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登校再開時の子どもの支援・対応について~教職員に向けて~

はじめに

 緊急事態宣言が全国的に解除され、いよいよ、6月から登校が再開されます。しかし、今後も感染状況によっては再度休校する可能性も想定しておかなければならず、子どもたちは短い期間に、度重なる環境の変化を経験し、その都度適応しなければならない状況に置かれていることを前提として対応していく必要があります。

 すぐに学校適応できる子どももいれば、そうでない子どももいるでしょう。そのため、学習の遅れを取り戻すことだけでなく、急な変化を繰り返し体験している子どもたちの気持ちに寄り添い、学習面・生活面での支援を行っていきましょう。その際、参考になりそうな資料がありましたので、5つのポイントにまとめてみました。

ポイント① 感染症対策を行い、子どもの安心・安全を高めていきましょう。

 子どもたちの中には、自分や家族も病気になるのではないかと不安を抱き、登校をしぶったり、いつもと違う反応をしたりすることがあるかもしれません。感染を恐れて、学校を休ませる家庭もあるかもしれません。感染予防の観点から以下の点に気をつけていきましょう。

 □定期的な換気
 □毎日の検温や健康観察のチェック。体調が悪い子どもを早めに見つける
 □密閉した空間で大人数が集まるよりも、野外や広い屋内で、人が密集 せずに十分に体を動かす配慮
 □こまめなアルコール清拭による消毒
 □手洗いの時間を設ける
  
「学校はしっかり対策している。大丈夫だよ」というメッセージは、子どもや家庭の安心感につながります。日々の指導で大変ですが、協力し合って感染症対策をしていきましょう。

ポイント② 再会を喜び、お互いをねぎらいましょう。

・不安やストレスの解消には、社会的な関わりを確かめ合うことが有効とされています。まずは、子ども達がこの不自由な状況の中でよく頑張ってきたことを、褒めてあげてください。
・嬉しさのあまり、普段より騒がしくする、奇声をあげる、甘える、まとわりつく等の行動があるかもしれません。それは自然な反応です。そのため、子どもたちを厳しく叱ることなく、優しく声掛けをしてください。せっかくの再会をお説教と指導で終わらないように心に留め、表現していい時間、ダメな時間を子どもに理解させるとよいかもしれません。

ポイント③ 健康観察を中心に子どもたちの様子をよく確認しましょう。

・登校時の様子も含め、いつもの観察を丁寧に行ってください。その際、睡眠、食欲、体調などできる範囲で確認できるとよいです。過覚醒反応(眠れない、イライラする、集中できない、落ちつかない)や身体症状があるかもしれませんが、普段と異なる状況であることを身体が察知して起こっている反応であることを共有してください。
・表情、姿勢、反応の速度、身だしなみ等を以前と比べてみてください。
・辛い時には我慢せずに親や先生に相談するように伝えてください。みんなで、ストレス発散方法を出し合ってもよいでしょう。

ポイント④ いじめや差別、攻撃が起こらないように予防しておきましょう。

・地域や身近に感染者が出た場合に、憶測で噂を流すこと、差別的に扱うことがないように理解し合っておきましょう。もしもいた場合、感染したことは不運なことで、完治した後は今までと同じように接する事、親切に対応する事を確認しておきましょう。それぞれ、自分がその立場だったら、どうしてほしいかを考えさせるのもよいかもしれません。
・また、咳やくしゃみをする子、風邪を引いた子への悪口、名前をもじってからかう、気に食わないと思った子に対して菌扱いしたりいじめたりすることがないように、最初に話し合っておきましょう。不安やストレスがたまった時は誰かを責めたり攻撃したりすることが起きやすいです。起きてしまった場合は、すぐに指導、学年・管理職に報告をし、いじめは絶対に許さない態度・姿勢を学校全体で作っていきましょう。

ポイント⑤保護者と積極的、継続的にコンタクトを取りましょう。

・特に配慮を要するお子さん、さまざまな事情を抱えている家庭、家族の関係が上手くいっていない家庭においては、家の中で共にいる時間が長いほど、負の影響が出てしまいます。それは、最も弱い立場の子どもの心身に直接的に作用してしまいます。精神症状や虐待の予防の観点からも、そのような家族を孤立させないように、必要があれば(介入の緊急度が高ければ)、他の機関の協力も得て支援を開始してください。
・不登校が増える可能性があります。生活リズムの乱れやネット・ゲーム依存が背景にある場合など、家庭との連携は必要です。3日以上連続して欠席した場合、電話連絡や家庭訪問などのコンタクトを取りましょう。

まとめ

 学校が再開すると、今まで想像していなかったことが起こる可能性があります。そのため、再開に向けてできる範囲でシミュレーションをしておくと、先生方の心の安定を保つことができるかもしれません。子どもたちだけでなく、先生方の心身の健康も大事です。再開後は一人で抱え、無理をしないように、声をかけ合いながらチーム一丸となって対応していきましょう。

引用・参考文献

・新型コロナウイルス感染症に伴う、再登校、分散登校時の対応について 北海道臨床心理士会
・学校再開時の子ども支援チェックシート 災害、事件・事故後の子どもの心理支援研究会
・感染症対策下における子どもの安心・安全を高めるために セーブザチルドレン




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