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【生物基礎】DNAとタンパク質(3)【授業実践備忘録】

この記事をご覧になっている高校の先生方、特に授業経験の浅い先生方にとっては、これまでに授業をしたことがない単元について、どのように授業を進めればよいかイメージがつかずに不安になっていたりしていませんか?
実は私自身も、ダラダラと教員を続けついに19年目のシーズンに入ってしまったなりにさまざまな試行錯誤を毎年繰り返しています。
そうした過程の中で私自身が得たことを以下につらつらと綴ります。
ただ、これが完璧というわけではありません。
むしろ、この記事をご覧になっている方におかれましては、「えっ、こんなんでいいの?」「これ以上の授業をやってやるわ!」といった思いをもって、言い換えれば私の実践を「踏み台」にしていただけるとありがたいです。

今回はDNAとタンパク質の授業実践についての最後の記事になります。
以前の記事はこちらからご覧になることができます。


DNA→タンパク質の合成を学ぶ意義とは?

お恥ずかしい話ですが、私自身、農学系の大学出身で、DNAからタンパク質の合成についてはいろいろな講義で聴いてきたにもかかわらず、当時はほとんど理解できてませんでした。
もっと言えば、教員になって生物の授業を担当することになって数年間、そんな状態が続いていました。
取り繕いながら授業をしてきまものの、教科書や資料集の図を見ながら、生徒にただ覚えさせるだけで、その意義をうまく伝えられませんでした。

しかし、遺伝=親から子へ形質が伝わる現象という定義に戻ってみると、DNAの中に含まれる遺伝子(遺伝情報)から、タンパク質という形で形質のもととなるものを具現化していると説明できる。
これこそが生物基礎のDNAとタンパク質の単元で学ぶ意義なのかとつい最近になって見出した次第です。
図示するとこんな感じでしょうか。

DNAからタンパク質の合成過程

タンパク質の合成過程=レストランでの料理の注文?

生物基礎のあらゆる単元の中で、このタンパク質の合成のところは、生徒にとっては身近に思えず、説明が細かすぎてわけが分からなくなりがち。
私の場合、DNA→RNA→タンパク質の合成のところについては、レストランで料理を注文するときを例にして説明しています。

以下の説明例はあくまでも「生物基礎」の教科書に記されている程度のざっくりしたもので留めてあります。
上位科目の「生物」の教科書に記されている内容を含めると非常に複雑になりますので、また別の記事にて綴りたいと思います。

DNAからタンパク質の合成

1.DNAからmRNAへの転写

転写とはDNAの塩基配列をもとにmRNA(メッセンジャーRNA)が合成される過程のことで、核の中で行われます。
レストランで例えると、核という「客席」で、お客さんがDNAの塩基配列という「メニュー」からつくりたいタンパク質を選ぶ→お客さんのご注文を店員さんがmRNAという「注文伝票」にまとめるといったところでしょうか。

2.mRNAからタンパク質への翻訳

翻訳とは核で合成されたmRNAが細胞質に移動し、その塩基配列によってtRNA(トランスファーRNA)が決まったアミノ酸が誘導され、リボソームにおいてタンパク質が合成される過程のことです。
レストランで例えると、客席でmRNAとしてまとめられた「注文伝票」が細胞質という「厨房」に運ばれる→それをもとにtRNAという「八百屋さん」「肉屋さん」「魚屋さん」などがそれぞれ専門のアミノ酸という「食材」を持ってくる→リボソームという「料理人」がタンパク質という「料理」をつくる。
こんな感じですけど、いかがでしょうか?

ちなみに、実際の料理人は注文された伝票をもとに指定された料理をつくりますが、mRNAはコドン(3つ組の塩基配列)で誘導するアミノ酸を指定しています。
また、「〇〇屋さん」といったように決まった食材を厨房へ運ぶ業者さんがいるように、tRNAは特定のアミノ酸を専門に運んでいます。
それを誘導するためにはtRNA自身が、mRNAと相補的な塩基配列をであるアンチコドンという「資格」が必要。
といったことも補足説明しています。

こうした説明で生徒は理解しやすかったように思えましたよ。

説明はCGと板書を組み合わせて行うべし

タンパク質の合成は深くてややこしい。
だからこそなのかもしれませんが、解説用のCG動画がいろいろなところで作られています。
ちなみに私が自分の授業で使っているのがこの動画↓

ただ、これを見て終わりではなく、私の場合は生徒の手でDNAからタンパク質の合成を図示させています。
学習内容を深く理解するためには、自らの手で図示することは大事だと思いますので。

ここで一息

繰り返しになりますが、DNAからタンパク質ができる過程というのは、生徒にとってはわけが分からなくなるところ。
説明する側も授業を受ける側も、根気がいるところなんですよね。
ただ、食べ物から得たアミノ酸が自分の体をつくるときに、DNAによってコントロールされているということと、そのDNAが親から子へと受け継がれていることを意識して授業すべきところだと思います。

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