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書評 #96|森保ストラテジー サッカー最強国撃破への長き物語

 日本代表を率いる森保一監督の手腕をつぶさに見つめる。サンフレッチェ広島の監督を務めた時代から遡り、強みと弱みを指摘。連続して使用される専門用語を追いかけるのは簡単ではない。しかし、明瞭な言語化はそれ自体に価値を感じる。「相手の戦術の裏返し」「戦略的ラッシュ」「主導的チーム戦術の欠如」などの表現は印象に残った。

 特に「委任戦術」に対する評価には共感した。戦術は研究され、それを見越して先を読む力が求められる。言い換えれば奇跡は続かない。個人の成長など、得ている利益は皆無ではない。ただし、結果を求められる舞台において、選手に対する委任の範囲が極めて広い現状は解決すべき課題と言えるのではないか。サッカーに限らず、何事も階段飛ばしで成長することは稀であることを再認識させられる。


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