出世の石段のご褒美、あるいは文化のトランスミッション
春休みを利用して帰省していた姪と甥は、しばらくみないうちに大きくなっていた。なにやら学校で習った歴史や古典文学に興味があるという。そこでいざ2人を連れて増上寺は愛宕神社に出かけた。ここは父方の祖父代々が住んだ土地、父と私が生まれたところだ。今では再開発が進み、いたるところ建設中のビルが並び、かつての町名も学校も失われ、俤はみるまもないと父は寂しそうに言うが、時代も変われば連座して地図も人も変わるというもの、でも増上寺界隈はさすがに徳川宗家の容儀威儀に支配され、ほとんど変わるこ