失われた時間を取り戻すために。 読書記録8050
読書記録 小説 8050
2021年 新潮社
私は林真理子さんの著書の昔からの愛読者いやファンです。
そう雑誌ananの巻末エッセイが好きで真理子様の母校、江古田の日大芸術学部にもお参りしました。
色々ある母校日大の理事長になって火中の栗を拾いに行った今も、応援しています!
そう何度か読書記録も書いてきました。
今回は比較的最近の小説
8050です。
私は、一気に読んでしまいました。自分が、そして自分の子どもや孫に置き換えてみると胸がつまる思いでした。
これは、不登校やひきこもりの人の家族の物語です。
そして、現在、日本では厚生労働省のサイトでは6カ月以上社会的活動に参加していない、ひきこもりの人を抱える家族は100万世帯以上とあり、そのための支援のサポートが展開されています。
ひきこもりの原因は学業不振や人間関係など多岐にわたり、また複雑に絡み合っていることもあります。
私は長い間、教育、学校の片隅で障害のある子どもたちと関わってきた人間として、この本の記録をまとめてみました。
◎あらすじ
主人公は父の代から受け継いで歯科の開業医をしている大澤正樹。
家族は専業主婦の節子。長女の名門大学を卒業して結婚まじかの由衣、そして長男の翔太。
翔太は医学部を目指して私立中学を受験し見事に合格して通っていたが、中学2年から不登校になり、もうすぐ20歳になろうとしていた。
引きこもりになって7年。今は昼夜逆転の生活で家族と会話することもほとんどなくなっていた。
その間、当初、両親は学校と話し合ってみたり、カウンセラーにかかってみたりしたが、一向に改善する兆しはなかった。
そんな時、長女の由衣が結婚を考えていると言い出して、ついては引きこもりの弟を専門機関に連れていこうとするが、、、、。
◎気になった箇所
◎感想
家族とはなんだろう。
夫婦となり子どもを育てるとは。
確かに小さい頃は愛しみ、時には厳しくしつけ、時には諭しながら、前を向いて一人で歩いていける日をどこかで願って育ててきた。
でも、子どもたちも親の知らない世界で歩いていく。ときには精一杯の背伸びをして。
だから、そんな人に伝えたい。
時には
頑張らなくてもいい。
いつもいい人でいなくてもいい。
いやなことは、いやだと言っていい。
ネガティヴだって自分の思いは、大切にして、自分でことばにして書いてみたり、時には誰かに伝えてみたらどうだろう。
その思いを受けとめてくれる人がいたら、明日の自分がちょっとだけ変わるかもしれい。
◎そして、親になったら人は
子どもは自分とは違う世界を持って生きていることを忘れてはいけないのかもしれない。
違う良さ、違う考えを持った、
別の人格だということも。
受験や就活となると、どうしても親の価値観で未来を測ろうとしてあらぬ期待をしてしまう。
私も、私の母もそうだった。
子どもに迷ったり、悩んだりする自由を、時には挫折し苦い思いをする経験を与えた方がよいのだろう。
そして受験や就活以上に重大な人生決戦の時が訪れるかもしれない。
そんな時は120%の力で一緒に戦う覚悟を持って置くことは必要かと、思う。
それが一番、家族であることの意味だと、この本は気づかせてくれた。
◎
今後、人格形成に大切な時期の子どもを預かる場としての学校のあり方も問われるべきだろう。
知識を詰め込むより学んだ知識をどう活かすか、誰と何を大切と思って表現するか、経験を積む場として学校をとらえたらどうだろうか。
少人数制、担任複数制にして、教員1人あたりの負担を軽減し、授業だけではなく、生徒たちの心理面にも心をくだけるようにしてほしい。
スクールカウンセラーを常駐し、相談室にいるだけでなく、教室を周り、生徒達の人間関係を専門的知見を持って観察してほしい。
学校の中で競争を減らし、1人1人がお互い大切なかけがえの存在である、という人権感覚を養ってほしい。
今日生きていることが大切。
よりよく生きようとすることができればいい。
ここで、ふと立ち止まって、
そんなふうに考える私は、今何かできるだろうか。
もしかしたら、私はもう願っているだけで何もできないかもしれない。
でも、願ってる。
今、生きているみんなが、命を燃やし切る、、ことを。
◎長くなりました。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました😊
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