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【子育て2.0】第2章(後半) 子どもは、「新しい時代」での新しい役目を担っている


はじめに〈子どもへの愛情とエネルギーの注ぎ方の新しい手引き〉
第1章〈子どもは全部持って生まれてきている〉 
第2章 前半〈子育ての不安は、わくわくで帳消しにする時代へ〉

社会全体で抱えている「重い思考」

「社会全体で抱えている重い思考」とは、その子が住んでいる社会の世論や社会通念、固定概念の中で、その子にとって「重い思考」になりうるものを指しています。この先の「新しい時代」を生きる子どもにとって、一体どんな世論や社会通念、固定概念が「重い思考」になるのでしょうか?

何が「重い思考」になるのかは、子どもによって違うので一概には言えないのですが、ここでは「一般的に言って今の子どもや若者が重く感じるのは、こんなことかな?」と想像力を働かせながら、こんな例をいくつか挙げてみました。
いかがでしょう?あなたの住む社会に当てはまるものは、ありそうですか?

 子どもにはレールをしいてあげるべきだ
 早め早めに教育して人と差をつけるべきだ
 周りよりも優れているべきだ
 常に上を目指すべきだ
 落ちこぼれないためにがんばるべきだ
 与えられた答えをたくさん覚えねばならない
 与えられた価値で生きなければならない
 すごいことをしなければいけない
 みんなと同じようにするべきだ
 人から好かれるように振舞うべきだ
 失敗しないように気をつけねばならない
 いつも前向きいなければならない
 まんべんなくできねばならない
 要領よくできねばならない
 生産性が高くなければならない
 ひとつのことをやり遂げねばならない
 いい職業につかなければならない
 将来のためには今をガマンしなければならない など。

これらはどれも、決して子どもに圧力をかけるために与えた思考ではありません。決して、悪い思考でもありません。むしろ、子どもが社会に出て困らないよう、その子のしあわせを思う気持ちから生まれたものが多いはずです。
でもこの中には、今すでに若者たちが「なんか息苦しいよ〜。」と、もがく原因になっているものが含まれていることでしょう。教育の場ですでに問題視されていることも、ちらほら見られます。

時代が変れば価値観も変わります。人の生き方も変わります。だから、今までよかったことでも、「新しい時代」では古くなってしまうことがあります。そして、それに気づかず、同じ思考のままで教育や子育てを続けると、たとえ今まではよかったことでも、この先は「重い思考」となってその子の「金の箱」にのしかかる、ということもあるのです。

本来ならば何の心配もせずにキラキラした心で、自分の「金の箱」の中身を使って『4つの望み』を叶えながら幸せに生きているはずの子どもが、ドンヨリとしていたり、引き篭もっていたり、人とのつながりを拒んでいたり、自分に自信をもてなかったり、自分のことを好きになれなかったりする姿を見る度に、その子の心の中にある「重い思考」の存在に気付くことができます。

その子の「重い思考」

「重い思考」は常にその子に、重いメッセージを発しています。
「〇〇せねばならないよ。」「〇〇すべきだよ。」「どうせ〇〇だよ。」
その重いメッセージの声が大き過ぎて、その子には自分の「金の箱」の声が聞こえていません。だから、自分の素晴らしい〈性格的特徴〉や〈能力〉にも、気付かないのです。誰でも必ず、素晴らしいものをもって生まれてきていますが、それを知らずに生きている子どもが、あまりにも多いのです。
でも、それを「育て方が悪い」とか、「育っている環境が悪い」などと片付けたくはありません。なぜならば、その子の「重い思考」が外れ、『4つの望み』を自分の「金の箱」で叶えらるようになった瞬間に、急にキラキラと輝き出す子どもをもう何人も見て来たからです。
問題児と呼ばれた子や、他の園を退園になった子が、驚くほど優しくて前向きな子どもになりました。ご両親にすら「無口でおとなしい子」だと思われていた子が、ひょうきんで明るい子になりました。何ヶ月も朝の体調不良で苦しみ、登校拒否になりかけていた子の下痢がピタリと止まり、明るく学校へ行くようになりました。授業についていけなくなり落ち込んでいた子が、自分から勉強をするようになりました。

