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目に見えない大切なもの。30回目は「嗅覚

気候も暖かくなり、新緑が深まりました。散歩するとたくさんの花をみかけるので思わず匂いを嗅いでしまいます。カレーが大好きな私はスパイスの香りを嗅ぐのも大好き。お店に行くと、これはあのスパイスの香りだなとかいろいろ考えてします。

とある患者さんに、カレーの匂いがしてもその匂いを全く感じられないとのことで医療機関を受診されている方がいました。さまざまな匂いが、そのものの香りではなくて全く違う匂いがするんですと。私だったら大好きなカレーの香りが別の匂いになれば美味しくないでしょうし、食欲も低下してしまうでしょう。その方も匂いが違うので、食べ物をただの物体として食べている感覚とのこと。食事が楽しくないと話されていました。

コロナ感染症の初期症状や後遺症で嗅覚異常がニュースで話題になりました。嗅覚に敏感になった方も多いのではないでしょうか。私自身も嗅覚異常の経験はありますし、それによりパワハラを経験したことも😅 (パワハラに関してはいつか話せたらと思っています)。また知人もストレスやコロナ感染症により嗅覚異常に。知人は現在は症状も落ち着き嗅覚は改善しましたが、患者さんにはなかなか嗅覚が改善しない人もいます。

今もマスク生活を継続している方は多く、マスクを外すのは食事の時だけの方もいるのではないでしょうか。マスクで嗅覚が鈍感することで他のさまざまな疾患に気づけなくなったり、他の疾患を悪化させることも。

今はマスクは自分の意思で着用するのか、しないのか選択することができます。マスク着用により、将来健康な道を歩むのか、不健康な道を歩むのか。これからお話しすることを踏まえて検討してみてください。

今回はマスク着用を継続した場合のさまざまな疾患のリスク。また最初に紹介した患者さんの事例のように、コロナ後遺症などで嗅覚異常がある方に向けた、薬を使わない治療方法についてご紹介したいと思います。

今回も長くなりますので、気になった見出しのところだけ読んでみてください。

⭐️マスク着用によるリスク


3月中旬頃マスクが任意とされた日を、これでもかと待ちわびていました。これでマスクをしていなくても正々堂々としていられると。しかしながら、現在も多くの会社では、お客様からの批判を恐れているのか、未だに従業員は継続してマスクを着用しているところが多く見受けられます。そしてお客様である私たちにもマスクを着用してくださいと指示するお店もちらほら。


以前もマスク着用によるリスクは伝えてきました。しかし、任意になってからも多くの人がマスクをしている異常な光景に多くの日本人が疑問をもたなくなってしまったのかなと思ってしまいます。

知人とプライベートで会った時に「なんでマスクしてるの?」と聞いても、「会社のルールだから」「マスクに慣れちゃって」や「コロナになったら嫌だから」、あるいは質問答えられない人もちらほら。「私、マスク気にしないよ」の発言をしても食事の時のみマスクを外すだけ、食事が終わるとすぐにマスクを着用。2年半前は国をあげて食事以外はマスクをしましょうと大きく報道されていました。しかし、2年半もの時間が経過し、世界は大きく変わりました。以前と同じままでいいわけがありません。マスクをしている人の方が明らかに体調を崩している事実を理解して欲しいのです。

⭐️マスクをしなくていい理由


マスクをしている人はなぜマスクをしているのか。それはマスクをしないことにより自分がコロナになった時に感染させるのが怖いから。自分が責任をとりたくないからと口を揃えて言います。ちなみに現在、仮にコロナに感染したとして、周囲の人に感染させるリスクがどれくらいあるのか考えたことはありますか。これからお話することを聞けば、マスクをしなくていい理由が理解でき、自分から積極的にマスクを外すことにつながり、ご自身の体調は大きく改善すると断言できます。

コロナ感染初期、クラスターが問題となりました。感染者が1人出ると、周りの多くの人にも感染し、爆発的に感染者が増えると。2年半前に爆発的に感染者が増えた理由としては、コロナウイルスが新しいタイプのウイルスであったこと、そして感染しても免疫機能が防衛してくれる抗体を多くの人が持っていなかったこと。それらの事実を知らない人が多いのです。

⭐️ワクチン接種が推奨される理由

インフルエンザウイルス、風疹ウイルスも予防接種を行います。予防接種を行うのは体の中にウイルスが入ってきたときに重症化を防ぐための抗体を産生させるため。多くのワクチン予防接種は重症化を防ぐために行っているのです。

