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イタリア オリーブ日和

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「イタリア オリーブ日和」では、ありふれ日常の中で、どんな天候に晒されても、どんと構えているオリーブの木々に囲まれたオリーブ畑で、その時見たもの、感じた事をつらつらと書き綴ってい…
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#やってみた

働くイタリア人

働くイタリア人

ようやく夏の気配が感じられるようになったイタリア。
気がつけば、オリーブ畑でも、セミの鳴き声が聞こえる。

先週の金曜日、搾油所に立ち寄った。
この時期はもう過渡期で、週末は開いていないとのこと。
だから、金曜日か月曜日に行く必要があった。
搾油所の事務担当シモネッタは、相変わらず忙しそうで、
「早くバカンスに行きたい…」と嘆いた。
仕事の出来るイタリア人は、本当に大変。
その他大勢の仕事の出来な

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微妙なお天気が続く中

微妙なお天気が続く中

日本一時帰国から戻ってきて、20日ほどが過ぎた。
ようやく落ち着いてきたので、
お土産を持って、友人に会いに行く。

「ユキさん、いつも忙しそうだから…」
そう言われてはじめて、
私って、忙しいのかしら?と思った。

フィレンツェとオリーブ畑のあるマレンマ地方を行き来している現在は、
週の半分、フィレンツェ、残りをオリーブ畑で過ごすことが常になっている。
やることはそれなりにあるけれど、
とりわけ

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極小農家の悩みごと

極小農家の悩みごと

1ヶ月ぶりに、オリーブ畑にやってきた。
小さな小さな実をつけたオリーブの枝が風に吹かれて、ゆらゆらと揺れている。

「馬の餌にするんだ…」と意気揚々と言っていた
ご近所さんのところに出入りしている動物愛好家の兄ちゃんが、
どんな感じで草刈りをしたのだろうと
実は気になっていた。

オリーブ畑に来てみると、
やってはあったけど、
なんとも中途半端な感じがして…というのも
広く幅のあるオリーブの木々の

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オリーブオイルは何と味わう

オリーブオイルは何と味わう

5月になった。
オリーブはまだ花芽で、咲くのはもう少し先になりそう。

農協的スーパーに行った。
この時期は、そら豆やアスパラガスなど
春の野菜が並んでいる。
旬の野菜は、季節ごとにあるけれど
春の野菜を見てワクワクするのは、なぜだろう。

グリーンピースも売られていた。
房ごとドサっとカゴに入っていて、
好きな分だけ袋に入れて
量り売りで買う方式。
イタリアの野菜は、パック詰めのものもあるけれど

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気になる樹形

気になる樹形

4月も、あっという間。

いつもより暖かい…というより、暑い日が続いた初旬は、
もう夏が来たのか…と思ってしまうくらい暑かったけれど
中旬過ぎから標準を下回るくらいに肌寒い日が続いている。
お天気はいつも、読めない。

オリーブは、いつもより少し早めに花芽をつけていて
今年は早く咲くのかな…と思うのだけど、どうだろう。

日頃お世話になっている農業組合へ
オリーブ畑の状況確認という名の年会費の支払

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オリーブの木々と向き合ってみる

オリーブの木々と向き合ってみる

雨の多い日々。

週末のみ滞在するオリーブ畑で、雨の降らない合間に、今、最も時間をかけているのは、広がった根から生えている小さな枝を切り落としていくこと。
この枝をイタリア語では「pollone」と言う。
ここを借りつけるまで、もう何年も放置され、2年前に収穫隊にお願いして一斉に剪定したものの、足下から生えているこの「pollone」は、残されたままの木が点在していた。

320本
この一本一本を

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剪定という哲学

剪定という哲学

今年のイタリアの冬は、本当に暖かい。
まだ2月だというのに、すっかり春の陽気で、日中は、18度くらいの日が続いている。

剪定にはもってこいの日々。
少しでも、経費をうかせる…ということもあるけれど、
きちんと、オリーブの木々と対面したいこともあり、
出来るところは自分たちでやっていきたいと早速、剪定バサミを買ってきた。

さて、どこを切れば良いのだ???

