フォローしませんか?
シェア
merukeso
2023年2月6日 09:12
見えないままがよかった。触れるものを感じなければよかった。声を聞かなければよかった。何も知らなければよかった。私をそのままにしておいてほしかった。滅びを願うあの方の心が分かる。どうせ失う愛に惹かれ、苦しむ「女」をいたわった故に、己の全てと共に神の愛を失って、殺せと言う願いすらも聞き入れられず、永遠に至る穢土の支配を命じられた。残虐のすべてを引き受けて、
2023年2月5日 17:48
あなたが投げたガラスの破片粉々に私に降り注ぎ、全身に刺さってそのまま膿んだ。それからも、ずっと投げつけて、苦しむ私を見て笑う。なんのことはない憂さ晴らし。まとわりついてくる者たちの機嫌取りに疲れたから。膿み爛れた全身のガラスは皮膚ごとえぐり出し、取り除かねば命がない。今は死ねない自分だから、手ぬぐい噛んで、刃物でえぐる。ここに落ちて、血膿にまみれた爛れた肉を、
2021年2月16日 05:30
この浜に来るのは久しぶりだ。先日海で助けた男に会いに来た。私たちからは女しか産まれない。だから子供を産むには人間の男の精が必要なのだ。寒い冬の海で漂い、体温を失いかけていた男を浜辺に送った。身分の高い男なのか、たくさんの人間が大声で呼ばわりながらその男を探していたので、浜から私はすぐに離れた。それから間もなく私はこの浜を訪れた。歌を歌う。「くうーくきいーー」人間に