見出し画像

Favole al Telefono


「パパの電話を待ちながら」という本を読みました。

仕事でイタリア中を回るビアンキさんが、幼い娘に毎晩一つずつ電話でお話を聞かせている、という設定です。
アイスクリームやチョコレート、キャンディが出てくるお話は、子供たちが喜びそう。
回転木馬やビーチパラソルで空を飛んだり、小さな女の子が遭遇するハプニングにドキドキしたり……どのお話も短いのですが、不思議な世界に引き込まれてしまいました。
私が好きな物語は、「ピオンビーノのおいしい雨」。カラフルで甘い、こんな雨が降ってくれたら嬉しいな。


作者のジャンニ・ロダーリさんは、イタリアの作家で国際アンデルセン賞の受賞者だそうです。

翻訳は、内田洋子さん。
「ジーノの家」で日本エッセイスト・クラブ賞と講談社エッセイ賞を受賞された方です。
私は「皿の中に、イタリア」という作品を読んだのですが、人々とその暮らし、街や風景が身近なものとして自然に伝わってくる感じがしました。他の作品も読んでみようと思っています。

それから、このロダーリの本の帯に書かれている江國香織さんの文章が、とても印象的でした。


物語の本質がここにはあって、それもこんなにふんだんに、惜しげもなく美しくならんでいて、こういうお話を毎晩聞いたこの子供は、どんなに心が丈夫になったことだろう。
この本を知っている人と知らない人とでは、人生が違ってくると私は思う。
愉快で、幸福で、豊かな本!


本の表紙は、荒井良二さんが描いていらっしゃいます。
絵をよく見ると、お話に出てくるものがいっぱい……!読み終わったあと、気がつきました。こういうの、いいなあ。
あたたかくて、楽しい雰囲気が伝わってきます。

穏やかで優しい時間を届けてくれる本です。






【おまけ】

江國香織さん・作
荒井良二さん・絵

「モンテロッソのピンクの壁」も、すごく素敵な作品で大好きです。


この記事が参加している募集

読書感想文

海外文学のススメ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?