子どもが自分の「金の箱」に手が届くようにお手伝いをするだけで、どの子もちゃんと自分の力で輝くことができるのです。そして、その中でも特に効き目があるのは、その子の「重い思考」を取り除くということなのです。

とは言え、社会通念になっているものを変えるというのは、そう簡単なことではありません。これまでは「子どものために良かれ」とされて浸透してきた思考なのです。自分自身を含め、今の社会に生きている大多数の人間が、この思考で育ってきたのです。
だからまずは、これらの思考が「新しい時代」では、どう古くなるのかを知ることが大切でしょう。そして、代わりにどんな子育てが似合う時代になるのか、理解を深めることが必要でしょう。

というわけで、ここで少し時代の背景を見てみることにします。
一度「今」という時を、100年単位くらいのざっくりとした「年表の中の一コマ」の上に置いてみます。今ここの時点からみた、自分を育てた時代である「過去」と、 今後子どもがリードする「未来」という前後のストーリーをみることで、時代の流れを知り、それに乗りやすくするためです。
私たちが育った時代と、 子どもがこれから作っていく「新しい時代」には、どんな違いがあるのでしょうか?

ピラミッド型競争社会の時代

今まで私たちが育ってきた社会は、ピラミッド型の競争社会でした。ピラミッドは上へ行くほど眺めが良く、いい暮らしができました。でも、ピラミッドは頂上が先細った形なので、一緒にスタートした仲間全員が落ち着ける場所はありません。自分が上へ上へと登るには、周りを蹴り落とし、競争に勝つ必要がありました。
だから、小さな頃からがんばって、コツコツ登り続ける必要がありました。
「今からやれば、まだ間に合う!」とか、「なるべく早く始めた方がいい!」などという宣伝文句にドキッとするのも、誰もがその先の長いレースに、漠然とした不安を感じて生きているからです。

また、今までの社会は「物質主義」の社会でした。お金や物を手に入れるためにがんばりました。人の価値も、お金や物で計られました。たくさんのお金や物を持つことで、権力や地位や影響力も増える。「偉い人」になれる。幸せも増える。
そんな価値観がありました。
だから、ピラミッド型競争社会では「小さな頃からしっかりがんばって競争に勝ち抜き、学歴をきちんと築き上げることで、将来困らないようないい就職先につける。」と言うのが、典型的な成功のシナリオでした。
終身雇用制で多くの人が同じ職業で一生を終えたので、「就職先がゴール」と定めることにも一理あったのです。

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よって、子どもの教育の場は「就職先というゴールに向かうレースの場」でした。ゴールは、「いかにお金や物を多く得られる職業か」という基準でランク分けされていました。
子どもを年齢別に集めて上から一斉に、同じ方法で同じ内容を教え、回答を与え、問題を解くスキルを磨かせ、誰が速くたくさん正解できるかを、点数や偏差値で表しました。
この世界のあらゆる事象のほんの一部分を「教科」というカテゴリーで切り取り、その「教科」での回答スキルが高いと「上」に行くことができました。その「教科」以外の分野で能力を発揮できる子や、一斉レースのペースについて来れない子は「下」に落ちました。そういった、架空のレベル分けの上下で、子どもの道が分かれて行きました。
数字で子どもに優劣をつけました。数字が子どもの価値を表しました。「将来何者になるか」をゴールとして、 小さな頃から子どもの能力を点数化し、周りとの競争でその点数を競いました。

そんな風に、周りの子よりも優れることを、常に求められる社会だったのです。
ですから、その競争社会のレール上での成功を収めるには、子どもに早め早めに物事を教え、周りより頭ひとつ分抜きん出ることや、 落ちこぼれさせないようにして支えることが、子どもにしてあげられる最良の方法である、とされていたのです。

