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ドイツの婚活サイトに潜入し、国際結婚した話⑦

■第7章■ 布陣

登録完了後すぐに何人かのドイツ人男性からメッセージが来たが、私は失望した。

そこにはすべてドイツ語で書かれていた。
プロフィール欄に「ドイツ語は苦手だから英語でメッセージをお願いします」と書いてあったにも関わらず、彼らはすべて読んでいないのだろうか?
私が真剣にパートナーを探していたら、気になる人のプロフィールはきっと細部まで目を通すだろう。

仮にこのアプリで相手を見つけたとしても、全く初めてのドイツ語より、中学レベルではあるが一応なんとなく理解できる英語のほうが、会話が可能で良い。
さらに英語も話せるドイツ人は、IT系や外資系など高収入の職業に就いている可能性が高いと予想し、英語でメッセージを送ってきた人だけに返信、やりとりを続けることに決めた。

その中で、とても興味を引くメッセージが1通届いていた。

「もしよかったら博物館に行きませんか ?」

行く行く~♪ 行きますとも! 心の中で叫んだ。この人は少なくとも私に興味があってメッセージを送ってくれたことがすぐに分かった。
なぜなら私のプロフィールの趣味の欄には、「美術館/博物館巡り」と書いてあったから。

メッセージの返信をする前に彼のプロフィールを全身なめまわすかのように熟読した。
最初の印象は真面目そうな理系っぽい人だな。それと全体的にプロフィールの雰囲気が私と似ていると感じた。写真の枚数や選択肢をすべてきっちり丁寧に埋めていたり、他の人よりやや長めの自己紹介文には、フレンドリーさよりもむしろ少し硬めの表現で書かれている所など。もしかしたらこの人も、私と同じく真剣に人生を共に歩むパートナーを探しているのかもしれないと感じた。

メッセージのやりとりをする前に、私の中で身長 187cm の彼はすでに好印象だった。
しかし、これまで数々の失敗をしてきた私はここで暴走してはならないと学んでいた。
恋は盲目なのです。恋はもうしません。恋愛では無く結婚がしたいんです。
後から好きになれそうな人を探しています。
結婚してから好きになればいいんです。

深く切り刻まれた無数の傷跡を思い出しながら、1度深呼吸をして冷静さを取り戻し、

「博物館に行きたいけど、もう日本に帰国してしまった」と返信した。

こうしてドイツのマッチングアプリに潜入した翌日から、2年2ヵ月後に結婚することになる  ベルリン在住の男性とのやりとりが始まった。



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