風疹ウイルスもコロナウイルス同様、飛沫感染するウイルスです。2012年頃、風疹が流行した時期がありました。妊婦が風疹ウイルスに感染すると重症化するので、妊婦もその周りの家族も接種しましょうと報道されたのも覚えている方も多いのではないでしょうか。現在風疹ウイルスの予防接種は「定期接種」とされています。定期接種は国が接種を勧奨し、市町村が摂取を行わなければならないワクチンのことです。それとは反対に任意で受けるものを「任意接種」といいます。


現在、風疹はMRワクチン(麻疹、風疹混合ワクチン)で定期接種の対象となっています。そしてこのワクチンは2回接種が基本となります。しかしながら、1962年4月2日から1972年4月1日生まれの男性は未接種者がほとんど。1972年4月2日から2000年4月1日までは男女共に1回のみの摂取の方がほとんど。そのことが、当時風疹が流行した原因となりました。

2回摂取すべき理由としては1回の接種では免疫がつかなかった方が2回受けると95%以上の人が風疹ウイルスに対して免疫を獲得できるからだとされています。幼少期に1回のみ接種していた人の場合、1回だけなので免疫が強化されておらず、時間の経過とともに免疫が弱まってきていた人がいたことも当時の流行に繋がったと考えられています。

インフルエンザの予防接種も2回摂取が推奨されるのは上記理由から。そして仮に予防接種をすれば感染しても重症化は防げます。

そしてコロナのワクチンでも2回摂取が推奨されたのは、より強化された免疫の獲得が理由だったのです。問題視されている副反応についてはまた話が長くなりますので、いつかの機会に話すことができれば思っています。

⭐️世界は大きく変化した

コロナ、インフルエンザ、風疹ともに、感染しても無症状の人が一定数います。コロナも無症状の人が行動範囲を広げ、感染拡大を助長したと報道されたので、自分が感染して責任をとりたくないからと、部屋に引きこもるような生活をされていた方も多いのではないでしょか。

無症状の人から無症状の人に感染。もちろん症状が出る人もいますが、多くの無症状患者同士で感染し続ければ、感染者の中で抗体ができます。これを獲得免疫といいます。抗体ができれば、仮にあなたが感染したとしていても、重症化はしないですし、症状も出ずに普段通りの生活ができるのです。


ウイルスもこの2年半で大きく変異しました。初期は重症化しやすいものでしたが、後半は重症化しにくいものに変化しています。これはインフルエンザでも同様でA型が流行ったあとにB型が流行します。そして後半に流行るB型の方がコロナウイルス同様、突然変異しにくく大流行を起こすことはないのです。

私は2年半前のコロナ初期の段階で理解していたため、テレビの多くの報道で、感染者数の公表や自粛しましょうといった内容に疑問を感じていました。なぜ、もっとそれ以外の重要な情報をしっかりと報道しないんだろうと。

それが国民の不安感をあおり、多くの日本人が未だにマスクをし、思考停止状態に陥っている原因なんだと考えます。

⭐️マスクをしつづけるとこうなる!


マスクをしている人を観察していると…多くの人の呼吸が乱れている。肌荒れがひどい。精神的に落ち込んでいる。痩せたor太ったなど。マスクをしている方々はマスクを外せばこのような症状が大きく改善されるのになと思ってしまいます。

呼吸が乱れ、浅い呼吸になると、リラックスする神経ではない方の神経(交感神経)が優位になります。交感神経が優位になると、体は戦闘状態モードに。心臓はバクバク、脈は乱れ、常に不安感に襲われたりするのです。

マスクをすることで脳に取り込まれる酸素量も低下します。脳内の血流量が低下すれば、集中力が切れやすくなりますし、新しいことを覚えるのも難しくなります。脳は常にいかに楽でいようとするか考えます。したがって、マスク生活が解禁されたにもかかわらず、2年半の間、マスクをし続けて慣れてしまったからといってマスクを外せないのは、マスクによる酸欠により完全に思考停止状態に陥っているのです。

この2年半で世界が大きく変わりました。しかしながら、2年半もの間マスクをしつづけたからこれからもマスクをすることを変えないといいうのは普通に考えておかしいと思わないでしょうか。


そしてマスクをしつづけるデメリットとして、肌荒れやアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患が悪化します。マスクによる擦れもありますが、交感神経が優位であるため、皮膚も常にストレスフルな状態。肌も呼吸しているため、皮膚の呼吸できる場所がおおわれれば、皮膚の呼吸は浅くなります。それが肌トラブルにつながるのです。

そしてマスクをすることで、日光があたる面積も狭くなります。日の光を浴びることでセロトニンと呼ばれる幸せホルモンが放出され、心の状態も安定し、肌の状態もよくなるのですが、それが妨げられてしまうのです。

⭐️嗅覚がダイエットに関係していた!