ピラミッド型競争社会が終わる時

けれども、この時代も確実に変化をみせています。
終身雇用制は崩れ始め、一生のうちに何度か転職したり、副業したりして、いくつもの職業につくことが当たり前になってきました。世界的に見ても「学歴より実力」の傾向は確実に強まり、バックグラウンドに関係なく実力のある人が活躍する場が拡大しています。つまり、「どの学校を卒業して、どの就職先に就くのか」だけがゴールではなくなってきているのです。
そして何よりも、「お金や物さえあれば人生は成功」というのが、もう古い考え方になっています。物の豊かさは、もう頂点に達しました。事業で成功しても、前のように高級車を乗り回すのはなんだかダサい、それよりも社会貢献にお金を使った方がかっこいい 。お金のためだけにがむしゃらになっている人より、自分の時間を大切にして人生を謳歌している人の方が輝いて見える。そんな時代が訪れているのは確かです。

インターネットの発達で、生活スタイルがどんどん「非物質的なもの」に移行していることからもわかるように、これまでの物質主義の時代はもう終わりを告げています。物を所有することよりも、「共感できる経験」や「貢献できる機会」にお金を払いたい人が増えています。「断捨離」や「ミニマリズム(極力ものを持たない生き方)」が世界的にブームになっています。幼くして自らベジタリアンになる子どもも増えています。"給料日は焼肉"のように、豊かさの象徴であった肉食の価値が自然に薄れ、「地球と調和した生き方」を選ぶ人間が増えているのでしょうか。

このように、時代は確実に変化しています。これからは、「自分らしい人生を生きていること」や「心が豊かなこと」、そして「人や、自然や、地球や、宇宙との調和を大切にしていること」が、しあわせの指標になる時代だと言われています。

北米のある調査による〈2030年以降に必要とされるスキル〉では、心理学、指導力、教育学など、「人の心にかかわること」が上位に入ってきています。
教育やビジネスの世界で、「これからは右脳の時代だ。」と言われています。会議録やプレゼンテーションが、右脳に働きかける手法であるdoodling(お絵かき)で行われることも増えました。右脳は「今ここ」を感じ取る脳です。脳科学者であるJill Bolte Laylorさんが、ご自身の左脳が麻痺して右脳だけになった時の体験を、TEDでこう証言しています。
「左脳が停止し右脳だけが機能した時、自分の存在が愛に満ちたエネルギーの塊として、周りと完全に調和した感覚になり、とても幸せな気持ちになった。」と。
これはまさに、「新しい時代の幸せのかたち」と一致します。ビジネスの場でも教育の場でも、右脳の働きに注目し始めた私たちは、「愛と調和で幸せを感じる時代」に向かっているのは、間違いないようです。
「どうしたらもっとお金持ちになれるのだろう。」の時代から、「どうしたらもっと豊かな心でいられるのだろう。」と考える時代に移行しているのです。

(このあたりの時代の変化については、専門家によるいい資料がたくさん出回っていますので、ワクワクしながら調べてみて下さいね。)
Jill Bolte TaylorさんのTED動画日本語字幕付きはこちら


「新しい時代」のキーワード

つまり、「新しい時代」は、今までのように「子どもの頃から周りを蹴り落としてでも、ピラミッドを登る時代」ではなくなるということです。また、ピラミッドに登ろうともしない人が、となりに全く別の世界を築き始める、ということでもあります。レールに乗った先がゴールではなくなっている。全く違う生き方ができる選択肢のある時代になってきているのです。

だからもう、子どもを小さな頃から競争のレールに乗せて、しっかり勝たせてあげなくては、と思わなくても大丈夫になるのです。

ピラミッド社会のキーワードは「競争」でした。
「新しい時代」のキーワードは、「共存、共感、協力」です。
これからは、周りとともに協力して生きていくことが求められる社会になります。

