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「燃ゆる頬」


堀辰雄の短編「燃ゆる頬」、一瞬のきらめきのうちに過ぎ去っていく少年期に抱いた同性への愛の芽生えは、死という残酷さに終わる。それを描きたいばかりに物語は淡泊性急に進むが、読後にこれといって残るものはほとんどない、「美はすばやく儚い」という朧気以外は。

想いを寄せた脊椎カリエスの彼の突然の死の知らせ、その掲示板を「私」は、「ぼんやりと見た」とある。

作家のいう「最後の一撃」は、跡形もなく消えていった美の一瞬の残像だったかと思われる。

それ以外、この作品から私は何も感じなかった。


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