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芸能人が転校してきた話



ウソみたいな本当の話。ーーーーーーー
前半は、夢みたいでワクワクした話。
後半は、夢だと思いたい悲劇。( ;∀;)デス。





突然、わたし達のクラスに、
芸能活動をしている男の子が、
転校してきたことがありました。


ーーーーーーーーーー


あれはたしか、小学5年生のとき。
新学期初日、担任の先生に連れられて、
教室の前のドアから、転校生がやってきました。


キラキラ  キラーン・・・

ま、まぶしい、

なんだ、この光は・・・


なんだか光って見える、不思議な男の子。

化粧してるのかな?ってくらい
肌ツヤが整っていて…
ハキハキと上手にしゃべって…
とても上品な感じ。

目鼻立ちのはっきりした…
あー、そうそう、
マツケンさんみたいな感じ。かな?


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うん。



わが記憶に、間違いなし。
マツケンさんを、小学生にした感じ。
最上級にお上品!みたいな。
あっぱれ富士山、日本晴れ!みたいな。
というわけで・・・
転校生を『松ケンくん』と呼ぶことにします。


松ケンくんは、
まるで舞台挨拶をするかのように、
まぶしい笑顔で、ハキハキと、
遠くの山まで響きそうな美声で、
初日の挨拶をはじめました。


「みなさん、はじめまして。
 ぼくは、松ケンです。(←仮名)

 ぼくは今、今年公開する映画の撮影で
 とても忙しくて、あまり学校には
 くることができないのですが、
 どうぞ、よろしくおねがいします!」


と、もうこの時点で、女子の大半は
「きゃ~~~♡」と歓声あげてる感じ。
私は安定のアホづら。ポカーーーーーン!


危ない場所での撮影も多く、
体には撮影時におったケガがあるけど
ごめんね、驚かないでほしい。とか、
今撮影中の映画の公開予定日。とか、
しっかり(ちゃっかり?)話していました。
⦅↑ 準主役だった! スゴー⦆
⦅↑ 主役の方、超有名人だった! スゴー⦆



転校初日にして、おそらく
クラスの女子大半のハートを奪ってしまった
恐るべし、松ケンくん。


映画のチラシをゲットした女子なんかもう、
舞台挨拶、駆けつけるんじゃないの?
くらいのノリで、胸にチラシを抱いて、
「絶対みる!絶対みにいくからー!」って、
ワーワー、キャーキャー、騒いでおりました。

余談ですが...
この時おそらく、誰よりワーキャー騒いでいた女の子のお兄さんが、将来、松ケンくんを超える芸能人になるという奇跡につぐ奇跡。田舎で起きた事件じゃ~、これはもう。



松ケンくんは、
初日の挨拶通り、本当にぜんぜん
学校には来なくって。
たまーーーーーーに来ても、すぐに、
迎えの者がやってきて、車で遠くに、
旅立ってしまわれたのでした。



で、 数か月が経ち、



出演映画が公開され、しばらくたった頃、
松ケンくんは多忙をおえたのか・・・

学校へ来るようになりました。

この時には、
転校初日の「サインください~!!!」
みたいな異常なノリはおさまっていて。

でも、

国語の時間に朗読をしたら、
先生までうっとりしちゃう特殊能力を発動するし、

巨大スクリーンに耐えられる
笑顔とキラリン白い歯の輝きったら、もう
歩くだけでも、かなり目立つわけで。

ひとつ年下の女の子から
告白されているところを、
あたしゃー、見てしまったんですよ。
⦅ 笑顔でのかわし方も、超一流だった…⦆




あぁ、

ここで日記を終えたい。


ここまでだと、こんなドラマのような、
珍しいすてきな体験があったんですよー!で終わるのに。


これだけじゃー済まないのが、
真の回想録であり、私の人生。。
まぁいいや。最後削除してもいいし、もう少し進んでみよう。




はい。




小学5年生の終わりだったか、
6年生が始まった頃だったか、
クラスにいる おませな女子たちが、
とんだゲームをしかけてきた。


『初めてのカップル体験をしてみよう!』


とかいうゲーム。

私はきっと、トイレに行ってたか、
よく行く階段の踊り場で、
踊らずに空でも眺めていたんだろう。

知らないあいだに、ゲームは進行していた。

それは、あみだくじの時もあったし、
じゃんけんだったこともあった。でも


その時は、思いがけない方法で……


休み時間、「バスケしよ~!」と
外へ呼ばれた私は、

「えぇー、いやだ~。
 何もしたくない。ぼーっとしてるわー」

と意見を表明したんだけど、通らず。
⦅やだやだ、ほんとに、いやだよー⦆って
文句をいいながらスニーカーに履き替え、
外に出たところで、はい、これ。


「ゆまちゃんだったーーー!!!」




「次、昇降口から出てきた人が、
 3日間、松ケンくんの彼女なんだよ~~」


  (゚д゚)!





あ、ちょっと、戻ろうかな。
昇降口にもう一度、吸い込まれてこようかな。
昇降口よ、この世を吸い込むほどの、
巨大な吸引力を! いざ! いま!
あらわさーーーん!!!!!


あらわさんかった。 世界変わらんかった。


こうして私の、
『3日間・恋人デイズ』が始まった。
⦅ 人じゃないの、人なの。⦆
漢字のあしの部分がね、
部首が違えば、なんとかなったかなーって気もするんだけど。。


つか、松ケンくん断れよぉ~。。
なんで君、参加しちゃってんのよ。。
なんてね、今、せつに思う。


3日間か・・・


学校休んじゃおうかな、とか。
給食エレベーターのかげとか、
校庭では大木のかげとか、
ずっと隠れちゃおうかな、とか。考えた。


でも、おませ女子達は、
様々なイベントを随時進行してきた。


休み時間には、バスケットボール大会♡
放課後には、ポートボール大会♡


行きたくなぁーーーーーーい!!!!!