ピラミッドに登らないことを決めた人々が創造する「新しい社会」のイメージは、みんなが対等な立場で集まり、それぞれの特徴を活かし、協力して成り立っている集落のような「まるい社会」でしょう。
 人に刺激を与えれる人、
 人を目覚めさせる人、
 リーダーの役目をする人、
 リーダーを支える人、
 応援する人、
 アイディアを出す人、
 それを実現に向けて形にする人、
 縁の下の力持ちになる人
 それを見守る人…。
それぞれに自分の「金の箱」に入っているものを活かして、自分の「得意」とみんなの「得意」を掛け合わせ、そのコミュニティや、その周りが幸せになることを目標として活動します。それぞれがお互いをリスペクトし合っています。
役割があっても、それが「偉い・偉くない」などの優劣や上下関係を表すわけではありません。だから、形はピラミッドではなく、まるいイメージです。ピラミッドのようにどっしりした安定感ではなく、くるくる回ったり、回転しながら移動したりする「軽さや流動性」を特徴とした、動きのある社会のイメージです。いくらその輪が転がったり回転したりしても、一人ひとりがしっかりと繋がっているので丈夫です。ワイワイ楽しく、その輪を大きくしたり二重三重にしたりして、さらにしっかりとつながっていくのです。

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この「まるい社会」のモデルは、生活の場がオンラインに移行すればするほど、実現可能になって来ることでしょう。オンラインでは、豪華な建物や立地条件で、その権威や規模を誇示することはできません。オンラインの世界で人を惹きつけるのは、物質的な魅力ではなく、人が集まるその雰囲気や価値観、内容の質という「心の豊かさ」や「人生のクオリティ」に通ずる魅力です。
物理的な距離を超え、世界中のどこにいる人とでもオンラインで関わることができるようになった今、権威やお金で縛り付ける関係ではなく、自分の価値に合ったコミュニティを見つけ、その中で「共感や協力でつながること」ができるわけです。

オンラインでつながると

人がつながれば、必ずお金の流れができます。そこに、消費も生まれ、仕事も生まれます。もうすでに、今までのビジネスの概念を超え、人々が自分のスキルや創造物、夢やプロジェクトを自由にオンラインで交換するような、新しいお金の流れが始まっていますよね。
「仕事」への概念も、どんどん変わっています。今までは、会社や企業という大きな単位に所属していないと実現できなかったことも、オンラインでは個人の単位で実現できることも増えました。経済的にも、自由に自立できる選択肢が増えているのです。

「でも、実際にはオフラインでの生活が消えるわけではないし、住んでいる地域のコミュニティでの生活は変わらないでしょう?」と思った方もいるでしょう。
もちろん、オフラインの生活も続きます。ぱっと見の世界は変わらないのでしょう。けれども、心理的には大きな違いが生まれます。
私たちは、世界のどこかに自分らしく所属できる居場所がひとつでもある時には、それだけで安心できるものです。だから、その子にとって、オンラインの居場所での存在意義が大きくなればなるほど、学校や職場などの地域のコミュニティの重要度は、小さくなっていきます。
例えば、全国の将棋好きな子どもが集まるオンラインコミュニティに属していて、そこでありのままの自分で楽しく交流している子にとっては、たとえ通っている中学校のクラスでいい友達ができなくても、それほど辛くはないはずです。むしろ「このクラスで、絶対にうまくやっていかねばならない。」という緊張感から解き放たれるので、周りに合わせようとがんばらずに、自然体で過ごすことができるのです。すると、ありのままの自分を受け入れてくれる、本当の友達に出会いやすくなる、なんてこともあり得ます。
選択肢が増えることで、生きやすくなっていくのです。

