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#リレー小説
【小説】不思議なTELのアリス 第5話 束の間ティータイム【毎月20日更新!】
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「よかった。戻ってこられたみたいだね」
目を開けると先程とは違う景色、だけどあの不思議な世界に放り出される前の景色が広がっていた。
「テルさん」
「アリスと、君はくっついてきてしまったようだね」
「なんやここ。ほいであんたは何を想像したんや。あの女追えないやんけ」
青年も一緒に来てしまったようだ。なんだか文句を言いたげな様子で執拗にアリスの周り
【小説】不思議なTELのアリス 第4話 コンプラ芋虫【毎月20日更新!】
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自らの提案が不発に終わったことを、アリスは全身を刺すような空気からひしひしと感じていた。王子の特徴的な太い眉がぴくりとも動かない様子を見ていれば、「あごがなくても、チャームポイントは足りていらっしゃるのではなくて?」なんて言える雰囲気でないことはさすがに理解できる。
「なんで許されたのか、自分でも不思議」
しかし、アリスが死を覚悟したのに反して、
【小説】不思議なTELのアリス 第3話 ジョーカー王子
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城に着いたときアリスは目を疑った。広大な草原にはあまりにも似合わない金一色で作られた建築物がそびえ建っていたからだ。
「ここがジョーカー城だ」
五月ウサギが鼻を鳴らして言ったが、アリスは言葉を失っていた。彼が言っていた通りの悪趣味さが建物の形からも溢れ出ていたからだ。
「随分と個性的なお城ね」
なんとかアリスは言葉を絞り出して見せるが声は震え
【小説】不思議なTELのアリス 第2話 五月ウサギ【毎月20日更新!】
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まぶたの薄壁に隔てられていても尚感じる眩しさに、アリスは目をぐっと瞑った。どこかに掴まっていないとふらついてしまいそうだった。おもむろに目を開けると、そこはさっきまでアリスが受話器を取っていた昭和レトロの空間ではなく、青々とした草原が広がっていた。
アリスがいる石造りの建物からは、白い道がすっと遠くまで伸びている。なだらかな丘を超えた先には、まるで絵本