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【超短編小説】ジンジャアシラップに寄せて

 少女は、人差し指にたれてしまったシラップを、みずみずしい木苺色の舌で舐めとった。
 その艶かしい姿にボクは、頬が火照っていくのを感じる。

「良いにおいでしょう?」

 少女が上目遣いでボクを覗きこむ。
 少女の問いかけによって、かすかに漂うジンジャアの香りにボクはやっと気づいた。そして次の瞬間、少女はボクの脣に人差し指を押し付けた。シナモン、蜂蜜、黒胡椒、クロオブが混ざり合い、いま盛りどきである花のごとく、甘く、たおやかで、切ない香りがボクの肺を埋め尽くしていったのだった。

 ボクはほんとうの初恋といふものを、知ってしまった気がした。




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シロップの煮詰まる20分ほどで短編小説のようなものを書いてみました。

生クリーム+紅茶+🫚でチャイもどきを作って飲むのが大好きです。

皆様もぜひ、作ってみてくださいませ。

その時に本作品のことを、少しでも思い返していただけたならば、私はうれしく思います。

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