経済的にも、オンラインで収入が作れるという選択肢があることで、オフラインでの生活にもゆとりができる、という人も増えていくでしょう。
ですから、社会全体でオンラインのコミュニティの存在意義が大きくなり、自分の人生の中で「心地のいいオンラインコミュニティがあること」の重要度が上がる時、結果的にオフラインでの生活もうまくいく人が増える、ということが考えられるのです。

「新しい時代」での役目をもつ人間を育てている

私たちはこのような時代の転換期にいて、今までのピラミッド型競争社会ではない、「新しい時代」を生きる子どもを育てているのです。これほどまでに価値観も生き方も違う時代の主人公となる人間を、育てているのです。
ここで今、先ほど例にあげた「社会全体で抱えている重い思考」を、もう一度見直してみると、どうでしょう。
「新しい時代」を生きる子どもには、やはりちょっと重そうですよね!

「新しい時代」をつくる彼らには、代わりにこんな大きな役目があるのです。
 人と協力し、
 地球との調和を大切にし、
 答えを創り出し、問いすらも創り出し、
 A.I.ができない、人間らしいことを担い、
 国境を超えて世界中の人をつなげ、
 新しい価値を作り出す。

彼らは、このようなことをミッションとした〈人生の設計図〉をもって、この世に生まれてきているのです。彼らは、これらを実現するための〈性格的特徴〉や〈能力〉、〈愛や調和のエネルギー〉をもって生まれてきているのです。
彼らの〈人生の設計図〉は、少し前の私たちが持っていたものとは違うのです。物質を豊かにし、大きな組織として動くことで、大きなものを築くことが大切だったピラミッド時代とは全く違った価値の、「新しい時代」を作るミッションをもって生まれてきているのです。

前の時代が汚した地球をきれいにするだけでも、大きな仕事です。忙しすぎる人間、そのために必要以上に病んでしまった人間を、本来の姿に戻すのも、大きな役目です。
最近の子どもが、競争よりもゆったりとした心の時間を好むのにも、意味があるのです。詰め込みすぎる学習スタイルに拒否反応をして、改革しようとしていることにも、意味があるのです。
それを、今までの古い時代の思考で軌道修正しようとする時、彼らは苦しむのです。
小さな頃からコツコツとがんばって、マイホームを購入できることがゴールだった私たちの価値で育てると、彼らにはピンとこないのです。彼らのゴールは、そこにはないからです。より多くの富を得るためにがんばることより、おそらくもっとシンプルで、もっと「美しい目標」をもっているのです。


こんな風に、時代の変化を理解できると、子どもの将来への漠然とした不安が減るのではないでしょうか。
例えば、「自分らしさが大切だというけれど、自分の好きなことを追求してばかりでは、将来困らないかな?」と不安に思う時、その不安は 「レールから外れるのではないかな?」「ピラミッドを無事に登れないのではないかな?」という思いからきています。つまり、「レール上での競争」という古いイメージの中で、心配しているわけです。
「この子のため」と思ってがんばっている早期教育も、「レールの上で頭ひとつ分抜きん出るため」にがんばっているわけです。疲れた子どもを励ましてがんばらせている塾通いも、「競争に勝ち抜くため」にがんばっているわけです。 もし、競争よりももっと大切なことがある社会になるとわかれば、そういうがんばりは、要らなくなるわけです。

子どもは本来、『4つの望み』とそれを自分らしく叶えるための道具を全部もって、やる気満々で生まれました。だから、もしそれが「子どもの人生に本当に必要なこと」ならば、その子は何もしなくてもキラキラした目で飛びついていくはずなのです。また、もしそれが「子どもにとって本当にいいこと」ならば、時代が変わろうと関係なく継承されていくはずなのです。
だから、次に来る「新しい時代」でも価値のあることなのかな?と考え、そうでないことを手放す時がきているのです。それが私たちの役目のはずなのです。子どもがキラキラと元気に生きている方が、もちろん、私たちもうれしいのですから。

