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詩 短編

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心情を詩に表わしました。 辛い気持ちを抱える方に。 勇気と笑いを持ちたい方に。
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#永遠

シダフィエルの嘆きールシフェルさまへ(再掲加筆)

シダフィエルの嘆きールシフェルさまへ(再掲加筆)

見えないままがよかった。

触れるものを感じなければよかった。

声を聞かなければよかった。

何も知らなければよかった。

私をそのままにしておいてほしかった。

滅びを願うあの方の心が分かる。

どうせ失う愛に惹かれ、

苦しむ「女」をいたわった故に、

己の全てと共に神の愛を失って、

殺せと言う願いすらも聞き入れられず、

永遠に至る穢土の支配を命じられた。

残虐のすべてを引き受けて、

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曼珠沙華よ彼岸に届け

曼珠沙華よ彼岸に届け

あなたが投げたガラスの破片
粉々に私に降り注ぎ、
全身に刺さってそのまま膿んだ。

それからも、ずっと投げつけて、
苦しむ私を見て笑う。

なんのことはない憂さ晴らし。
まとわりついてくる者たちの
機嫌取りに疲れたから。

膿み爛れた全身の
ガラスは皮膚ごとえぐり出し、
取り除かねば命がない。

今は死ねない自分だから、
手ぬぐい噛んで、刃物でえぐる。

ここに落ちて、血膿にまみれた爛れた肉を、

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人魚の恋

人魚の恋

この浜に来るのは久しぶりだ。
先日海で助けた男に会いに来た。

私たちからは女しか産まれない。

だから子供を産むには人間の男の精が必要なのだ。

寒い冬の海で漂い、体温を失いかけていた男を浜辺に送った。

身分の高い男なのか、たくさんの人間が大声で呼ばわりながらその男を探していたので、浜から私はすぐに離れた。

それから間もなく私はこの浜を訪れた。

歌を歌う。

「くうーくきいーー」

人間に

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