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【七章】人の優しさに埋まる。

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PAでのヒッチハイク

今までSAでヒッチハイクしていた僕は、PAでのヒッチハイクに不安があった。
PAはSAに比べて車も少なく、飲食店がないため、みんなトイレ休憩だけだったりするからだ。
果たして乗せてもらえるか。
長期戦を覚悟した。
しかもあいにくの雨。これ以上雨が強くなったら、スケッチブックが出せなくなる。
不安と焦りが募っていく。
しかし、逆に雨を生かせば、救いの神が現れるかもしれない。
車に声をかけていこう。
やはりなかなか乗せてもらえない。
一度雨宿りして、策を練ろう。
とにかく進む必要がある。
ここでは「次のSAまで」とかいた。
再びヒッチハイクを始める。
ここまでは大抵、自分から声をかけるスタイルでやってきた。
しかしここにはスマートICがあり、車も結構入ってきている。
ここで、「かかげるヒッチハイク」をやってみた。
これはそう簡単につかまらない方法。そう思っていた。
通りすぎて行く車。
後ろのライトが赤く光る。
駆け寄ってみた。

【第八号車 いかした漢 ジャーニー】

助手席の荷物をどけ、あけてくれた。
会社の関係で、こういうのが見つかるといろいろと面倒。
そういいつつも乗せてくれたのだ。
救いの神は、わりと来た 笑
やはり今回ヒッチハイクして思ったが、
遠距離トラックといい、社用車といい、
会社から厳しく言われているところが多いように感じた。
やはり責任など、問題が多いのだろう。
ヒッチハイクするにはギリギリの時代。そんな風に思う。
ヒッチハイクしてる僕をみて笑っていた。
強面の人だったけど、素敵な笑顔で安心した。
話を聞くと、この人も昔ヒッチハイクしたことがあるらしい。
だからこそヒッチハイクの楽しさもしんどさも知ってるから、おもしろそうだし乗せてあげようと思ったそうだ。
昔からそんな風に出かけるのが好きなのか、自転車で遠くまで行くこともあったらしい。
それに、ほんとは次のPAまでだったが、交渉の結果、善意によりSAまで行ってくれることに。
PAは頻度多くあるが、SAはたくさんあるわけではないので、意外と進んだり、乗せてくれた人によってはPAやSAの違いはそんなに意識してない人もいる。
思いもよらないPAでおろしてもらうと、全然人がいなくてヒッチハイクできない事態にもなりかねないので、覚悟しよう。
ところでどこから来てどこまで行くのか聞かれたので、
「大阪から北海道です」
って答えたら、
「さすがにそんなに長い距離ヒッチハイクしたことないわ。すごい"ジャーニー"やな」
ここで名言"ジャーニー"がうまれたのだった。
そんなこんなでなんとか長者原SAにたどり着く。
今思えば僕は今、東北にいるのか。
大阪から東京行って、東北まできてるじゃん。

さぁ、ヒッチハイクしていこう。
ナンバーは盛岡ねらいだ!

【第九号車 俺への疑いゼロ整備士さん】

長者原SAについて、一発目。
ここにきて大当たりじゃん。
なんで乗せてくれたのか聞いてみたら、
「スケッチブックに盛岡ってかいてて、盛岡ナンバーだし、断るわけにはいかんなーって」
全然断っていいんだけども、やっぱり乗せてくれる人は普段からそういう優しい人なんだ。
しかも今までにもヒッチハイクしてる子を乗せたことがあるらしい。
その子は、群馬にいる彼女に会いに行った帰りに何か挑戦しようと、ヒッチハイクしてたらしい。
いや特殊すぎん?笑

結構乗せてくれてた人たちで、若い頃にそういう挑戦するのはいいと思うって言ってくれた人が多かった。
ヒッチハイクとか若い頃に挑戦してたりしてて、そういうの良いよねっていうのがあるみたい。
でも挑戦し続けて成長し続ける人が若いのだとわたくし思います。
高年齢の方でも、なんか若いなーとか、若いのにおっさんみたいな人とか、
やっぱり若さは年齢だけじゃないなって思った。

整備士さんは丁度、研修会の帰りだったらしく、思いの外早く終わってしまい、帰ったら仕事の方に手伝い戻ってくれって言われるかもしれないから、ゆっくり帰ってた。
そのことで途中で電話するからということで一度次のSAでとまることに。
「なんか食べる?こんなんしかないけど」
って言われて、

スナック菓子と

大好きなコーヒーをいただいた。
めちゃくちゃうれしい。
しかもこのスナック菓子、こしょうじゃないか。
白ご飯にもこしょうかけて食べることがあるほどこしょう好き。
お腹もすいていたので、

すぐに完食した。
そしてこのタイミングのコーヒーは体に染み渡る。
優しさに埋められてゆく。
トイレ大丈夫か?と気遣ってくれたり、ほんとに優しい。
と、おもむろに電話するために、僕をおいて車を出た。

あれ?笑

電話だからすぐかな、と思ったが、なかなか戻ってこない。
車のなかに一人。咳をしてもひとり。
知り合いだったっけ?親戚の人かな?
と思ってしまうほどの対応だった。
初対面のヒッチハイクで知り合ってすぐに
車のなかにひとり置いていくほど俺への疑いゼロ整備士さん。
俺じゃなかったらわりと危ない。
少し気をつけてほしい。世の中いい人ばかりじゃない。
そんなこんなで戻ってきて、電話でこんなに
時間かかるのかな、と思ってたら


ちくわのお土産を買ってくれた。
しかもなかにチーズが入ってる。チーズちくわじゃ。
「ヒッチハイクの非常食にでもして」
このタンパク質がうまいことうまいこと。
チーズちくわがヒッチハイクのエネルギーに変わっていく。
しかし、驚かされた。
このお土産をくれた整備士さんが、
「あ、でも逆に荷物になっちゃう?」

気がききすぎ!!!

優しすぎる。
俺へのお土産が荷物になっていないだろうか
って気がききすぎじゃ。
だからせめて車に置き去りは気をつけて。
そしてこのチーズちくわが北海道で活躍することになる。

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