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美術について

2018年留学中に書いていた文章を今更ながら投稿する。 無性に文章が書きたくなって、キーボードをたたいている。 今読んでいる本は入江昭氏によるCultural Internationalism and World Order という本だ。LSEで勉強している先輩が話していたのをぼんやり覚えている。それがきっかけだったかどうかは覚えていない。他の場所でも参照されていて、それで読もうと思ったような気もする。後はThe Story of Art という美術史の定番の本も、ちょっと

    • 日英ごちゃまぜ文章(結構好き)

      私の留学先の図書館のそばには、王立裁判所がある。そのためか、法律時事務所がそれなりに点在し、そのほかにも広告会社のオフィスもあるようである。 今日はやたら天気が良くて、オフィスワーカーも図書館にこもっている学生も、昼時になるとぞろぞろと出てきて芝生やベンチに座って話し出した。 a bit crazed from all the cramming, it felt really nice walking outside in the sunlight. I wandered

      • 悪態

         昨日は楽しかった。  きれいに着飾った。たぶんそれなりに魅力的に見えたと思う。異性の前でそれを見せびらかした。鴨川を二人で歩いた。一緒にコンビニに入って、彼はアイスクリームを、私はラテを買った。コンビニの外でお互いの買ったものをちょっとずつ味見した。アイスクリームとラテはよくあって、口のなかでほどけた。やはりまだ蒸し暑い京都の夏の夜道を、彼は「送るから」と言った。私は断った。もちろん送ってもらった。つまらないことで笑いあって、さようならを言った。日付が変わらないうちに次会う

        • Omarの話

          この間クロアチアのドブロブニクに旅行した帰りに、Uberを使って寮に帰った。 飛行機はルートン空港に深夜に到着し、そこからBaker Streetまでは2時にバスで帰ることができたのだが、その先最寄のElephant and Castleに行く公共交通機関がなかった。次のバスは3時にしか出ないので、寒いロンドンの夜空を過ごす場所はどこにもなく(意外なことにロンドンは夜の12時を回るとほとんどの店は閉まってしまう。パブでさえだ。)、Uberを使わざるを得なかった。 車を見つ

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          異国に住む、砕けない

           よくカルチャーショックで苦しむ留学生の話を聞く。  イギリスで暮らし始めて二か月だが、苦しいと思ったことがない。  今日初めてまともな日本食をレストランで食べた。イワシの焼き魚と天ぷらと白米。とてもおいしかった。店員さんの何人かは日本人で、メニューもとても日本的だった。京都の五十棲みたいな感じで、値段は少し高めだった。  それだけ。別に泣き出すほど懐かしい味ではなかった。  夜の8時に一人でソーホーをうろつく。ちょっと道に迷ってしまったが、先週火曜日に見つけたお花屋

          異国に住む、砕けない

          自分しかいないとき

           初めての一人暮らしをしている。ロンドンで。  これまでずっと京都に住んできた。親と離れたことなんて一度もなかったし、自分でごはんを用意することも、洗濯をすることもなかった。オックスフォードストリートに出かけて、無印で山のように整理用の箱を抱えて、ついでにドライヤーを買ったりした。フライパンだの食器だのを買いに出かけたとき、寮に帰るまでのバス停が全然見つからなくてえっちらおっちら人ごみの中を大きな荷物と一緒にかき分けて進んだ。それでも、生活面ではそんなに苦労を感じていない。

          自分しかいないとき

          平成最期の夏、大切な友人の役を押しつけるということ

           平成最期の夏、大学三年生、留学を秋に控え、まさにこのタイミングしかないと思い、大切にしたいと思っている友人たちを私の家族が持つ別荘に招待した。  私にとって別荘とは私の子供時代を象徴するものであり、今の私を作ってきた環境の一つだ。20回の夏と10数回の冬といくつかの春と秋をそこで過ごしてきた分だけの意味と愛着と秘密がある。そこにはノスタルジアもあれば、仄暗いうしろめたさも住み着いている。  私は、家族の別荘があることを多くの人に言ってこなかった。大切な場所であるとともに

          平成最期の夏、大切な友人の役を押しつけるということ

          夜の川辺に面した部屋

           夜になって、少しだけカーテンを開けて眠りにつくのが好きだ。  私の部屋は大きな通りに面していて、交通量が多い。そばにある川辺に集まる人の声もよく聞こえる。  夜になっても、車の行きかうシャーっともゴーッとも取れない音は絶えないし、昨日は酔っぱらった女の子が楽しそうに、でも今にも寝てしまいそうな感じで大声で笑っているのが聞こえた。  本当は窓を開けて寝て、川の音と車の音と人の声を聞きながら眠りたいと思うのだが、大通りゆえに暴走族がエンジンをふかせて通り過ぎていくこともあ

          夜の川辺に面した部屋

          郷愁

           私はその場の空気に酔っぱらって焼き肉屋を出た。前いた部活のそばにある店だった。  そのとき一緒にいたのはサークルの人たちで、みんな賢くて真剣でいい人たちだった。ごはんを一緒につつくのも気まずくなかったし、けらけら笑うのも久しぶりだった。  けれども、店から一歩踏み出すと、御影通りからかつて通い詰めた部活の思い出が立ち上るようだった。自然と「ああ、馬術部行きたいなあ」と声が出た。   ふわふわした頭でゆっくりと自転車を漕ぎ出す。談笑する女の子の群れが近づいてくる。ぶつか