見出し画像

アクセサリーを探して②

「東京、どう?」
そう聞かれる度に、そんなだなぁと答えてしまっている自分がいた。

サービス業の会社勤めだからといって、友達作りが上手いわけでは無く、どこかにふらっと呑みに出かける事も無く、
ただ本社で毎日、ホテルの現場とは全く違う、人事課の仕事に取り組んでいた。



引き出しのCD



「今日面接に来る子、可愛い系のイケメンらしいよ」
そう先輩方がはしゃいでいる姿を見て、この会社は顔採用なのかな?
と何度も疑ったことがある。

「あーあれでしょ、ジャニーズに居そうな顔してるっ子」
「えーそれならEXILE系の顔が良いなぁ」
静寂な社内で総務課がうちの人事課へ乱入して来ては、仲良くして下さっている3人の先輩方だけで盛り上がっていた。

「本田さんはイケメン好き?」
と業務に集中している数メートル先に座る私にも急な質問が飛んできて、
嫌いな人居ないですよ、と相づち気味に答える。


東京に住み始めて早半年、最近は業務にも社内関係にも順応してきた。


「てかさ、この子、小関君に似てない?」
「いや、SNOWMANの佐久間君に激似でしょ」
「・・・待って、コセキ君もサクマ君も分からないけど?」


そう話している先輩方はそのままランチにでも行くか、と思う程ガールズトークに花を咲かせていて
片耳で聞いていただけで面白く、上司がいつ怒り出すのかを見定めていた。


でも、やはり経験がものを言うのだろうか。
上司の怒りが8割くらいになったのを感じると、彼女達はそそくさと散り、いかにも今まで重要な会議をしていたかの顔で、指示を出してきた。


「本田さん、今日の面接とりあえず貴女も経験の為に参加した方が良いから、この時間に会議室だけ抑えといてくれる?」


そう人事課の先輩に告げられ、盛り上がっていたイケメンの履歴書を受け取った。


”・・・あーたしかにイケメンって言われてもおかしくない写真写り。どうやったら証明写真で上手く撮れるんだ?”

そんなことを考えながら、会議室の申請をしに総務課へ向かった。



「面接どうだった?緊張が伝わってきて、こっちまで疲れたでしょ?」

肩をブンブンと回しながら、いかにも疲れてます感を出す先輩は、仕事モードではすぐに肩が凝るらしい。

そうですね、とだけ伝えると

「あ、一応言っておくと、今回は私判断で良いんだって。だから不採用ね。例え顔が良くても、彼はうちの社に要らない」
と、ばっさりと切り捨てた。

「っでもさぁ、本当にSNOWMANの佐久間君にそっくりで、ご兄弟かな?って思って何度も顔見てしまったわ」

ばっさりの後、コンマ1秒で女子になる先輩に、転勤当初は驚いていたが、
今となればもう慣れっこで、むしろそれが常識とまで思えてきている。



「・・・その、スノーマンってジャニーズなんでしたっけ?」

え、知らないの?
軽く文句を付けられた後、すぐに
「私のデスクの引き出しにCDがあるから、今日貸してあげるから聞いてみて。興味なくても、最近デビューしたんだからサービス業を名乗るうえで知っときなきゃね」

そう言われたコンマ1秒後、
お祈りメールを送る事と、履歴書の処分をお願いをされた。



定時から20分が過ぎた頃、キリが良くなったので帰ろうと思い支度を始めた時、
昼間の会話を思い出し先輩のデスクへ向かったが、もう先輩は帰宅した後だった。



”デスクの引き出しにあるCD、か”
職場に何故ジャニーズのCDがあるのかは不明だが、恐らくファンなのだろう。

「あ、あいつなら合コンか婚活かで、定時1分前にはこっそり帰ったよ」
隣の席にたまたま居た男性の先輩に言われたが、CDだけ貸してもらおうと手に取った。


「スノーマンってSNOWMANか。なるほど」

そんなことを呟いていたら、
「あーこいつジャニーズ好きだから、俺も影響受けて覚えさせられたわ。覚えるにはYouTubeを見るのが手っ取り早いからお勧め。
まぁ、あいつの後輩なら仕方ないな、頑張って覚えて来い。じゃ、お疲れ」

と、先輩もすぐに帰宅された。

お疲れ様でしたー・・・。
と軽くお見送りをした後、社内を見渡せばガランとしていて、
本当に定時で上がる会社なんだな、と改めて実感した。

そして
拝借したCDの"今日の面接に来ていた彼と似ている顔のサクマ君"を探した。



「・・・あ、たしかに似てるかも?」

CDを開けてディスクジャケット写真もきちんと見て思った。

と、同時に


「え?これって、え?」


そう思わせる何かがあった。


チョコレートに牛乳



小関裕太さんと佐久間大介さんは、本当にそっくりだと思ってます。

お二人のこれからのご活躍、心から楽しみにしています。


佐久間くんは自己紹介で
「アニメオタク兼SNOWMANの佐久間大介です」と言うほどに生粋のアニオタ。
声も良いし、常にハイテンションで周りを賑やかにする天才であり、演技力も抜群。
ちなみに、
選んだ理由としては阿部さんとシンメトリー(シンメ)だからですね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?