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評論

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2023年12月の記事一覧

「政治とカネ」の問題はわれわれにとっていかなる意味を持つか

昨日、柿沢未途全盲踏む副大臣と秘書4人が拘束選挙法違反容疑で逮捕されました。

柿澤氏などは東京都江東区長選挙を巡り、区議らに現金約200万円を配り、有料のインターネット広告の配信に関与した疑いがあり、今回の逮捕に至りました[1]。

今月に入り、自民党安倍派の閣僚が政治資金問題で辞任したり、同派及び二階派が同様の問題で当局の家宅捜査を受けたりするなど、政界では政治家と金銭を巡る問題が大きな関心事

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山本由伸選手が「異例の超大型契約」を締結できた3つの理由

現地時間の12月21日(木)、オリックス・バファローズからポスティングシステムによる大リーグへの移籍を目指していた山本由伸選手がロサンゼルス・ドジャースと契約しました。契約期間は12年間で、年俸総額は3億2500万ドルとなります[1]。

今回の異例ともいえる契約は、フリーエージェントとしてロサンゼルス・エンゼルスからドジャースに移籍した大谷翔平選手が引き上げる形となった選手年俸の相場の大きな流れ

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自民党の派閥の歴史からみる「安倍派の政治資金問題」の問題点

自民党の政治資金問題について、現在の政治資金規正法に照らせば、「政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」という法の趣旨[1]に背くことは明らかです。

従って、司法当局が事態に介入し、しかるべき対応を取ることは当然の措置となります。

一方で、今回の問題の発端となった安倍派の淵源を辿れば、同派がこうした金権体質というべきあり方を示すことは決し

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「東京地検特捜部による安倍派と二階派の家宅捜索」の持つ意味は何か

昨日、東京地方検察庁特捜部は自民党の安倍派と二階派の事務所を家宅捜索しました[1]。

自民党の政治資金問題は政治倫理の問題から刑事事件へと発展することとなり、旧橋本派による日歯連事件以来の政治資金にまつわる醜聞の観を呈しています。

岸田文雄首相にとってみれば国民の支持を一層失う事態であり、実際に政権の支持率は低下しています。

それにもかかわらず、岸田首相が政権を維持するうえで、今回の出来事が

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政治資金問題による閣僚交代は岸田内閣にどのような影響を与えるか

自民党の派閥における政治資金パーティーをめぐる問題では、岸田文雄首相が12月14日(木)に問題の源となった安倍派の閣僚4名と副大臣5名を交代させる方針を決めました[1]。

今回の件では、安倍派の閣僚を交代させ、その後任に安倍派以外の人物を起用すれば少なくとも閣僚の中から安倍派を一層することになります。

また、世論の反発や一層の支持率の低下を踏まえた上で安倍派から1人でも後任の閣僚を起用すれば、

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ドジャースへの移籍は大谷翔平選手の一層の活躍への期待を高める

現地時間の12月9日(土)、大リーグのロサンゼルス・エンゼルスからフリー・エージェントとなっていた大谷翔平選手がロサンゼルス・ドジャースへの入団に合意しました。契約期間は10年、年俸総額は7億ドルで、北米のプロスポーツ史上最高の金額となりました。

2013年以来11シーズン連続でポスト・シーズンに進出し、この間3度のリーグ優勝を達成するとともに2020年にはワールド・シリーズでの優勝も果たしてい

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岸田文雄首相の「宏池会会長の辞職と派閥離脱」はいかなる意味を持つか

去る12月7日(木)、自民党の派閥である宏池会は、会長の岸田文雄首相が会長の辞任と派閥の離脱を行った旨を公表するとともに、岸田首相の在任中は会長職を空席にすることを明らかにしました[1]。

自民党の清和政策研究会、すなわち安倍派で明らかになった政治資金パーティーを巡る資金の不透明な流れが国民の信頼を損なっている事態を考えれば、今回の措置は派閥政治に対する世論の反発をなだめるための措置であることは

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真珠湾攻撃から82年目に考えるいくつかのこと

本日、日本時間の1941(昭和16)年12月8日に日本軍がハワイの真珠湾を攻撃するとともに、米英に宣戦布告してから82年目を迎えました。

この間の日本側による対米交渉の過程や、米国側の対応については、研究書や啓蒙書、一般書だけでなく、映画やテレビ番組などを含め、様々な情報が提供され、その輪郭を鮮やかに描き出せるのは周知の通りです。

それとともに、緒戦の予想外の成功が一面において日本国内に先行き

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「安倍派のパーティー券問題」は派閥政治が持ついかなる問題を教えるか

現在、政界で新たな問題として浮上しているのが、自民党の派閥による政治資金集めのためのパーティーに関して、安倍派がパーティー券の販売利益を還流させていたという問題です。

派閥は保守各党が統合を重ねて誕生した自由民主党にとって、結党時に前身となる各勢力を基礎とする、保守合同の産物の一つと言えものです。

そして、1956年12月の総裁選挙によって劣勢であった石橋湛山が優位に選挙戦を行っていた岸信介に

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所得税減税政策発表後も岸田文雄政権の支持率が低迷するのは何故か

現在、各種世論調査で岸田文雄政権への支持率の低下が続いています。

支持率が全てではなく、右顧左眄しない政権の運営は重要です。

それでも、来年9月に自民党総裁選挙を控え、「選挙の顔」という点が再選には不可欠な岸田文雄首相にとって、事態は憂慮すべきものではあっても楽観を許すことはありません。

特に、所得税減税という、物価高騰が家計に影響を与えている多くの国民にとって好ましいと思われる方針を打ち出

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米球界を悩ませるイスラエルとハマスの軍事衝突

去る10月31日(火)、日刊ゲンダイの2023年11月1日号27面に連載「メジャーリーグ通信」の第149回「米球界を悩ませるイスラエルとハマスの軍事衝突」が掲載されました[1]。

今回は、今年10月7日に起きた武装勢力ハマスによるイスラエルへの奇襲とその後の状況の推移が米球界に与える影響を検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

米球界を悩ませるイ

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