コーチの真価
今回慶應義塾大学アメフト部で起きた不祥事について
部内の事情も色々とあると思うし、詳細は公開されていない為、あくまで個人的な考えを書こうと思う。
当部のOBには知人もいて、今回のこと自体も、ここにこうやって文字に起こすのも心苦しいけど、1つの意見として捉えて頂きたい。
まず今回起きたことの整理
(yahooニュースより)
・部内において複数部員の不適切な行為があった
・教育的観点およびプライバシー保護の観点から、詳細は公表していない
(4yearsより)
・複数の関係者によると、8月の夏合宿で複数の男子部員が女子風呂の様子を盗撮した
・関わった部員は8月31日のリーグ初戦を前に部から謹慎処分を受け、ここまでの3試合には関わっていなかった。
・こうした現状に愛想を尽かしてチームを離れた部員も複数いる
起きてしまった事の詳細は公式には明かされていないので、そこに関して何か述べるつもりはない。
そして本人たちは自分がやってしまったことが仲間や周りに多大な迷惑をかけてしまったことはしっかり反省してほしい。
ポイントはそこではなく、
この問題が今の今まで明らかにされていなかった事
まず日本の学生スポーツの在り方として、学校としてのガバナンス問題がある。
これは昨年のタックル問題時にも話題になったが、このような問題が起きたときに迅速に学校として認識し、何らかの対応を下せる体制が整えられていないことが根っこの問題。
その問題は別の機会に話すとして、今回はやはり学生の一番近くにいるコーチに関する事を書きたい。
部を指揮する"コーチ"の役割
(1)なぜここまで明らかにしなかったのか
チームとして、このような事が起きてしまった時に、今回は当事者数名は謹慎処分を受けていた事が4yearsの記事から分かる。
部としてはこれで問題ないと思っていたが、事が次第に大きくなってきたから今回のような対応になったのか、、、事情は分からない。
でも結果として、そのような事を世間出さず、包み隠しながら今までの3試合を行っていた。
何度も言うが、チーム内で話した結果の対応なのかなどは全く分からないが、
そのような状態で試合に出ている選手が勝って、彼らに何が残るのか。
そういう対応をした大人を見て、学生は何を感じるのか。
コーチとして学生に関わる以上、自分の発言や対応や態度が彼らの将来にまで影響することを考えるべきだと僕は思う。
paid coach(雇われコーチ)は日本では、特にアメフトでは多くはないが、慶應大学は数人いると聞いている。
給料が払われてる以上、"勝つ"ことは本人たちの生活上、大切なことは百も承知だが、上記のような事を犠牲にしてまで勝利絶対主義にだけはなってはいけない。
良いことは良い、悪いことは悪い
それを大人が隠したり曲げたりすることは絶対にあってはならないこと。
ただ、慶應大学のHCについては、当部卒業生の知人から「人格者」と聞いており、とても尊敬していて、親しまれている様子が彼の話から伝わってきた。
だから尚更、今回のことは僕の中でも消化しきれていない部分はある。
いずれにせよ、コーチとして学生の近くにいる以上、自分自身が物事に正直に、誠実でありたいと思うし、コーチはそうあるべきだと僕は思う。
(2)チームのための行動
先に伝えておくと、今から書くことは慶應大学の指導やチームに対しての事では一切なく、個人的に組織を考える上で感じたことです。
1つ、チーム力という面で今回の事を考えると、「チームのために行動することの大切さ」を改めて感じた。
大学生ともなればやって良いことと、悪いことぐらいの分別はつく。
悪いと分かってても個人的な欲求のままにやってしまうメンバーと、ふと自分の属しているチームの事を考えて行動できるメンバーとではそのチームの強さはまるで違う。
これを個々に伝えるのは非常に難しい。
大所帯なら尚更だ。
目標をリマインドしたり、チームの中での自分の存在/影響力を伝えたり、試合中の辛い時と重ね合わせて話したり、
僕自身も、時と場合によってあらゆる方法を自分なりに考えて伝えているけど、響く時もあればそうでない時もある。
でもそれを伝え続けるのはチームの中でのコーチの大事な役割だと思う。
どんな生徒にも将来は周りに親しまれて、頼りにされる存在になってほしい。誰しもそうなりたいとも思ってると思う。
そのためには、
まず自分が取るべき行動をとって、誰かのために行動をすることの大切さを伝えること
今回はそれが少し欠けてしまっていたのかもしれない。
今後のリーグとしての処分がどうなるかは定かではないが、また「陸の王者」がアメフト界を盛り上げてくれる日を楽しみにしている。
ここまではコーチの本当の存在意義について書かせてもらったが、ここからは今年の大学アメフトの1ファンとして。
今回の事をキッカケに、
慶應は自動的にBIG8に降格
そうなると、現在BIGで圧倒的な強さで全勝している日大がおそらく自動的にTOP8に昇格となる。
昨年のタックル問題からコーチも代わり、"不死鳥復活"を目指して努力している様子がNHKのドキュメンタリーからも、今年日大に入部した後輩の話からも分かる。
彼らも最後に入れ替え戦でに勝ってTOPに昇格したかっただろう。それを考えただけで胸が痛む。
他には現在リーグ3敗中の日体大、東大、中央大は、TOP8最下位で日大との入れ替え戦を免れるために必死になって次の試合の準備をしていると思う。(あくまで主観です。)
そんな彼らもそのリスクがなくなり、少なくとも選手の士気に影響を与えかねない。
今週末に慶應との試合を控えていた早稲田大もそうだと思う。
慶應に敗れた明治大も、仮に今後勝っても周りからは批判を食らう可能性もある。
やはり今回の事は、周りに与える影響も大きい。
ただTOP8の学生たちは、周りが騒いでいてもぜひ自分たちのアメフトを貫き通してほしい。
残りの試合で全てを出し切り、どんな結果になろうとも勝ったチームが胸を張って優勝を誇れるようなシーズンにしてほしい。
今シーズンを良いものにできるのは選手・スタッフしかいないから。
そうなるように応援しています。
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