取り扱うことを主張しています。そして実践理性は「〜すべき」という道徳要素の強い命令を出しているのです。

つまり、「モテたいなら〜席を譲る(仮言命法)」はよくない。本心から「席を譲るべき(定言命法)」に従うのが良い行動なわけです。
人類はこの動機を意識すべきで、この道徳法則に自ら従えることこそ自律できた状態、つまり自由な状態と言っています。

お互いの人格を目的として尊重し、みんなが自由に実践理性の道徳命令に従える国(目的の王国)を理想視したのがカントですね。

スライド18枚目


\まとめ(目的の国家をリアルで実現)/

一気に国の規模で目的の王国を作り出すのは難しいです。だったら身近なところから考えてみましょう。テーマは「学校」としました。評価基準、先生に生徒が求めるものがわかって、先生としても面白いと思います。

学校で「目的の王国」を実現することは可能でしょうか?生徒の評価をどのようにしていくのが理想と考えますか?
現在の評価、理想の評価について、学校では何を評価されるべきかに注目して考えてみましょう。

スライド20枚目



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