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2021年8月の記事一覧

暗幕のゲルニカ(著者:原田マハ)

暗幕のゲルニカ(著者:原田マハ)

著作者名:原田マハ 発行所:株式会社新潮社 2018年12月21日発行

ピカソ作品の「ゲルニカ」をピカソの恋人で写真家のドラとピカソ研究者瑤子の目を通して見た作品である。時代は、第二次世界大戦をめぐるものと21世紀のものを交互に描いている。

ピカソは、1937年5月に開催されるパリ万博スペイン館に展示する作品の制作を依頼される。

1936年に勃発したスペイン内乱は、クーデターを起こしたフラン

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ショローに告ぐ、ドライであるということ

ショローに告ぐ、ドライであるということ

『ショローの女/伊藤比呂美』

伊藤比呂美さんのエッセイを読むのは『道行きや』に続いて2回目になる。このエッセイは『婦人公論』に2018年8月28〜2021年5月11日に渡って連載されたものに加筆・再構成された作品だ。

伊藤比呂美さんは1955年生まれ。ということは今年で66歳になられるのだろうか...伊藤比呂美さんはここ3年間は早稲田大学で教壇に立ち、ショロー(初老)を迎えて身体能力の低下を感

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風通しのいい暗いはなし

風通しのいい暗いはなし

2021.8.10(火曜日)  got a fever

あらまぁ、熱。

昨日の日記で「倦怠感はあるが、熱はない」と書いた。あれを書いたのは夕刻だったが、その後なにやら体がおかしげな雰囲気になってきた。熱を測ったら37.5度。びっくりするような熱ではないが、1回目(ワクチン接種)としては嫌な雰囲気になってきた感じがした。食欲ありとも書いたけど案の定食欲もなくなった。うどんを湯がいて食べてそのまま

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たゆたえども沈まず(著者:原田マハ)

たゆたえども沈まず(著者:原田マハ)

著作者名:原田マハ 発行所:株式会社幻冬舎 令和2年3月発行

画家のゴッホと彼をめぐる三人の画商の話である。三人とはゴッホの四歳年下の弟テオ、日本人画商の林忠正と部下の加納重吉である。ゴッホとテオはオランダ人である。時代は19世紀末。

忠正と重吉は、開成学校でフランス語を学んだ。忠正は重吉の三年先輩である。二人ともフランスへの留学を望んでいた。パリこそは、産業も文化も世界一だと聞く。世界の中心

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