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あの日を忘れない:門脇小学校編【ジオ散歩vol.4:宮城県石巻市No.1】

「市街地を実際に散歩しながら地形・地質を楽しむ」シリーズ、ジオ散歩。
・・・なのですが、今回は「悲しみを乗り越え、後世に伝えていく」というスタンスでお話ししていきます。

場所は?

まずは場所を確認しましょう。
宮城県は東北地方の中南部の太平洋側にあります。

宮城県位置図:スーパー地形画像に筆者一部加筆

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

宮城県周辺地域の地形図:スーパー地形画像に筆者一部加筆

宮城県は実は、県庁所在地である仙台市(県中南部)の平野は小さめで、北東部の北上川沿いの平野の方が大きく広がっています。
その沿岸部一帯が、今回の舞台である石巻市(いしのまきし)です。

石巻市位置図:スーパー地形画像に筆者一部加筆

北東の着色した地域が石巻市です。
公共交通機関では、JR仙石線(せんせきせん)で仙台市とつながっています。宮城県の中では仙台市の次に人口が多い市です。

震災遺構を見に行こう

宮城県で海沿いと言うことで、既にお気づきの方もいらっしゃると思います。そう、今回は津波の被災地に残されている「震災遺構」を見に行くジオ散歩です。
取材では2カ所行きましたが、ここでは「門脇小学校」を紹介します。

門脇小学校位置図:スーパー地形画像に筆者一部加筆

JR石巻駅(上図青丸)から南へ約1.5kmに位置しています(上図赤丸)。

震災遺構 門脇小学校:筆者撮影

門脇小学校の全景です。
最上部まで傷んだ様子から、津波が屋上にまで達したと推察されます。

内部を見ることができる

行ってみて凄いなと思ったのは、小学校内部がそのまま博物館になっていたことです。

震災遺構 門脇小学校 内部の状況①:筆者撮影

このように立ち入り禁止箇所には鉄格子がありますが、内部を見ることができます。

震災遺構 門脇小学校 内部の状況②:筆者撮影
震災遺構 門脇小学校 内部の状況③:筆者撮影
震災遺構 門脇小学校 内部の状況④:筆者撮影

このように通行可能な箇所がそのまま順路になっていて、上の階へ行くことができます。

震災遺構 門脇小学校 説明看板①:筆者撮影
震災遺構 門脇小学校 説明看板②:筆者撮影

当時、学校関係者・児童・周辺住民は上写真のように教壇を使い、裏山(日和山:ひよりやま)への脱出に成功しています。

機転を利かせて避難することができましたが、逆を言えば「あらかじめ用意された避難ルートが無かった」ことを意味しています。

危機を目の前にしたときに、人間は必ずしも正しい選択をできるとは限りません。やはり日頃から災害に備え、避難方法を決めておくことは非常に大切だと思い知らされました。

小学校周辺の地形

裏の日和山を避難場所に選んだことも功を奏しています。

門脇小学校周辺の地形:スーパー地形画像に筆者一部加筆

上図の赤丸が日和山です。
小学校周辺は標高0~5mの平野が広がっており、小学校の屋上より高い場所は日和山しかありません(※日和山の標高は30~40m程度)。

日和山の斜面:筆者撮影

当時は3月で藪は無く、雪が積もっていました。
これだけの急斜面を子供やお年寄りが登りました。
皆さん、本当に必死の思いだったのでしょう、

津波堆積物

小学校内部では、遺物や当時の様子の説明のほかに「津波堆積物」に関する展示もあり、非常に興味深く見学しました。

震災遺構 門脇小学校 津波堆積物の解説展示①:筆者撮影
震災遺構 門脇小学校 津波堆積物の解説展示②:筆者撮影

研究成果の発表が震災に間に合わなかったのは非常に残念ですが、他の地域に活かすことはできます。

震災当時の辛い状況からは目を逸らしたくなる気持ちもありますが、真摯に向き合うことで、今後に活かしていきましょう。

お読みいただき、ありがとうございました。


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