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#岸田文雄

憲法記念日に考える岸田文雄首相の改憲への本気度

今日は憲法記念日です。

憲法記念日のたびに注目が集まる話題のひとつのは、憲法の改正の可能性の有無です。

確かに、今年1月の施政方針演説において岸田文雄首相が「自分の総裁任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはなく、議論を前進させるべく、最大限努力したいと考えています。今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります。」と改憲への意欲を示したこと[1]は、改憲の期限について国

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公式晩餐会での岸田文雄首相の演説の持つ大きな意味

現地時間の4月11日(木)、米国を国賓待遇で訪問中の岸田文雄首相は連邦上下両院合同会議で演説し、「米国は独りではありません。日本は米国と共にあります。」と日米の連携と結束の強さを示しました[1]。

1981年5月の日米首脳会談の際に当時の鈴木善幸首相が日米同盟に軍事的意味合いは含まないと発言し、反発した伊東正義外相が辞任するとともに日米関係が悪化したことを思えば、隔世の感を禁じ得ないものです。

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岸田文雄首相の衆議院政治倫理審査会への出席が持つ3つの大きな意味

本日と明日、自民党の政治資金問題を巡り、衆議院の政治倫理審査会が開催されます。

今回は、いわゆるパーティー券の収入の還流問題について、自民党の安倍派及び二階派の幹部5人とともに、岸田文雄首相が自民党総裁として全面公開の下で線稟申に出席します[1]。

岸田首相が現職の首相てして政倫審に出席するのは、衆参両院をあわせて初めてのこととなります。

それでは、岸田首相はなぜ異例の対応を決めたのでしょう

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岸田文雄首相の第213回国会における施政方針演説はどのように評価できるか

昨日、岸田文雄首相が衆参両院の本会議において施政方針演説を行いました[1]。

現在の日本社会において喫緊の課題である令和6年能登半島地震を最初に取り上げ、被災地の復興だけでなく現地を訪問した際の所感を明記したことは、非常災害対策本部長でもある岸田首相として当然の対応です。

また、2022年2月以来進む物価上昇について、賃上げと減税とを主な対策として挙げたことは、実現可能か否かは別として、日本に

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「東京地検特捜部による安倍派と二階派の家宅捜索」の持つ意味は何か

昨日、東京地方検察庁特捜部は自民党の安倍派と二階派の事務所を家宅捜索しました[1]。

自民党の政治資金問題は政治倫理の問題から刑事事件へと発展することとなり、旧橋本派による日歯連事件以来の政治資金にまつわる醜聞の観を呈しています。

岸田文雄首相にとってみれば国民の支持を一層失う事態であり、実際に政権の支持率は低下しています。

それにもかかわらず、岸田首相が政権を維持するうえで、今回の出来事が

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政治資金問題による閣僚交代は岸田内閣にどのような影響を与えるか

自民党の派閥における政治資金パーティーをめぐる問題では、岸田文雄首相が12月14日(木)に問題の源となった安倍派の閣僚4名と副大臣5名を交代させる方針を決めました[1]。

今回の件では、安倍派の閣僚を交代させ、その後任に安倍派以外の人物を起用すれば少なくとも閣僚の中から安倍派を一層することになります。

また、世論の反発や一層の支持率の低下を踏まえた上で安倍派から1人でも後任の閣僚を起用すれば、

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所得税減税政策発表後も岸田文雄政権の支持率が低迷するのは何故か

現在、各種世論調査で岸田文雄政権への支持率の低下が続いています。

支持率が全てではなく、右顧左眄しない政権の運営は重要です。

それでも、来年9月に自民党総裁選挙を控え、「選挙の顔」という点が再選には不可欠な岸田文雄首相にとって、事態は憂慮すべきものではあっても楽観を許すことはありません。

