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営業もマネジメントも本質は同じである

メンバーとの会話の中で「将来はマネジメントも経験をしたいです」と聞くことが多い。営業として成果を残せるようになったらマネジメント、と考えるのは間違っていないが少し違和感を感じる。
「営業」と「マネジメント」が別のものであり、営業スキルが完成したら次にマネジメント、と考えているように聞こえる。

私はマネジメントも営業も基本的には同じものだと思っている。異なる点は「対社外」「対社内」の違いだけである。

・営業:お客様(社外)の悩み相談
・マネジメント:メンバー(社内)の悩み相談

お客様の困っていることを解決するのが営業のように、メンバーに対して困っていることを解決するのがマネージャーである。

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【例】(相手=お客様/メンバー)
・相手と丁寧に接する
・相手を動かす(褒める/定期接触する)
・相手の立場に立って物事を考える
・自分本意にならずに相手の利益を意識する
・KPIを決めて相手の成果への経過を定点ウォッチする

上記の図やポイントは「お客さま」でも「メンバー」でも共通することである。ここができている営業は成果を出すことができるし、同様にマネージャーとしても信頼される。

ただし、全ての営業スタイルがマネジメントに通じるわけでは無い。
以下に営業で成果が出ていてもマネージャーになれない人のNGポイントを記す。業績を残せる営業マン=マネージャーの資格がある、では無い。

NG:顧客との関わり方が浅い

営業業績は主に「社数」x「社単」で構成される。そして社数(広さ)/社単(深さ)に関しては営業の裁量でコントロールできることが多い。
何が言いたいかというと、営業は深く関わらなくとも社数戦略をとることで浅く広くでも業績構築が可能だ。

一方でマネジメントに関しては対象(メンバー)は固定である。故に営業でいうところの社数戦略をとることができない。そのため確実に「深く接する」ということが求められる。

そのため、「営業数字に関してはたくさん行動して社数戦略をとってきて業績を伸ばすことができました」のような人に関しては営業業績に関しては優秀だがマネージャーとしてはNGである。営業として「深く」人と接することができる人だけがマネージャーとして登用される。

NG:得意タイプが固定されている

営業は多くの管理顧客から自分自身に合うお客様に対してのみ注力をすることでも業績を伸ばすことが可能である。
「介護業界/中小企業が得意」のような企業セグメントであったり、「感覚で対応するお客様が得意」のようなお客様の性格であったり、自分の得意分野や相性が合う人と積極的に関わるだけでも業績は伸ばすことができる。

一方でマネジメントは相手を選べない。メンバーをマネージャーとして選ぶことは基本的にない。(資格や経験でセグメント分けされたメンバーな可能性はあるが、マネージャーの好みの性格が考慮されることは無い)
自分が苦手だろうが、相性が悪かろうがメンバーはアサインされる。

そのため「この業界の企業に対して/自分と気が合うお客様に対してだけ業績を伸ばすことができる」ような人はマネージャーとしては不十分である。

NG:プロダクトアウト営業をしている

営業において、売り方は大きく分けて2種類に分けられる。

・プロダクトアウト営業:自社の商品の強みをお客様にぶつける営業
→商品を売るタイプの営業
・課題解決型営業:お客様の課題を分析した上で解決策として自社商品をぶつける営業
→課題解決方法を売るタイプの営業

企業によるが「プロダクトアウト型」の営業であっても業績を作ることは可能である。この営業方法だと「深さ」はでないが「数」で補うことができる。(課題に合わせていないので社単は低くなるがトライアルの意味での導入は可能なことがある)

一方でマネジメントに関してはこの「プロダクトアウト」が存在しない。
全員に対して同じ「プロダクトに当たる一つのパターン」を当てはめることは不可能である。なぜならメンバーは千差万別な課題をもっており、都度そこに処方をすることが必要だからだ。ワンパターンに接することはできなくは無いが、そのようにしたらメンバーからそのマネージャーはは必要とされ無いだろう。

そのため「プロダクトアウト営業で数字を作ってきた」営業マンがマネージャーになると、チームが崩壊する可能性がある。

NG:モチベーションに波がある

営業は自分の中で完結する。故にモチベーションに浮き沈みがあったとしても最終的に業績達成していれば問題はない。

一方でマネジメントは常にメンバーと接することが求められる。自分のモチベーションが高かろうが低かろうが関係ない。営業は自分の中でコントロールできるがマネージャーは許されない。

そのため「モチベーションの浮き沈みが激しい」営業マンはマネージャーになると、メンバーが疲弊してしまう。

どうなったら営業→マネージャーになれるのか

上記の違いを踏まえた上で定義をすると、

・顧客と深いリレーションを築き、低チャーン高社単で取引ができる
・得意不得意を持たず、様々な顧客属性に対応できる
・課題解決型の営業ができている
・モチベーションに左右されない

上記が実現できており、業績も残すことができていれば
対象が「お客様」から「メンバー」になったとしても変わらず成果を残すことができ、マネージャーとなれる。
また、これらを満たすことなくマネージャーになってしまった人はどれだけ経験を積んでもいいマネージャーにはなれない。

まとめ:マネージャーになりたければ営業を極めろ

記載したようにマネジメントと営業は異なるものではない。
そのため営業をやって、マネジメントを学んで、という順番は成り立たない。

営業であらゆる属性の顧客と深い関係性を築き、課題解決型の営業をして、モチベに左右されることなく一定の業績を残し続けられる。

そんな営業マンの姿になっていれば、関わる相手が「メンバー」に変わってもすぐに成果を残せる。

マネジメント経験をしてみたい、というのであればまずは目の前の仕事である「営業」を極めよう。その道は一本で繋がっている。

余談:自分が異動した意味

書き終わった後に気づいたことがある。自分が異動をしたかったのは「マネジメント」「営業」という括りではなく、課題解決能力を磨きたかったということなのかな、と思った。

自分の知らない「課題」を持つメンバーと一緒に仕事をすることでより高度な課題解決能力を要求される。そんな環境にワクワクして異動したのが経緯なのかな、と改めて思った。(理由がすっきりできる形で言語化できた笑)

加えて、私は「人が好き」なのではなく「課題解決が好き」なことに気付きました。(独りでいるのが好きなのにマネジメントが好きなことに違和感があったがすっきりした笑)

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