冬野ゆな@web作家

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冬野ゆな@web作家

いろいろと書いてる人です。 ▼ お仕事依頼はこちら ⇒ yuna.huyuno❆gmail.com ❆→@ ▼ 別名義創作note:冬の魔術師 ⇒ https://note.com/wizard_winter/

マガジン

  • 短編置き場

    普通の短編置き場です。

  • エーゼルランド島の怪物【怪物ホラー短編集】

    海外ホラー風短編集。怪物ホラーや怪奇幻想文学を目指したホラー作品集です。 収録作:「エーゼルランド島の怪物」「フラッフィー」「緑の沼」「死体処理」「ある幻覚剤について」「ウォーターベイビー」「マッドサイエンティスト」

  • 雑記

    わりとどうでもいい話をつらつらと書いておいてます。日記兼雑記兼なにか。

  • 企画用短編置き場

    主にノベプラやカクヨムなど、小説投稿サイトの企画などで書いた短編をまとめて置いておく場所です。

  • 【短編集】夏のまぼろし

    平成最後の夏に捧げた、ちょっと不思議な夏の思い出話。 蒸し暑い日に蜃気楼の中に入り込んでしまう「蜃気楼の夏」、二百年ぶりに日本で羽化する巨大な蝉の羽化を見に行こうとする「宇宙蝉」など、「私」にとっては特に不思議でもなんでもない夏の幻想譚。 100字未満のものから3000字程度のものまでサクッと読める短編集。 カクヨム掲載版よりちょっと変わっています。

最近の記事

【短編】幻想写真家マーガトゥンの真実

 あのマーガトゥン・ブレイズが最初に思いついたのは、SNSに写真を載せることだったんだ。  あんただってマーガトゥン本人を知らなくても、「幻想写真家M」のアカウントと、掲載されている写真を見たことくらいはあっただろう。  無い?  まあしょうがない。  そのアカウントだって、数多くの市井の芸術家のなかに埋もれていたんだからな。なにしろ最近は昔と違って、一般人や素人でも自分の「作品」を簡単にネットに上げられる。それが絵だろうが写真だろうが変わらんのさ。  まあでもとにかく、マー

    • 【短編】水晶宮の都【全5話】

      第1話  アントン・コムニーは子供の頃から眼鏡をかけていたので、彼の大きな特徴になっていた。  必要があっての事だが、たまたま日本で安価で見栄えのする眼鏡が手に入ったおかげで、とびきりのお気に入りになったのだ。日本の漫画が何作か流行ったのも大きかった。漫画のジョークに倣って「眼鏡が本体だ」などと弄られていたが、アントン本人も容認していた。わざと眼鏡を外しておくと、みんなが慌てたふりをして「おい、どうしたアントン。何も言わなくなっちまった!」と眼鏡に向かって言ったりするのだ

      • 【短編】金剛石の花嫁【全7話】

        第1話  婚礼の儀はつつがなく始まろうとしていた。  ほとんどの婚姻がそうであるように、人々は平穏と祝福の内にあった。太陽は優しく地を照らし、一点の曇りもなかった。サンドルク男爵領主の美しい娘、セシリア・リエーヴルはきょうこの日、素晴らしい男の妻となる。かれらの領地であり、サンドルク領主館の建つ素朴な村を突っ切り、教会に向けて先頭の馬車が出発するのを子供たちはいまかいまかと待っていた。贅を尽くした花嫁衣装をひとめ見ようと、村の女の子たちは首を長くして待ち望んでいた。男の子

        • 【短編】真昼の月に沈む【全5話】

          第1話  五年前、自分の音色のことをこう表現されたことがある。 「アツシ。キミのピアノはまるで、何か手に入らないものを探しているようだ」  ドイツの音楽学校でそう告げた教師は、意味ありげに口角を上げた。 「どういう意味ですか?」 「例えば――そう、もう会えない過去の恋人とか、熱に浮かされた一夜の恋のようなね」  誰か、日本に残してきたんじゃないか。教師はそう言いたげだったが、篤志にはピンとくるどころかむしろ狼狽えたように苦笑するしかなかった。それほどまでに恋い焦がれた相手

