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落選文学展

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コンテストに落選した珠玉の迷作たちを「落選文学」として公開。自画自賛展といっても過言ではない。完全なる自己満足の世界。 ・・・と言いつつ、誰かに読んでもらいたいだけという寂しがり…
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2020年8月の記事一覧

本の声

本の声

「生きてる本があるらしいよ」
 小学校の休み時間。真紀が図書室で本を探していると、クラスの女子のささやき声が聞こえてきた。
「触っていないのに、本が棚から飛び出していたり、突然床に落ちたりすることがあるんだって」
「やだぁ、恐い」
 小さな笑い声とともに、二人は隣の棚へと歩いていった。
――あの二人、また何か秘密とか七不思議とか変な話してるのかな。この間は校長先生が校長室から消えた謎、なんて噂して

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「坊っちゃん文学賞」に落ちたショートショート。落選文学と名付けて発表!

「坊っちゃん文学賞」に落ちたショートショート。落選文学と名付けて発表!

世界で知らない人はいない気がする、モネ等印象派の画家たち。ご存知だろうか、実は彼ら、当時の画家の登竜門とでも呼ぶべき権威ある公式展覧会「サロン」への落選を繰り返していた。

どの画家もサロンへの入選を目指していた時代において、彼らは1874年、サロンに落選していた画家たち皆でグループ展を開催。のちに印象派展と呼ばれるようになったが、要は落選展である。別に拗ねているわけでも、開き直っているわけでもな

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