オリーブの木の、途方もなく広がっている

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初めての剪定

初めての剪定

ぽかぽか陽気の2月の初め。

日中は、15度くらいまで気温が上がるオリーブ畑は、すっかり春の陽気。
もう既に剪定をし始めていた周りに刺激されて、とうとう、やる気になった。

剪定をするのに、一番気になることは、気温の差。
特に、風向きの関係で、いきなり冷え込む日がやってくる可能性があるうちは、
オリーブの木に悪影響を与えてしまうから、先を読まないといけない。
春になったら安定するかと言うと、ここ数

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オリーブオイルの味を楽しもう

オリーブオイルの味を楽しもう

11月から販売したオリーブオイルの注文が、ひと段落つきそうな1月の半ば。
ようやく一息つける時間が取れるようになってきた。
3年目となる今期は、ちょっと駆け足で進んだ感じがしている。
搾油の最終日が11月の2日で、フィルターにかけたのが、その1ヶ月後。

搾油してみないと分からない、その味を表現するのは、実は、難しい。
3年目にして、少しずつ、自分の手がけている畑から出来るオリーブの特徴を掴みつつ

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思いは、いろいろ

思いは、いろいろ

新年が明けた。

本当ならここで、新年の抱負だとか、今年の目標というのを書き記したりするんだろう。
最近は、新しい年だからとかなんとかではなく、その時思いついたものや事をこなすような生き方になってきている。
多分、歳をとったのだと思う。
「オリーブオイルを作るなんて、凄いですね。」とか、「夢が叶って素敵ですね。」とか、
周りの人は、私のことをとても素敵に表現してくれるのだけど、当の本人はといえば、

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フィルターは、いつかける…

フィルターは、いつかける…

11月の最終日、ノンフィルターの注文受付を終了した。日本であまり手にできないとあって、ノンフィルターの需要は非常に大きい。物価が上がり続ける中、ユーロ高も手伝って、お客さんの反応も両極端に分かれたけれど、収穫数が少なくて充分に提供できなかった昨年の事もあって、今年も多くの方が注文してくれた。ありがたいことである。IGPには登録しているけれど、その保証をつけていないし、BIOの登録もしていないから提

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初日の朝

初日の朝

その日は、早く起きた。10月の終わり頃の日の出は、7時半を過ぎている。朝一はまだ暗く、収穫隊が来るという7:30まで、ゆっくりと過ごした。予報は、曇り。昨年はモロッコ人の収穫隊に頼んでいて、日が昇ると同時にすぐに始まっていた。過去2年お世話になったけど、昨年、収穫量が少ない割に時給での支払いは高くつき、「だったら、バングラデシュ人の方が良いわよ。」と、搾油所のシモネッタにお勧めされて、今年は、バン

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収穫時期を考える

収穫時期を考える

ちょうど1週間前。秋晴れの空の下、ゆっくりとオリーブ畑を徘徊した。少しずつ、少しずつ、黒くなってきているけれど、今年はやっぱり、成熟具合が遅い気がする。遠くの方で、ガガガガガと収穫している音が聞こえてきた。「もう、収穫しているんだ…」と言うと、「いつも、この時期だから、当たり前なのだよ。」と言った。ご近所さんは、先々週、既に1回目の収穫を終えていて、どんな感じ?と聞いたら、出来たものを少しだけ、お

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オリーブ畑の朝

オリーブ畑の朝

けたたましい犬の鳴き声で飛び起きた。何事?と思って外を見ると、数匹の犬を引き連れ、おっさんがオリーブ畑の中を闊歩していた。犬の吠える声と共に、野うさぎが猛烈な勢いで駆け抜けていった。「全くもう。また来てるわ。」お隣のおばちゃんがぼやいた。動物愛護家を自称するおばちゃんは、狩をする人たちを心から憎んでいる。「何度ケンカしたかわからないわ。」と言う。それを他人事として聞いていたのは、昨年の話。まさか、

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