        【短編】幻想写真家マーガトゥンの真実

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        • 短編置き場
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          16本
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          7本

        記事

          【短編】世界の秘密

           幾多の苦楽だけを友として、男はようやく隠された塔にたどり着いた。  いまにも船を沈めんとする荒波を渡り、魔物の住まうという岩山を越え、毒沼と霧のたちこめる森を抜け、失われた文明の眠る砂漠を渡って、この秘密の塔にたどり着いたのだ。  この秘密の塔の中にはひとりの老賢者が住んでいて、世界の隠された秘密を知っているという伝説があったのだ。男は見事にその塔にたどり着いたのだ。  男の目の前に建つ塔は円柱形で、天に向かってそびえ立っていた。いったいどこまで伸びているのか見当もつかない

          【短編】世界の秘密

          【短編】危機一髪の人生

           男の目の前に女神が現れたとき、これは転機だと思った。  男は山の中で泉に転落し、溺れかけたところを女性に助けてもらえたのだ。  その女性は自分を泉の女神だと名乗った。自らを落っことしてしまった男に対し、女神は例の謎掛けをした。「あなたが落としたのはなんですか?」だ。  男はそれに対して「退屈な人生を持て余していた自分です」と答えた。 「わかりました。正直者のあなたには、退屈な人生を変える何かをあげましょう」  なんてことだ、と男は思った。  男は子供のころから退屈を持て余

          【短編】危機一髪の人生

          【雑記】視力が回復していた話

           普段は眼鏡とコンタクトを併用しているので、外ではコンタクト、家にいる時は眼鏡という風にしている。家にいる時に近所のコンビニくらいだったら眼鏡で行くかな、というくらい。  それで何年か前に、当時使っていた眼鏡がだいぶボロボロになったので買い換えた。  コンタクトで通っている眼科で半年に一回くらいは簡単な視力検査はしていたのだけれど、眼鏡を作るので久々にしっかりと検査してもらった。  特に見え方も変わっていなかった気がするし、まあでも知らないところで悪くなってるとちょっとなあ

          【雑記】視力が回復していた話

          【雑記】メールアカウントの話

           ウィルの創作アカウントを少しずつ改装しているのを機に、こっちのアカウントも手を加えている。この雑記を書くのもそうだし、たまたまこっちのアカウントにしている時に覗いたnoteにスキをつけるのもそう。  まあ少しずつちまちまとやっているけれども、うまくいかないこともある。  たとえば、この間などはたまたまほとんど使っていないメールアカウントを覗いたら大変なことになっていた。ほとんど使っていないので、それはもう何年かぶんのメールが届いて、その数は2000件を超えていた。  広告

          【雑記】メールアカウントの話

          【雑記】フリー素材的都市伝説について

           そのうちnoteにも転載しようと思っているんですが、現在カクヨムに載せている都市伝説蒐集録をフリー素材にしてみました。  いったいなぜそんなことを……と思うかもしれませんが、小説といっても必要最低限しか情報が無いものなので、いっそフリー素材にしたら需要あるかなあというのは少し前から思っていた所存です。  著作権は放棄してないですが、創作用のネタとしてお使いください。  ただ実験的なものですし、需要が無ければ普通に取り下げようかなーくらいの軽い気持ちです。  それじゃあ今

          【雑記】フリー素材的都市伝説について

          【雑記】幽霊は殴れるか否か

           ホラーにおいて、幽霊が襲ってくる場面がある。  たとえば主人公が呪われた家に入ることになってしまい、おっかなびっくり先へ進んでいく。ほんのわずかな物音や気配がする気がして、恐る恐る先へ向かっていく。なんだか自分以外にもうひとり居る気がする……。背中を流れ落ちる汗すらも冷たく、まるで指先でなぞられているような気になる。  そうして封印された部屋にたどり着いてしまうと、もう戻ることはできない。  聞こえるはずの無い、床を這いずるような音が聞こえ、気味の悪い息づかいが聞こえた時に