こんな風に偉そうに書いている私自身も、古い時代の人間です。きっと、彼らが成そうとしていることについて、大して理解しているわけではないでしょう。けれども、強いメッセージを受け取っています。それは、「前の時代の概念を押し付けて、子どもの行く手を阻んではいけない時だ。」ということです。私たちは、「新しい時代」での「新しい役目」を担う人間を育てているのです。だから、彼らにはわかっていて、私たちにはわからないこともあるのだろうなと、そういう認識をしたいのです。

「金の箱」を使ってこそ、うまくいく「新しい時代」

既にピラミッド型競争社会は崩れ始めています。学歴を気にする人が減り、個々の実力や能力が評価されるようになりました。終身雇用制も崩れ、仕事の仕方も多様になりました。レールはなく、自分の力で道を開拓しながら、流動的に人生を生きていく時代に移行しています。だからもう安心して、古い時代の「重い思考」をはずしても大丈夫です。そして、「子どもにとって本当にいいこと」だけをする、教育や子育ての場をつくっていきませんか?

「重い思考」を外せば、必ずうまくいくはずです。なぜなら、そこには「金の箱」があるからです。そして、「新しい時代」はまさに、自分の人生を生きていることが成功の定義である、自分を大切にできる時代。心の豊かさの時代。創造性の時代。愛と調和の時代なのです。それは、それぞれの子どもが「金の箱」を使えば使うほど、うまくいく時代だと言えるのです。

これからは、勝つために学習するのではなく、自分が成長するために学ぶ時代です。これは「経験するために生まれてきた」という人間本来の姿に戻れる、絶好のチャンスなのです。

だから、これからを生きる子どもには、安心して自分の「金の箱」を使い、元気な心で生きていって欲しいのです。
自分のもって生まれた〈性格的特徴〉や〈自分ならではの能力〉を存分に使い、自分らしく生きていって欲しいのです。そして、「競争」ではなく「共存、共感、協力」の社会を築き、それぞれの「得意」と「得意」を交換し、掛け算して大きくして、コミュニティのためになることに使っていく。自分たちの社会を、それぞれの「金の箱」から溢れ出す〈愛と調和〉でいっぱいの世界にしていく。
そんなことに、彼らの〈エネルギー〉を使って欲しいのです。

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そのためには、
私たち一人ひとりが、目の前にいる子どもの「重い思考」に気づき、ひとつひとつ取り除いていくのが、一番近道だと思います。社会の変化を待っていると、また何十年も過ぎてしまうかも知れません。でも、私たち一人ひとりの思考が、社会の思考になるのです。だから、今ここから、自分から。一緒に行動していきましょう。
目の前にいるこの子の心を、本当に元気にすることができるのは、この子に一番近いところにいる「あなた」です。そして、この子の心が元気になることが、あなたの子育ての究極の目標です。

そのために、少しずつで大丈夫です、今の生活を大切にしながら、できることから、ひとつひとつ、ゆっくりと、小さな変化を起こしていきましょう。
今は、何かを加えるよりも、手放すことの方が先です。新しいものを入れたければ、それが入る場所が必要だからです。入れたいものはちゃんと準備してあります。だから、まずは安心して手放していきましょう。

では、ポイッ!ポイッ!としていきますよー!

古くなる思考をポイっ!の例

この章のはじめの方で「社会全体で抱えている重い思考」について、このような例を挙げました。さぁ、あなたならどんな風に手放しますか?そして、どんな風に言い換えますか?これらが「重い思考」として子どもの「金の箱」にのしかかっているのを見つけた時、どんな風に声をかけますか?また、自分の中にあるこのような考えを、どうやって「新しい時代」に似合うような考えに、変えてくことができるでしょうか?

