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ドイツの婚活サイトに潜入し、国際結婚した話⑤

■第5章■ 吉兆

世界には色んな国や地域があるのに、なんで私はずっと日本に住んでいるんだろう。

ソムリエの勉強をしていた頃に感じた小さな違和感は、次第に根本的な疑問へと膨らんでいった。
これからも今住んでいるこの場所でずっと暮らし続けていきたいのか。それは私が望む人生なのか。自分が本当に住みたい場所ってどこなんだろう?
あれ? 私そういえばフランスに留学したかったんじゃなかったっけ?
え、もしかして住む場所って、自分で選んで決めることが出来るんじゃない?

友人 T ちゃんの言葉も受け、これまで当たり前のように日本人男性だけを恋愛対象としてきたことにも疑問を抱くようになった。
そして突如、分母が国内の数千万人から全世界の35億人に爆上がりしたことで、新たな希望が見え始めた。

物心付いた時から何ら疑うことも無く、カチカチに凝り固まった
[日本人男性と結婚し、日本で暮らす]
という固定観念が、ついに砕け散った。

それは、あのウィーンで買った分厚くてずっしりと重い図鑑を和訳している時だった。あーもっと本格的にドイツ語の勉強がしたいなと思った瞬間、何かが降りてきた。

ドイツ ・・・・・・

頭の中が少しクリアになっていくのを感じた。

もしドイツに住むことができればリベンジしたいウィーンも近いし、他のヨーロッパ諸国にも簡単に旅行ができる。私の歩みたい人生になんとなく近い気がする。しかもドイツ人は高身長の男性が多そうだ。
日本人男性ともなかなか上手くいかなかったし、ドイツ人男性との出会いを試してみてもいいかもしれない。

長らく停滞していた婚活の中で、久しぶりにワクワクする気持ちを感じた。

でも一体どうやって? すぐ現実に引き戻される。
やはり現地で出会うのが理想的だな。旅行中に偶然出会えれば最高なのだが…いや、可能性が低すぎるし危険だ。日本に観光に来ているドイツ人男性と出会う確率も、かなり低そうだ。   たとえ日本在住のドイツ人と出会えたとしても、その人が日本に住み続ける可能性が高い。

考えろもっと考えろ・・・・

これまでとは違う角度からの視点が生まれたことで、頭の中は四六時中どうすればドイツ人男性と知り合うことが出来るかで埋め尽くされていた。
かつて気軽に書いたつもりのあの紙は、いつの間にか理想の悪女人生ではなく、" やりたいことリスト " に変化し、そして実現させるべく試行錯誤していた。

友人2人からの助言を元に " ドイツ人 " そして   " 私を大切にしてくれる人 "    の2点に的を絞り、まずは外国人が集まりやすい場所をネットで調べてみた。バーや何かのパーティーが見つかったものの、ワンナイトの匂いがぷんぷんして本格的な婚活とは程遠いと思い、それ以上の検索をやめた。

この話は 2015 / 16年の事で、まだマッチングアプリが今ほどポピュラーでは無く成婚率も低った。ところが同僚からマッチングアプリを使って結婚した知人がいるとのことで、詳しく話を聞いてみた。

その女性は無料のマッチングアプリをいくつか試みたが、なかなか思うような結果が得られず、有料サイトに1ヵ月限定で登録したところ、その短い期間で素晴らしいパートナーと出会い、結婚に至ったという。

しかしその話を聞いても、私はすぐにマッチングアプリを試す気にはなれなかった。まだ偏見があり、そして何よりも自然で綺麗な出会いを未だに求め続けていたからだ。

え、てゆうか日本国内でマッチングアプリがあるのならドイツにもありそうだな。

いつものように知らない事への好奇心からのネット検索だったが、何か大きな手がかりが見つかりそうな気配がした。

最近のヨーロッパ旅行の準備段階で、毎日のように海外の様々なウェブサイトを検索、閲覧しまくっていたため、ドイツのマッチングアプリを探すことに対しても抵抗はなく、慣れた手つきで順調に進めることができた。

そして探し求めているドイツ版マッチングサイトに近づいていくにつれ、
そうか! ドイツのマッチングアプリに登録している男性はみんなドイツに住んでる!いける! うまく行きそうな気がする! なんてトリッキーなことを思いついたんだ!私、天才かも! と自画自賛していた。

そしてまた仲の良い友人たちも、きっと爆笑してくれそうだなと
もうすでにネタにしようと考えていた。



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