          【雑記】幽霊は殴れるか否か

          【雑記】マガジンの表紙を作った話

           創作アカウントのほうのマガジンに表紙をつけてみました。  けっこう長いこと面倒がって後回しにしていたんですが、そういうことってありますよね。  なんでかわからないけれど、突如として事態が進むみたいな。  ありませんかね。  面倒だったのは理由があって、表紙のコンセプトを決めるのをすっかり失念していたのと、表紙を決めるのに時間が掛かったのと、そもそも素材が集まったとしてもどうやって作ろうかな……というのがありました。  いろんな素材サイトを見たり、写真にしようとかイラストに

          【雑記】マガジンの表紙を作った話

          【雑記】イースをやりたい(どれから?)という話

          「これ日記ってより雑記じゃない?」と思ったので雑記にしました。  ところで私は別のnoteアカウントも持っており、そっちのほうでは創作キャラでゲームのプレイ日記を書く、みたいなこともやってます。  それで以前、イース8のプレイ日記を出しました。  コレ↓  途中で使っていたUSBが壊れて画像が吹っ飛んだため、画像が無くなったりしたんですが……。  イースシリーズをプレイするのはこれがはじめてで、アクションRPGとしては凄くやりやすくて、多少ハード面の問題はあったもののかな

          【雑記】イースをやりたい(どれから?)という話

          【短編】最後の日

           その日、地球にいるすべての人々の頭の中に声が聞こえた。 「え? なんですって?」  そしてだれもが聞き返した。 「もういちど繰り返します。この世界をお作りになられた神が、近年の認知症の悪化により管理が難しい状況になりました。神はご自分の星に執着されておるため、危険な状態にあります。そのため、すべての生命の保護という観点から、半年後、皆様を一時的に仮の星へと移動させることが決定されました。よろしくお願い致します」  こうして地球最後の日はあっけなく告げられたのである。  私

          【短編】最後の日

          【日記】人の作品の根底にあるやつ

           なんとなく小説以外で指を動かしたくなったので書きます。  人が書いているものには根っこがある。  特にいくつも作品を書かれているとそのなかに共通したものが見えてくることがある。  それは例えばファンタジーばかり書いているとか、ミステリーばかり書いているとかそういうのではなくて、もっと根本的なところに存在する。  たとえばぜんぜん雰囲気の違う作品を書かれていても、いくつも読んでいるとその根底には「理不尽への怒り」があったりとか、「アウトサイダー達への深い愛情」があったりす

          【日記】人の作品の根底にあるやつ

          マッドサイエンティスト【怪物ホラー短編】

          「フレデリックさん、あなたのその個性は素晴らしいものですわ」 「ありがとう。誇らしいですよ」  満足げな表情で握手を求めた女に、フレデリック・コーウェンは車椅子に座ったままにこやかに応じた。  だが女が立ち去ってしまうと、彼は忌々しげな表情でこう呟いた。 「くそくらえだ」  そうして肘掛けでバランスをとりながら、膝から上まで無い両足を座り直す。  こんなことがあった後は、彼はいつも私に愚痴を言うのが恒例だった。 「何を勘違いしているのか知らないがね。奴等はいつも、ただ自分の足

          マッドサイエンティスト【怪物ホラー短編】

          ウォーターベイビー【怪物ホラー短編】

           素晴らしい家だった。湖畔にほど近い家は二階建てで、白い壁紙は染みひとつ無い。前の住人の家に対する心配りを考えると幸運なほどだ。妻のジェシーを伴ってここにやってきたとき、本当に来て良かったと思った。ジェシーは普段より少しだけ大人しかったが、それで充分だ。彼女には気分転換と療養が必要だと僕は確信していた。  時が哀しみを癒してくれるなどという言葉は、戯言にすぎないのだ。  最近のジェシーを見ていると殊更にそう思う。僕だってこの哀しみをどう癒せばいいのか、そもそも癒えるものではな

          ウォーターベイビー【怪物ホラー短編】