昨日の詩 10
昨日Twitterに投稿した詩と日記。
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詩集『空想少女』 | 詩集ゆきみず屋 yukimizusosogi.booth.pm/items/3940055
#17
指先から消える
叙情が消える
すると世界は…
変わりはない
陰影
彩度
コントラスト
何も何も変わらない
昨日までの私の死骸も無い
抜け殻になった私もいない
私と呼ぶ私が世界を見ている
適応している
順応している
わずかにでも
違和感があれば
この悪夢が終わる
ヒントになると、
#18
罪悪感は何処から来る
戸棚の隙間から
窓の外から
どうしてここで潰れている
床に落ちた熟したトマトと
一緒にスローモーション
私の体はそのままで
トマトは原型を失った
包丁の切れ味が悪い
トマトは切れずに潰される
押し付けた刃物は貫かない
沸騰している鍋を
横目に見て
西日に焼かれて
#19
紫色をした、紫色をした、
反物に、香りが、うつる
何時ぞやのお香
何時ぞやの煙草
煙や紫煙や絡み合う
時代考証、お済みでしょうか
いいえ、刻まれた時というものは、
止まる、というものを知らぬようで…
煙草の箱を並べて
お香が焼き尽くされ
私たちは抱き合います
しかしそれは無意味です
#20
幻の指を食む
甘い樹液の味
私がカブトムシだった頃
母親はクヌギの木だった
幻の指は砂糖菓子
舌の上で溶けてゆく
甘ったるくてべたべた
綺麗なだけのキャンディを
思い出したら泣きたくなった
素通りされる幻を食む
私の舌の上だけで生きて
そうして溶けて消えてしまえ
「死ぬまでにしたい100のこと」を考えていた。英語で言うと「バケットリスト」とも言われる。紙に書き出す前に一度アプリに書き出そうと考えていた。
実はバケットリストを書くのは二度目だ。仕事を辞めた直後は社会的な成功や、人目から見た幸福を求めて一気に100書けていたと思う。
しかし、それは反故にした。もう一度、本当にやりたいことを考えてみた。大きいものから小さいものまで、22個出すことが出来た。これは本当の私の本音なのでここには書かない。人に見せるという意識がまた本音を曲げてしまうからだ。
平均寿命とは「0歳における平均余命」のことで、2016年の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳。一方、健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいい、2016年の健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳。 引用https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/hale/h-01-002.html (厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供]より。
もちろん、あくまでも「平均」である。それぞれ「平均」より長いことも短いこともある。けれど、自分の人生の残り時間から逆算してやりたいことを探すときにはひとまずこの「健康寿命」というものをあてにして考えなければならない。人の目を排して、純粋に自分のやりたいことは、本音は、何かを探すと、そうすらすらと出てくるものでもなかった。私の場合一個一個のボリュームがトンカツ定食ぐらい重いからと言うのもある。でもやはりキャベツだけじゃなくてトンカツ定食が食べたい。
各情勢について楽観的にならなければ書く時点で狭まるので、多分なんとかなっていると根拠もなく思い込んで書くことも大事だった。
それでも「死ぬまでにやりたい100のこと」とは、なかなか出てこない。それでもだいぶ書いたと思う。昔は難関な資格を取るとか独立開業するとかそういうことばかりで埋められていた。やりたいことより、人に認められることが前提にあり、いつまでも成長してスキルアップする自分を求めていた。
今は違う。楽しいこと、気分の良くなること、ほんのちょっと勇気を出してみたいこと、そういうことを考えている。あとは信じ込むこと。それはやれるのだと。出来たらやるじゃあ意味がない。
二十歳も三十歳も、なんか知らない間に過ぎていた。節目の誕生日を盛大にやってやることも、自分にとって特別なことをするわけでもなく、ただ、誕生日が来て過ぎただけだった。二十歳の時は学生だったが、うっすら何かに絶望していた。三十歳の時は何の感慨も無かった。二十代が終わることに大騒ぎしていた先輩が居たが、私は特段騒ぐことでも無かった。二十代は殆どが過酷だったから、嵐が過ぎたような気分に近かったと思う。
「三十代なんてあっという間だからね」とよく言われて来たが、それを体感として思うのは四十になる頃だと思う。渦中にいると、早いのか遅いのかわからない。でも色々なことが三十代の最初で終わったという感覚はある。良くも悪くも。
一度には埋められなくなった100のことは、これから時間をかけて埋めて、ひとつひとつを長い目で見て達成できればいい。出来ることならもう、心は乱されたくはない。ただ、ゆったりと生きられたのならそれで良いが、なんだかそうもいかないらしい。
死ぬまでに書ける詩は何作なのだろうか。
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