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短編置き場

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普通の短編置き場です。
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記事一覧

【短編】暗闇に潜む目

 夜にだけ現れるその影に気がついたのは、僕、ピーター・レスターがまだほんの子供の頃だった…

【短編】ギベレー島の眷属【全3話】

1  南太平洋に浮かぶ小さなギベレー島に上陸を果たすと、僕はようやく一息ついた。  船旅…

【短編】メアリーの椅子【全4話】

1  メアリー・レフラーは五時半ぴったりに目を覚ました。  四十分までに着替えと洗顔を済…

【短編】幽霊の手

 ジョーンズ・リッカーは新しい家から配信できるのを心待ちにしていた。  四日ほど前に着い…

【短編】首吊り村の死体

「あの村はとにかく、いわくばかりではっきりしねえ。だけどひとつだけわかってるのは、あの村…

【短編】幻想写真家マーガトゥンの真実

 あのマーガトゥン・ブレイズが最初に思いついたのは、SNSに写真を載せることだったんだ。  …

【短編】水晶宮の都【全5話】

第1話  アントン・コムニーは子供の頃から眼鏡をかけていたので、彼の大きな特徴になっていた。  必要があっての事だが、たまたま日本で安価で見栄えのする眼鏡が手に入ったおかげで、とびきりのお気に入りになったのだ。日本の漫画が何作か流行ったのも大きかった。漫画のジョークに倣って「眼鏡が本体だ」などと弄られていたが、アントン本人も容認していた。わざと眼鏡を外しておくと、みんなが慌てたふりをして「おい、どうしたアントン。何も言わなくなっちまった!」と眼鏡に向かって言ったりするのだ

【短編】金剛石の花嫁【全7話】

第1話  婚礼の儀はつつがなく始まろうとしていた。  ほとんどの婚姻がそうであるように、…

【短編】真昼の月に沈む【全5話】

第1話  五年前、自分の音色のことをこう表現されたことがある。 「アツシ。キミのピアノは…

【短編】世界の秘密

 幾多の苦楽だけを友として、男はようやく隠された塔にたどり着いた。  いまにも船を沈めん…

【短編】危機一髪の人生

 男の目の前に女神が現れたとき、これは転機だと思った。  男は山の中で泉に転落し、溺れか…

【短編】最後の日

 その日、地球にいるすべての人々の頭の中に声が聞こえた。 「え? なんですって?」  そし…

デニー通りの賛美歌【ホラー・短編】

 ザゲ市にあるデニー通りの人々は決して賛美歌を歌わない。  それは通りに住む人々ならよく…

僕とニワトリのたまこさん③【短編・全3話】

 時を同じくして、清見のまわりでは妙な事が起きるようになっていた。  たまたま清見が外から昼休憩のために戻ってくると、たまこさんの弁当が鞄の外に出ていることがあった。そのときは偶然だと思ったが、やはり包みが一度包み直されたような気がしてくる。  それどころか。 「……あれ、ファイルが無いな。兼田君、午後のファイルがこの辺にあったと思うんだが、知らないか?」 「いや、知りませんけど……」  そういってしばらく探していると、コピー室に置かれていることがあった。まだ誰にもコピーを頼