嗅覚の話に戻りましょう。マスクをしていると口と鼻が覆われてしまいます。鼻が覆われることでさまざまな香りに鈍感に。特に食事は五感で感じて味わうもの。鼻から嗅いだ匂いを通して舌触りを感じて味覚に通じます。多くの飲食店で見かける耳にイヤホン、目線はスマホ、の「ながら食い」。熱々の食事が出てきたときは「ジュワジュワ〜」とか湯気で「モクモク〜」とか聴覚で音を感じながら食べるとより感覚が研ぎ澄まされて美味しかったりしませんか。私はレストランで食事をする時も、なるべくスマホをみないようにしています。お店の内装だったり、調理しているところが見える時は調理場を見てみたり。特にカレー屋さんでは料理が出てくるまで待っているまでの時間に、スパイスの香りが漂ってくるのが最高だったりします。スパイスが複雑に絡み合った匂いが食欲をそそり、できた料理の香りを嗅いでから食べるようにしています。

香りをかぐと、食欲をそそられるのと同時に食欲を抑えてくれる効果もあったりするのです。そのため、血糖値の上昇が抑えられ、自然と食事量も減ります。「ながら食い」は耳も目線も奪われた状態。食事の見た目や形をしっかりみないでかきこむようにして食べれば当然、血糖値は急激に上昇し、過剰に食事を摂取することになります。

薬局では多くの糖尿病患者さんや生活習慣病患者さんを多くみてきました。患者さんに、必ずしていた質問は「料理の匂いを嗅いだりして食事をしていますか?」と。多くの患者さんは「そんなの考えたことない」「食事が出てきたら、ご飯から食べるよねー」と。そのような食べ方を行っていれば血糖値は急激に上昇し、食事量過多に。生活習慣病になるのは当然のことなのです。ですから、患者さんにはまず匂いを感じて食べるようにしてみてくださいとお伝えしてきました。その一言が少しでも気づきになってもらえたらと思っていました。

⭐️嗅覚と記憶の関係性

匂いが全く違う匂いになっていた患者さん。この病名を「異臭症」といいます。原因がわからず西洋医学では治療薬がありません。そのため東洋医学である漢方の種類を変えて、様子をみるもののほとんど変化がみられず。本人は「仕方ないわね。食事は食べれるから」と前向きな様子が印象的でした。

この患者さん、カレーの匂いが違う匂いであることはわかるのはなぜだと思いますか?それは匂いがどんなものであったか、脳の海馬記憶されているからなんです。

脳の記憶神経と繋がっていて、おそらく神経と記憶の繋がりがなんらかの理由で違う匂いの記憶と連結してしまったのではないかと考えられるのです。したがって、本来の正しい匂いを関連づければ元に戻る可能性があります。

海馬は大脳辺縁系の領域の一つで嗅神経と直結しています。近年の研究から嗅神経と海馬には再生能力があることがわかり、特に再生能力の高い嗅神経を効果的に刺激することで、海馬の神経細胞の働きが活性化されるといわれています。

⭐️嗅覚は認知症も関係していた

嗅覚異常の話から少しそれます。アルツハイマー型認知症海馬が萎縮することで記憶障害が起こるのですが、海馬の萎縮より前に嗅神経機能が低下することがわかりました。したがって、アロマの香りで嗅神経刺激することで認知症を予防できるといわれています。

さて嗅覚異常の話に戻りましょう。コロナで嗅覚を失った人、なんらかの理由で嗅覚に異常がある方。副作用のない治療法があります。脳の中の匂いの記憶を呼び起こしてあげればいいのです。匂いと記憶を関連づけて嗅覚を改善する方法を「嗅覚トレーニング」といいます。「嗅覚トレーニング」は薬を一切使わずに嗅覚の症状を改善する方法です。嗅覚トレーニングは継続することで症状の改善が期待できます。期間としては嗅覚を失ってからどれくらいかにもよりますが、嗅覚を失った早い段階で行うほど、より早く嗅覚の症状が改善します。

異臭症の患者さんは症状がみられてから数年が経過。嗅覚トレーニングの方法をお伝えするのが遅くなってしまったため、回復には1年以上かかることが予想されました。

ちなみに一般的に嗅覚異常の症状が出た場合は、ステロイド点鼻薬に抗アレルギー薬が処方されます。嗅覚が鈍感になっているところに炎症が生じ、嗅覚を感じにくくなっている可能性があるため、炎症を抑えるステロイドの点鼻薬と鼻のつまりを改善するために抗アレルギー薬が処方されるのです。