子どもにはレールをしてあげるべきだ
早め早めに教育して人と差をつけるべきだ
周りよりも優れているべきだ
常に上を目指すべきだ
落ちこぼれないためにがんばるべきだ
与えられた答えをたくさん覚えねばならない
与えられた価値で生きなければならない
すごいことをしなければいけない
みんなと同じようにするべきだ
人から好かれるように振舞うべきだ
失敗しないように気をつけねばならない
いつも前向きいなければならない
まんべんなくできねばならない
要領よくできねばならない
生産性が高くなければならない
ひとつのことをやり遂げねばならない
いい職業につかなければならない
将来のためには今をガマンしなければならない

この先に、一つの例として書き換えたものを載せてみました。正解はありません。ぜひ、あなたの価値感や人生観を加えて、あなたが子どもに伝えたい、あなたなりのメッセージを作ってみて下さいね。そしてお気に入りのものができたら、ぜひシェアしてください。また、他にも一新したい概念があれば、みなさんにシェアしていただけるとうれしいです。みんなでポイッとしましょう!(シェア先リンク準備中 )

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「新しい時代」に向けて、こう考えていけたらいいね

子どもにはレールをしいてあげなくてもいい。
自分で道を作っていけるよう、「基礎学力」と「心の元気」を培おう。

早め早めに教育して人と差をつけなくてもいい。
人生は他人との競争ではなく、

周りよりも優れていなくてもいい。
比べるならば、自分の過去と比べて成長し続けよう。

常に上を目指さなくていい。
気づいたら成長していた、と振り返るのを楽しみに。寄り道も休憩もOK。

落ちこぼれないためにと、がんばらなくていい。
あなたはどこにもこぼれてはいない。いつもここが出発地点。

与えられた答えをたくさん覚えなくていい。
その「答えの出し方」を学ぶことの方が大切だから。

与えられた価値で生きなくていい。
何を吸収し、何を自分の価値とするのかは「あなたの選択」だから。

すごいことをしなくてもいい。
優劣や規模は関係ない。でも”夢中になる楽しさ”を知る域には到達して欲しい。

みんなと同じようにしなくてもいい。
あなたにしかできないことを見つける方が大事だし、それはもっと難題。

人から好かれるように振舞わなくてもいい。
あなたがあなたのままでいても好かれるような、心の美しい人を目指して欲しい。

失敗しないように気をつけなくてもいい。
失敗こそ学びの糧。挑戦した人にだけ与えられる成長の機会だから。

いつも前向きでいなくてもいい。
凹む時こそ学びがあるし、ずっと前向きだとこっちも疲れるわ。

まんべんなくできなくてもいい。
一度にそんなに欲張らなくていい。その時が来たらまた足せばいい。

要領よくできなくてもいい。
要領の良さを追求すると、「金の箱」から遠のくことが多いから。

生産性が高くなくてもいい。
下積み期間や縁の下の力持ちがいかに辛くて尊いか、それを知ることこそ宝。

ひとつのことをやり遂げなくてもいい。
それよりもあなたのエネルギーが向く先に吉あり。変化を恐れるな!

いい職業につかなくてもいい。
やりがい、時間、労力、収入があなたにとっていいバランスならば、それがいい職業だから。

将来のために今をガマンしなくてもいい。
「今ここ」こそがあなたの人生のゴール。今を生きよう。


次回のお知らせ

第3章では、「金の箱」に注目して子どもんの実例を見ていきましょう。まっちゃん、だいきくん、かんくんの3人が登場します。
彼らが、どんなものを「金の箱」に入れて生まれてきたのか。
「金の箱」をうまく使っていなかった時には、どんな様子だったのか。
「重い思考」がのしかからないように、どう工夫したのか。
すでにある「重い思考」を、どう取り除いていったのか。
そして、彼らが「金の箱」を使って『4つの望み』を叶え始めた時、どのような変化が起きたのか。
「金の箱」を使える子ども時代を過ごした彼らは、その後どんな姿に成長していったのか。
そのようなことを、ストーリーとして語ろうと思っています。


第2章も読んで下さり、本当にありがとうございました!
では、第3章でお会いしましょう!


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