でも、迎えの者が、ちゃんと来る。
イベント進行にぬかりなし。 (=_=)


苦肉の策で、
自分の所持する中で最も変わった
ぬいぐるみを持参した。
「何それ、変なの~~~!」
数秒だけ時間を割くことができた。数秒だけ。
ぬいぐるみ… ごめん。( ;∀;)


「彼女! ヒューヒュー」「アツアツ~!」


とか言われながら、
やんややんや言われながら、


地獄の2日間がすぎ・・・


最終日!!!
穏やかに何事もなく過ごしたい☆
という私の願いは、叶わず。


おませ女子が用意した最終日は、
なんと、『お部屋デート』だった。

(´⊙ω⊙`)


君たちが行きたいだけだろ~
なんか理由つけて、みんなが
松ケンくんのおうちに行きたいだけだろ~


くそぉ! なんて思ったが、


なんと、自分のなかで、、
⦅ 松ケンくんのおうちを見てみたい ♪⦆
という気持ちがわいてきた。そして、



意外や意外。

松ケンくんも、ご両親も、
ウェルカム大歓迎!で迎えてくださるとのこと。

そして、おませ女子やら、おませ男子やら、
何だかわからぬ、とぼけた私や男子たち?
数人で、松ケンくんのおうちへお邪魔することになった。



学校が終わって、帰宅した私。
これから、なんと!
恋人の家へ向かう。(という設定)(あれ、ノってきた?)



そういえばうちの母さんは、
大事な人と会うとき、いつも、
化粧をしてたっけなぁ・・・

ーー 決行! ーー



あ、これか~。 ぱた ぱた ぱた……
くさ!
ファンデーションは、慣れない匂いがした。


口紅とかも、してたっけなぁ・・・


これか~?   ぬり ぬり ぬり……
まず。。
口紅も、慣れない味がした。



そして、鏡を見た。



そこには、
たらこをのせた大福… みたいな、
バカ殿… みたいな顔があった。

ティッシュやら、水やら、色々施したが、

そう簡単には、手に負えない。
敵はかなり手ごわかった。( 敵=自分の顔 )



あ! そうだ。



ここで私は、
思いついてはいけないことを
思いついてしまう。


お母さんは時々、ムダ毛の処理をしていたっけ!


あ、これこれ~。これだな!
ーーー はっきり覚えている。これが、
生まれて初めて、粘土のヘラみたいな、
かみそりを手にした瞬間だった。⦅粘土のヘラだったらよかった⦆


きれいじゃないけど、きれいにな~れ。


みたいな、ふしぎな気持ちで、
母をまねて、化粧して、
顔のうぶ毛の手入れまでしてしまった。


結果、


控えめにいって、3ヵ所ケガをした。
ケガは、軽傷。
人と会いたくない気持ちは、重症。
うっすら、顔面のあちこちから、血がにじんでいる。



ーーーーー  迎えの者がきた。 orz



これこれこういう状況なので、
私は行けません。といったが、
主役がこなくてどーするんだ?みたいな。
私は主役にはなりたくない!みたいな。

ちょっともめてるうちに、あら不思議。

出血が止まっていた。(若いってすばらしい)


念のため、
ティッシュやら、バンソーコやらを持って
松ケンくん宅へ向かう。




松ケンくんも、複雑な気持ちだっただろう。

待っていたクラスメイトが、
たらこをのせた大福みたいな、
バカ殿みたいな、白い顔で、
しかも3ヵ所以上、ケガしてる。

でも、松ケンくんは、すごかった。



ま、ま、 まぶしいーーー!



「みんな、今日は
 うちに来てくれて、ありがとう!」


お、王子さまだった。。


王子さまは、
民のひとりやふたり、
顔面だけ不自然に白い者がいても、
顔面に生キズが複数ある者がいても、気にしないのだ。

⦅どっちも私だ… ⦆
⦅不自然な民は、私だけだった。⦆

顔がぴりり、ぴりりと痛んだけれど、
松ケンくんのおうちは広くてきれいで、
新築の木の香り?がする…
とてもステキなおうちだった。

みんなでワイワイすごして、
突然だった私の『3日間彼女』生活がおわった。


おわってみると、


松ケンくんが、
たびたび荷物を持ってくれたり、
珍しくふたりで話をする機会もあったり、
とても貴重な体験だったと思う。

⦅ 自分の知らないうちに巻き込まれたので、おませ女子達に感謝~☆みたいな気持ちはない ⦆





この翌年、
中学1年生になった松ケンくんは、
入学してすぐ!

秒で、彼女ができた。

そこには、
新入生のイケメンに飛びつく
上級生の文化があるらしかった。

・・・私の知らない世界だった。

ふわふわ髪のお人形さんみたいな
上級生の先輩(彼女)を見て、
私は願った。



あの3日間は、どうか、無かったことに ーーー



今回、このことを、
久しぶりに思い出してみた。

芸能人が、突然引っ越してきて、
わ~!と喜んだら、突然彼女にされ、
そしてバカ殿になり、顔面ケガをした、
ガビーンな私の、夢のような本当の話。



きっと立派な大人になられた
松ケンくんが、ーーーーーーー
覚えていないことを、祈ります。( ;∀;)





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