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約500万年前の歴史に思いを馳せる【ジオ散歩vol.1:仙台市No.1-4】

仙台市の西の段差を見に行くジオ散歩。
前回はようやく「崖」にたどりつき、その地層からどんな歴史が読み取れるのか?というところで終わりました。
ではいったい、過去の仙台市で何が起こったのか?

前回を見ていない方は、↓をドウゾ!


地層を読み解く

本当は私自身が直接観察した結果も交えてお話しできると良いのですが、今回は柵越しの観察と地質図解説書(北村ほか1986)の記載を照らし合わせ、「おそらくこうだろう」というものですので、ご了承ください。

仙台城下の崖の地層区分(筆者推定)

この崖に見える地層は、向山層(Mk)に広瀬川凝灰岩部層(Mkt)がサンドイッチされています。
さて、それぞれどんな地層なのでしょうか?

Mk①:向山層下部層

シルト岩砂岩亜炭が分布する地層です。
写真では暗灰色に見えますので、おそらくシルト岩主体で、亜炭が含まれているかもしれません。
河川湖沼湿地など陸上でつくられた地層ということになります。

特にMktとの境界付近には立木(切り株みたいな状態)の化石群が見つかっています。つまり森林だったということですね。
そして木の種類はセコイアです。ヒノキや杉の仲間で、現在はアメリカ西海岸沿いの地域で自生しているそうです(コトバンクより)。

ちなみに、この化石群は仙台市指定の天然記念物(霊屋下セコイア化石林)になっています。

Mkt:広瀬川凝灰岩部層

分厚い凝灰岩で、最大で15mの厚さがあります。
はじめに(地層の下部)火山灰が降り積もり、その後に火砕流が堆積しました。
想像してみてください。
川が流れ、湖沼や湿地とセコイアが生い茂る森林に、突如として火山灰が降ってきます。そして次の瞬間、火砕流に焼き尽くされ、埋め尽くされてしまいました。こうしてセコイア化石林がつくられたのですね。
この時の噴火の様式はポンペイを埋め尽くしたプリニー式噴火と同様のものだったと考えられます。

Mk②:向山層上部層

下部層と同様の砂岩・シルト岩・亜炭に加え、凝灰岩も含めた互層です。
もう1度写真を見てみましょう(下)。
確かに崖の上部は縞々が細かいですよね。
火砕流を起こした火山は、その後も小規模な噴火を繰り返したのでしょう。平穏な時期は河川・湖沼・湿地の堆積が続いたと思うと、たまに火山灰が降ってくる・・を繰り返したことが分かります。

仙台城下の崖の地層区分(筆者推定)

太古の歴史に思いを馳せる

約500万年前、仙台市周辺にはセコイアの森林が広がり、河川・湖沼・湿地のある静かな環境でしたが、突如として火山が噴火して火山灰・火砕流に埋め尽くされてしまった。
そんなことを思いながら散歩してみるのも、たまには良いかも知れません。

ジオ散歩vol.1 仙台市No.1のルート:スーパー地形画像に筆者一部加筆

今回のジオ散歩の全ルートです。
最後に南下した道を戻り、「国際センター」の隣にある仙台市営地下鉄国際センター駅から地下鉄へ乗って家路につきます。

仙台市営地下鉄国際センター駅:筆者撮影

この散歩で歩いた歩数は約8000歩でした!

でもセコイアの化石をこの目で見てませんし、火砕流を起こした火山がどこにあるのか?などナゾはまだまだあります。そもそも火山の場所が突き止められているのかすら、今の私は分かってません(笑)
今後も仙台市周辺のジオ散歩を続けますので、お楽しみに♬

お読みいただき、ありがとうございました。


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参考文献

北村信・石井武政・寒川旭・中川久夫(1986) 仙台地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,134p.

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