⭐️ 嗅覚異常の副作用のない治療法


嗅覚トレーニングは薬を使いません。したがって副作用のない安心安全な治療法なのです。トレーニングには、嗅覚異常の症状が出る前に好きだった香りを最低3つは決めてください。コーヒーの香り、香水の香り、ワインの香り、花の香りなどなんでも構いません。3つとした理由は、3つ未満だと、脳への刺激が少なくトレーニングの効果が少なくなってしまうから。そして、その香りを以前はこんな香りがしていたと想像しながら嗅ぐのです。ただそれだけ。それをできれば1日2〜3回行うようにしましょう。すぐに効果が出るわけではありませんが、継続することで改善が期待できるでしょう。

そして嗅覚トレーニングと並行して行ってほしいのが運動。自分が好きなことで構いませんので運動を継続して行うようにしてみてください。嗅覚と運動がなぜ?と思われる方も多いと思うのでこれから理由を説明しておきます。

⭐️嗅覚と運動の意外な関係

嗅神経海馬神経細胞を経由して密接な関係であることは先程伝えた通り。わかりやすい例として、糖尿病の三大合併症の一つに糖尿病性神経障害があります。血液中の糖が増えすぎてしまったために、神経細胞への血流不足により神経が鈍感します。そのため足の中の小さな傷に気づかず、そこから細菌が侵入し、最悪の場合、足切断なんて話も聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?糖尿病の患者さんは運動習慣がない方がほとんど。したがって体脂肪率は高く、筋肉量が低い状態。そのためほとんどの人が肥満状態です。肥満の人のほとんどが食べすぎている状態。食べすぎを抑えるホルモンは「レプチン」と呼ばれてますが、糖尿病患者さんの多くは、レプチンが大量に出ていても、その状態を神経にうまく伝達できない「レプチン抵抗性」の状態が生じていると考えられています。まだこのメカニズムに関してはよくわかっていませんが、過剰な脂肪によりレプチンが血管から脳にうまく伝達ができないためとされています。

反対に、脂肪が少なく、筋肉量の多い人はどうでしょうか。特にトップアスリートは目で見て人の動きを瞬時に判断できます。このことを動体視力がいい、とよく言われますが、目も筋肉でいかに瞬時に動かすことができるかどうかによります。動体視力がいい人は、瞬時にその人の動きを見て、次はどう動くのかなど判断ができるのです。トップアスリートの人たちは手先、指先、足先、そして嗅神経全ての末端まで神経が行き渡っているので、細かな違いをコントロールし、結果を残していくのです。トップアスリートと呼ばれる人に体脂肪率が高い人はいないですよね。筋肉がいかに大切で、それが自分の成果に直結するかを自然と理解しているからなのです。

したがって、運動し筋肉量を増やせば、嗅覚にも敏感になり、症状改善のスピードが速くなるのは間違いないでしょう。

ちなみに異臭症の患者さん。何年か前に片足大腿部筋肉を切除。通常なら松葉杖で歩くレベルの手術だったそうですが、日本舞踊が大好きでそれを続けていたために、運動はかかさずに行っていたとのことでした。問題なく歩けていたので、片足だけ細いことは言われるまで全く気付きませんでした。元から筋肉量があったおかげかもしれませんが、少しずつですが嗅覚を取り戻しつつあるようでした。もし嗅覚に悩まれている方がいたら、嗅覚トレーニングと共に、運動も並行して行ってみてください。

⭐️さいごに

目次からピックアップして読んでくださった方、全部読んでくださった方、お忙しい中、数ある記事の中から選んで読んでくださりありがとうございます。昨年の年末ぐらいから記事を書き始めて、今回でちょうど30回目になりました。だんだん長文になってしまい、時々こんなに長いの、面倒で誰も読んでないんじゃないかと思う日も。苦笑
記事を書いている間にも、たくさんの方と出会いさまざまな刺激をいただきました。記事を校正していただいた私の大切な師匠のおかげでもあります。

夏が近づき、日焼け止めが欠かせない季節になってきました。ドラッグストアで働いていた頃は紫外線は3月ごろから強くなるので、日焼け止めは3月から塗りましょうとお客様にお伝えするようにと言われました。かつての私も日焼け止めはかかさずに塗るようにしていましたが、最近日焼け止めって本当に必要?これ本当に肌に塗っていいものなの?と考えるように。よーく調べてみると、私たちが使っている日焼け止めの成分には危険な物質が多く含まれているんだなと思い使用を避けるようなりました。薬の専門家にもかかわらず、恥ずかしながら化粧品の成分には全くの無知だったんですね😅

次回は意外と知らない「日焼け止め塗ると〇〇になる」その理由と選んではいけない成分についてお話しできたらと思います。

今回も長い文章を読んでくださりありがとうございました。

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