特に、所得税減税という、物価高騰が家計に影響を与えている多くの国民にとって好ましいと思われる方針を打ち出

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岸田政権の「辞任ドミノ」をどのように考えるべきか

昨日、政府は持ち回り閣議で2013年以降、4回にわたり固定資産税の滞納により差し押さえを受けていた神田憲次副大臣の辞任を認めました[1]。

政務三役の辞任を巡っては、10月26日に文部科学政務官だった山田太郎氏が女性との不適切な関係を報じられて辞任し、10月31日には柿沢未途氏が東京都江東区長側の公職選挙法違反を巡り法務副大臣を辞めており、今臨時国会の開幕から1か月を経ずして3人が相次いで職を退

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岸田文雄首相の「年内の衆院解散断念」発言はいかなる意味を持つか

昨日、岸田文雄首相は首相官邸で記者団の質問に応え、当面は衆議院を解散しない意向を示しました[1]。

確かに、各種の世論調査で政権への支持率が低迷する状況の中で、総選挙を行っても自民党が議席を減らすことが予想されています。

そのため、単独過半数を維持できたとしても党内から岸田首相の退陣を求める声が上がりかねないとすれば、来年9月の総裁選挙での再選を目指す岸田首相にとっては望ましくない選択肢となり

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岸田政権による「一時的な所得減税」は一時的な措置か

本日、岸田文雄首相は新たな経済対策が決定を受けて記者会見を開き、企業の賃上げの支援や所得税の減税などの対策を通じ、来年夏には国民所得の伸び率が物価上昇率を上回る状態を確実に実現したいと発言しました[1]。

これに加えて、所得税の減税を含む今回の経済対策が、財政再建という政府に貸されたより大きな目的に反するのではないかという趣旨の批判を念頭に置き、岸田首相は「経済が成長してこそ税収も増え、財政健全

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「岸田首相による定額減税実施の指示」はどのような意味を持つか

昨日、岸田文雄首相は政府与党政策懇談会において2024年6月に所得税と住民税の定額減税を実施することを表明するとともに、自民党及び公明党の幹部に減税を含む家系支援の具体策を今年末までに決定するよう指示しました[1]。

岸田首相が示した方針では、所得税を1人当たり3万円、住民税を1万円減らし、減税対象とならない住民税非課税世帯には1世帯当たり7万円を給付するとともに、所得税が非課税の子育て世代には

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「改憲への意欲」を示した岸田文雄首相の意欲は本物か

昨日、衆議院本会議で代表質問が行われ、岸田文雄首相が憲法改正について責任を持って取り組むという趣旨の答弁を行いました[1]。

10月23日(月)の所信表明演説においても憲法改正に取り組む意欲を示しているだけに[2]、重ねて改憲への取り組みが強調された形です。

しかし、岸田首相が会長を務めるだけでなく、その一員であることを強く誇りに思っている宏池会は、伝統的に憲法改正問題に対して距離を置いている

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岸田文雄首相の第212回国会における所信表明演説の持つ意味は何か

昨日、衆参両院本会議において、岸田文雄首相が第212回国会における所信表明演説を行いました[1]。

所信表明演説であれ施政方針演説であれ、事実上形式的なものであり、各省庁の要望を網羅した内容になりますし、取り上げる話題もガソリンの価格から憲法改正問題まで多岐にわたるのは周知の通りです。

そのため、今回の所信表明演説に対して「空々漠々とした文字の羅列はもう結構だ」[2]と批判することは、むしろ批

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加減乗除から考える第2次岸田第2次改造内閣における「副大臣と政務官に女性の起用なし」の問題点

去る9月15日(金)、政府は副大臣および政務官の人事を閣議決定し、54名の副大臣および政務官のうち、女性の起用はなく、全員が男性となりました。

昨年8月の内閣改造の際には11名の女性が副大臣もしくは政務官に任命されただけに[1]、史上最多に並ぶ5名の女性を入閣させた閣僚人事と対照的な人事となりました。

衆議院においては自民党及び無所属の会に261人中21人、公明党に32人中4人、参議院では自民

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